アイキャッチ画像: ©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
こんにちは、映画好きを自称しているが試写会に行ったことがないワタリ(@wataridley)です。
追っかけで見始めた『SSSS.GRIDMAN』の感想を書いていきます。
物語を牽引する魅力
アニメに限らず、1話はオーディエンスが参入してくるボリュームゾーンだ。だから、オーソドックスな作劇手法として、興味を引くことに注力する。
その点、『SSSS.GRIDMAN』は主人公響を取り巻く周辺、そして突如現れた怪獣と戦う謎の存在グリッドマンという2つで見せ切った印象を受けた。
記憶喪失から始まる謎
眼が覚めるといきなり記憶喪失となっていた主人公響。これ自体は既視感を覚える。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
しかしこの手の物語にしては珍しく、周囲の人物は主人公の素性を知っている。主人公の正体はわかりきっているものの、周囲の人物のことはわからないところからスタートするという倒錯的な構造がまず観ている自分の興味を引いた。
いきなり知らない、魅力的な女子の家で横たわっていたというシチュエーションはしかと少年心をくすぐるものの、倒れた経緯も記憶喪失の原因も謎だ。
倒れていた彼を介抱した宝多六花のことも、響のことも自分は知らない。情報の開示が特異であるがために、まず響はどんな人物なのかを探り、そこから他の登場人物を知り、そして響との関係性を捉えたくなる。
また物語の最初、響よりも前に登場する新条アカネなる少女が浮かべていた物憂げな表情も気になる。彼女は記憶喪失の響に何やら気をつかう様子を見せていたため、これからグリッドマンと関わり、退屈さから逃れ行くのだろうか。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
グリッドマンとは?
1話の時点では謎としか言いようがないグリッドマン。迫りくる危険を響に警告する動機も、彼と響がどうして合体できるのかもわからない。
だが、街を襲う怪獣を食い止めるという利害が一致した彼らは、旧式の特撮モノにやけに忠実なバトルを繰り広げる。
怪獣もグリッドマンもCGで表現されているようだ。その表現はうまく2Dの背景と溶け合い、かといって見慣れたアニメライクなビジュアルに宥和しきることもない、それこそ特撮的な匂いを感じさせる塩梅になっていた。
グリッドマンのメカニックデザインも、複雑なケーブルが体を走っているようなレトロ加減と、鮮やかに煌めく現代風のライトがうまく絡み合っており、純粋に格好よく映る。野生的でアナーキーな意匠を持つ怪獣との対比も効いている。
まだ1話ということもあって、戦闘手段がやや初歩的でありきたりという点は気になったものの、自身の素性を把握していない響の初めての戦闘であるため、納得感はある。だから、これから熟練していく様を期待せずにはいられない。そしてそんな彼とまだ完全なる一体化を果たしているわけではないらしいグリッドマンもパワーを順次解放していくのだろうかとも思う。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
色わけされたキャラクターデザイン
アニメは、非現実的な事象を表現する上での可動性が突き抜けて高いメディアだ。
今作で言うと、一介の高校生であるはずの響たちのカラフルな髪の毛や瞳の色など、現実にはありえない色分けによってキャラクターを視覚的に見分けさせている。
響は情熱的で派手な赤を特徴にあてがわれている一方で、六花は落ち着いた藍色の髪の毛と白いカーディガンを着ている。これらによって響が注目を置くべき主軸と無意識のうちに捉えることができ、六花は等身大の女子として表現されている。
その上で、彼女の表情や仕草はやたらこだわり抜かれていることが手に取るようにわかる。友達と戯れているシーンや、後方から俯いている彼女を捉えたカットなど、妙に可愛らしいと感じさせる。
新条アカネは、前述した表情に加えて、より非俗的な装いとポージングをとることで明らかに特質がある人物として描写されているとわかる。1話ではたいした役目はなかったものの、注目すべき人物であることは間違いない。
ちなみに、友人の内海は1話時点では典型的な「主人公の友人」キャラであるし、デザイン的にも突出している部分はない。賑やかし要因に終始しそうな彼が、グリッドマンのサポート役として予想以上の活躍をしてくれるのかも気になる。アカネに抱いているらしい感情もドラマを期待する。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
まとめ
1話時点では型破りな作劇手法を用いた謎の配置で突っ切っているように映った。
どういうわけか記憶喪失となり、どういうわけかグリッドマンと合体し怪獣を倒す役目を担った響と、その周囲がどのような変化を経るのか、期待感はある。キャラクターも第一印象では魅力的な女の子の存在が作品への興味をひいてくれている。
他方、1話のみを対象に語ると古風な話運びや演出は目につく。怪獣と超人が戦うというプロットは、何を隠そう今作に参加している円谷プロダクションの代表作『ウルトラマン』などで使い古された手法である。そして、1話の響たちは怪獣と戦うことに何ら疑念を抱くことなく、立ち向かっていく。
ここにあるのはヒーローVS怪獣という慣習に忠実な作為的キャラクター像だ。高校生であるはずの彼らが異常事態にやけに適応していくため、置いてけぼりを感じる部分はあった。
さいごに六花が示した反応に少し解消されたが、今後怪獣とのバトルには「慣習だから」以上の理由付けが必要になるだろう。
そこ含めて、話がどういった方向に転がっていくのかを注目していきたい。
▼次回感想
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