ワタリが選ぶ2018年公開映画ベスト10ランキング

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あけましておめでとうございます、ワタリ(@wataridley)です。

今回は昨年2018年に劇場で観た映画作品のベスト10を書いていきます。

それぞれの作品のネタバレはありません。選んだ理由や思い出、感想も添えて振り返ります。

では、どうぞ。

 

10位

『判決、ふたつの希望』

(C)2017 TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL – EZEKIEL FILMS – SCOPE PICTURES – DOURI FILMS
PHOTO (C) TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL

レバノン人の男性とパレスチナ難民の男性の間に散った小さな火花が、彼らの元を離れて大火事へと発展してしまう様を描いた一本。

個人が属性を取り上げられ、ラジカルなイデオロギー対立に利用されてしまう社会の病理を浮き彫りにするとともに、それでも人が人らしくいられる共感を確と映像に収めた今作。

ベストテンを考えるにあたってまず外せないとなるソーシャルヒューマンドラマであった。

 

9位

『恋は雨上がりのように』

(C)2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (C)2014 眉月じゅん/小学館

筆者が漫画『恋は雨上がりのように』に熱中していたことは、昨年のベストテン記事でも取り上げた通り。2018年の1月にアニメが放送され、その後原作も完結。

そのメディアミックス展開の最後を締めくくる映画『恋雨』も、心地よい雨宿りの景色を見せてくれた。最終的に再び走り出す橘あきら=小松菜奈と店長=大泉洋を観て、胸の中を霧払いされたようでもあった。

雨の降り始め、雨宿り、雨止みまでを一本の映画に綴じ込めた秀作。

 

8位

『パッドマン 5億人の女性を救った男』

© 2018 SONY PICTURES DIGITAL PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

2001年当時、人口10億人を抱え、IT産業をはじめとした経済成長も著しい大国インドでは、生理周期中に社会からも家からも締め出されてしまう女性の姿が多くあった。市販の生理用ナプキンを使おうにも周囲の価値観や経済的ハードルがそれを阻む。

そんな理不尽な状況を変えるべく立ち上がったラクシュミカントを主人公に据え、コミカルかつ小気味好いテンポで生理用ナプキンの開発・販売を描いた作品。

社会を変える偉業の影には尊大な理念ではなく行動や執念があったのだと描き出すことで、新しいことに挑んでいく人を肯定する作品の精神に拍手。

 

7位

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

主演のトム・クルーズがアクションシーンの撮影時に骨折したというニュースが流れたことが記憶に残るスパイアクションムービー。

その逸話に偽りなし。ノンスタントで繰り広げられる迫力があり、迫真のアクションを見ていると、もはやフィクションの域を超えたトム・クルーズの奮闘を思い知らされる。イーサン・ハントは想像上の存在などではなくトム・クルーズのキャリアと密に結びつき、スクリーンで結実する類を見ないキャラクタである。

年齢をものともせず挑戦を続けるトムをリスペクトし、幸運の7位に。

 

6位

『若おかみは小学生!』

(C)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会

『若おかみは小学生!』とは、なんと奇抜なタイトルなのだろう。小学生が若おかみを務める理由も必然性もわからない。

しかし、おっこと共に温泉旅館「春の屋」で経験する客人との出逢いと別れを経て、着々とその意味を理解する。人は失うことを避けられない。避けられないからこそ埋め合わせなければとても辛い。その辛さは新たな出逢いによって溶かされる。生きるとは、その繰り返しだ。

小学生の女の子が働く様子を通じて、誰にでも身に覚えのある困難をシビアに誤魔化さず描き、最後にはその克服を温かく映す今作は折に触れてまた見たくなることだろう。

 

5位

『リメンバー・ミー』

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ピクサーが新たに描いた死者の国は煌びやかだった。「死」につきまとう哀しみが、その外観からは読み取れない。

この楽しそうな世界を通じて、本当の死とは何かが語られる。ミゲルの追い求める夢、ヘクターが追い求める家族。それらが交わった時に死との向き合い方をいつのまにか教わることができる。

その答えを導き出すために、芸術的なCGアニメーションで表現される美しい世界や表情豊かなキャラクター、耳から離れない楽曲などが用いられている。どれも創意性に満ちていて、劇場では目が潤うばかりだった。

表現に目を見張り、ストーリーに思索を巡らす、見ごたえ抜群のアニメーションだった。

 

4位

『ぼくの名前はズッキーニ』

(C)RITA PRODUCTIONS / BLUE SPIRIT PRODUCTIONS / GEBEKA FILMS / KNM / RTS SSR / FRANCE 3 CINEMA / RHONES-ALPES CINEMA / HELIUM FILMS / 2016

ある理由で母の元を離れ、孤児院で暮らすことになったズッキーニがそこで経験する数々の出来事を切り取ったストップモーションアニメ。

1時間とちょっとという枠の中で、ズッキーニはとても多くのことに心を揺らしていく。悲しいこと、苦いこと、楽しいこと、喜ばしいこと。ストップモーションの不安定さがズッキーニたちの感情の機微と重なり、こちらの琴線にふれる。自分はズッキーニが大きく目を見開く度に、その目を通して心の中を探っていた。

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完璧には制御しきれない人の手が、無機物に感情を与える作りはそれ自体が新鮮である。さらには、苦しみを乗り越えるための救いを実直に捉えようとする物語も見入ってしまった。

映画においてはあまりポピュラーとは言えない表現技法と思われていたストップモーションが、2017年公開の『KUBO/二本の弦の秘密』や2018年公開の『犬が島』、そして今作で独自の魅力を発揮していたことから、もっと見てみたいと思った。

 

3位

『パディントン2』

(C)2017 STUDIOCANAL S.A.S All Rights Reserved.

自分は『パディントン』を観たことがなかった。いきなり『2』からの鑑賞となり不安もあったが、鑑賞後あっさりと彼方へ消え去っていた。

この映画、クマが主人公であるのは見ての通りだ。そしてそのクマがイギリスのロンドンで住人たちと何不自由なく暮らしている。違和感だらけの光景だ。

クマが英語を話すのもそうだが、何より見るからによそ者の彼を受け入れる意味がわからない。

しかし、映画を追ううちにそんな違和感は、どんどん納得へと変わっていく。親切な彼は周囲の人間に対して何も不信を抱くことなく、マナーを持って接する。たとえそれが服役囚であっても。

パディントンの一貫したキャラクタは理想像であると同時に、たしかにそうすれば道は開けていけるロジカルな説得力を持っている。見た目が可愛いだけではなく、人を掴むハートもあるのだ。

彼が道中披露するスラップスティックはどれも笑いを誘う。それは時に周囲の人にまで波及するのだけれど、それさえポジティヴな変化へ持っていってしまうシーンは圧巻だ。

キュートでチャーミング、そしてハートウォーミングな紳士クマに敬礼。

 

2位

『バーフバリ 王の凱旋』

(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

現代人は神話を見ないし耳を傾けることもしない。どんな面白いアニメや映画を見たとしても、一時の消費で済まされてしまうことだってある。

そんな時代にあって、このバーフバリという神話が自分を心服させたという事実は驚愕としかいいようがない。

インド映画お得意の歌や踊りをはじめ、大掛かりな舞台装置、とにかく圧がある登場人物、印象的な台詞回し、見開きページのような画、王国を王国たらしめる大群衆など、豪華絢爛なビジュアルが全編に渡って続く。

驚くことに、そのスケールに耐えうるだけの物語と演出が徹頭徹尾前面に押し出されており、決して見掛け倒しにはならない。それどころか不屈の英雄バーフバリ、悪行の限りを尽くす宿敵バラーラデーヴァなどのパワフルな登場人物が、これらの壮大な土壌の上で大波を起こす。

この『王の凱旋』はチャージと解放によって構築された物語になっている。その構造をこれ以上ないほど使いこなし、最後には壮大な大波でエモーションが荒れ狂わされる。これまでのどの映画でもなかった感覚だ。

現代は神話を神話として見せるのが難しい時代だ。その時代にあって、圧倒的物量で嘘を信じこませ、傑物たちの闘争にホンモノの情動を呼び起こさせた今作は傑作である。

 

1位

『ペンギン・ハイウェイ』

(C)2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

森見登美彦の同名小説を石田祐康監督でアニメーション映画化した『ペンギン・ハイウェイ』。

アニメーションが描き出す魅力的でどこか身に覚えのある登場人物は、見終わった後も頭から離れない。アオヤマ君は、探求をする者ならば誰もが共感できる小学4年生だ。お姉さんは求めたくなるチャームを備えながらも到達することはかなわない女性だ。まるで人が抱く興味とその対象に命を吹き込んだようだ。また、噛み合っていそうで、ちょっとズレのある2人の掛け合いにも心をくすぐられた。

アオヤマ君のノートに代表されるような緻密な小道具や舞台の書き込みもいちいち感嘆した。ビジュアルにもあるペンギン・パレードなんかは、体を揺すってしまいたくなるぐらいエモーションを刺激された。

だがそれ以上に、アオヤマ君とお姉さんの関係が決して「あの頃」では終わらない永続性を示した着地が素晴らしい。

ペンギン・ハイウェイという道の上であの決心をしたアオヤマ君の姿は、何かを追い求める者すべてにあてはまる。

お姉さんさえも研究対象にしてしまうアオヤマ君をこの作品は肯定する。生きとし生けるものすべてが、自ら目的と価値観に基づいて動き続けているこの世界のことわりを覗き見たような気分になった。

とてもいい映画だった。

 

総括

今年に鑑賞した映画は全部でおよそ63本。劇場で鑑賞した回数ならば87回だった。

最も鑑賞した映画はベストの『ペンギン・ハイウェイ』で、なんだかんだ12回も劇場へ足を運んで観ていた。それほど入れ込んだということだ。ソフトも既に予約してあり、手元に来るのが楽しみで仕方がない。

ちなみに劇場で2回以上観た映画は以下の通り。

  • パディントン2(2回)
  • バーフバリ 王の凱旋(5回)
  • リメンバー・ミー(2回)
  • レディ・プレイヤー1(2回)
  • 犬ヶ島(2回)
  • 未来のミライ(2回)
  • カメラを止めるな!(2回)
  • ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2回)
  • ペンギン・ハイウェイ(12回)
  • 若おかみは小学生!(3回)
  • ボヘミアン・ラプソディ(2回)
  • シュガー・ラッシュ:オンライン(2回)

振り返ってみると、多大な時間と金を映画館にささげたことになる。

だがそもそも、劇場へ足を運んで映画を観るということにここまで時間を費やせたのは、より多くの、比べ物にならないほどの時間と人手を費やして作ったクリエイターの方々のおかげである。そのことには感謝してもしきれない。何よりもリスペクトしている。世界の片隅からささやかながらお礼を述べさせていただく。

興味の源泉は尽きない。今年も興味のある映画を観に行き、面白かった映画を面白いと言うつもりだ。そして、自分の心赴くままに感想を書いていく。

それでは、今年もよろしくお願いいたします。

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