『SSSS.GRIDMAN』第12話「覚醒」感想: そして夢から醒める

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アイキャッチ画像: ©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

こんにちは、家系ラーメンでラーメンをおかずにごはんを食べる気持ち良さから抜け出せないワタリ(@wataridley)です。

今回はとうとうラストを迎えた『SSSS.GRIDMAN』の最終話「覚醒」の感想です。

▼前回感想

 

結局みんなアカネが好きだった

結局この物語が展開していた舞台はすべてが作り物。そこに神として君臨していた新条アカネでさえ、アレクシス・ケリヴという部外者に操られていた傀儡に過ぎない。『SSSS.GRIDMAN』が描いてきたものとは、巨大ヒーローと巨大怪獣のぶつかり合いとは対照的な矮小で惨めな人間の錯乱であったという真実は虚しい。

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

しかし、グリッドマンの奮闘と作られし者=レプリコンボイドたちの足掻きが功を奏し、清々しい着地を遂げた。

新条アカネの世界では生まれてきた人々はすべてアカネを好きになるように作られている。「記憶を失った」裕太に内海が紹介していたように、彼女はクラスのみんなから好かれる才色兼備の完璧人間として生活していた。彼女のことを嫌う人間は存在しない。

彼女の非道を知ってもアカネから離れられなかった六花、アカネに作られた失敗作のアンチ、アカネと同じ趣向を持った内海、アカネの隣に座っていた裕太。彼らとて例外ではなく当初はアカネのために設計されたようだ。

しかし、すべてがアカネの思い通りになるわけではない。そのことは今回アレクシス・ケリヴの口からも語られているし、彼女がジャンクに捨てられていたものすべてを把握できていなかったことからも読み取れる。

裕太たちの担任や問川など、アカネの意にそぐわないはみ出し者が幾度となく彼女の前に現れる。だからアカネは作られた擬似世界で自分の思い通りにするために、怪獣を実体化させて何人もの人間を抹消してきた。

そうしているうちに、都合のいい世界は出来上がっていく。邪魔者のいない、心底気持ちのいい世界。

そんな予定調和でフローレスな日常を壊しに来たのがほかならぬグリッドマンだ。グリッドマンは彼女の日常を一変させてしまった。

グリッドマンは世界の再構築を阻んでくるばかりか、六花、内海、アンチは彼と行動を共にするうちにアカネにとって都合のいい存在ではなくなっていった。グリッドマン同盟という存在は、アカネ=怪獣と敵対し、何度も世界のピンチをはねのけた。

ところが、最終回を迎えた今、グリッドマン同盟はアカネの敵ではなかった。彼らは理想の世界に偏執するアカネを救い出した。夢に囚われ、現実逃避ばかりの少女の目を覚ました。六花、内海、アンチ、そしてグリッドマンは結局アカネを救うために存在していたのだ。

新条アカネはヒーローではなく怪獣を主人公だと言って憚らない。そこには王道ではなく、邪道を取る彼女の傾向が表れている。少数派でみんなから好まれ難い選択肢を取ることは、この世界に閉じこもってしまったキッカケに少なからず関連しているのかもしれない。文化祭を好まない様子から見ても、みんなと戯れることに対して鬱屈した感情を抱く節があったように見受けられる。

一方で第9話「夢・想」では、彼女はグリッドマン同盟の面々とうまくいく夢を見ていた。アカネは恙なく彼らと意気投合し、自分を受け入れてもらえて、友人に恵まれる。この夢は、間違いなくアカネの本心を映しており、裕太たちも本来こうあるべきだったのだろう。

訓練でもリハーサルでもない現実では取り返しのつかないことも、辛いこともそこかしこに横たわっていて思わず目をそむけたくなる。だから、アカネの気持ちは万人が理解できるはずだ。

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

しかし、どれだけこんな夢を見ようが、夢の世界を作ろうが、所詮は自分の内面でしかないというのが空しい。この世界に閉じこもったままいれば、いくら夢でも毒に変わる。常に果てに向かい続ける命にとって、ずっと部屋に閉じこもっていることは命を不用意に浪費しているも同然だ。時に休息が必要だったとしても、いつかは自分の意思で部屋のドアをあけなければならない。

他人を必要とすれば世界は広がっていくと告げられ、ドアを開いたことで、アカネの作った世界から発したは地球の広範に及んでいった。これは、そのまま彼女の世界が外の世界と通じ合ったことを意味しているはずだ。

毒されていた彼女をグリッドマン同盟は一致団結して彼女を救い出した。つまるところ、最もこの世界で彼女を好きだったのは敵対していた彼らだ。グリッドマン同盟は、作られたものと自覚しながらアカネの外の世界への旅立ちを後押しし、作り物ではない彼女のこれからに影響を及ぼした。

これはまるでフィクションと人間の関係に似ている。そればかりに傾倒しては生活は立ち行かなくなるが、歩んでいく上での元気づけになることもある。アカネはグリッドマンというフィクションに救われ、現実へと戻っていった。

 

アレクシスの目的

アレクシス・ケリヴはしきりにアカネに怪獣を作るよう言葉をかけていた。これは今回語ったところによると不老不死の自らの虚無感を凌ぐために、アカネの情動を利用していたとのことだった。

彼はこの世界から立ち去ろうとするとき、次の新条アカネを探すと告げていた。これが意味するところは、アレクシスのような虚構への誘惑はどこにでも現れうるということではないだろうか。アカネは、それに囚われて抜け出せなくなった。

アレクシスの詳細な生い立ちや背景については終ぞ謎のままであったが、彼の立ち位置は人の弱みに付け込んで浸食していく毒そのものだ。

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

 

電光超人グリッドマン

なんとなく想像してはいたが、やはりグリッドマンの最終形態はオリジンだった。現代的なデザインにリファインされていたこれまでの姿に見慣れると思いのほかシンプルに見えたが、最終決戦で原点回帰という敢えての姿には、旧作を観たことがない自分でも胸が踊った。

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©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

バックにかかる音楽は古めかしいヒーローもののテーマソングらしく、今聞くとかえって新鮮であった。この音楽と共に流れる戦闘も上下左右体全体でぶつかり合うダイナミックな作画を見せつけられ、原点回帰的なグリッドマンのビジュアルと現代のアニメのパワーを一度に感じられるシーンになっていた。

グリッドマンのフィクサービームは、その名の通り浴びせた対象を修復する。これは物理、精神の両面に作用するようで、新条アカネの心を救う決定打となった。また、アレクシスに処分されたアンチも巻き込んで修復したらしく、致命傷から生き延びていた。ついでに、彼の失明していた瞳が青くなったのは裕太と同じ人間になったことを意味しているように見える。

せっかく面白いシチュエーションに説明台詞が交りがちであることが惜しかったものの、全員合体した真のフルパワーがこれだとは思ってもみなかったため、その意外性含めて楽しむことができた。

 

怪獣少女の正体

第6話「接・触」にて、裕太に新条アカネの正体とこの世界の仕組みを明かした怪獣少女は、結局アニメを見る限りでは正体は謎のままであった。

「先祖がグリッドマンに助けられた」という情報や「借りは返すことがうちの家訓」と語った時の背景に怪獣が意味ありげに映りこんでいたことから気になって調べてみると、どうも旧作『電光超人グリッドマン』からのファンサービス的なキャラクターらしい。

個人的には、今作を『電光超人グリッドマン』の続編ではなく、単体のアニメとして楽しんでいただけに、やや肩透かしだった。だがそれと同時に旧作への興味が幾分沸いたのも事実だ。最後の実写パートも、そもそも『電光超人グリッドマン』が実写ドラマだったことを踏まえての演出だろうし、アニメでしか知らないグリッドマンが実写の世界でどう立ち回るのか気になってきた。

そういう意味では、怪獣少女アノシラスは橋渡し役にはなったかもしれない。

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

 

響裕太は何者だ?

結局は謎のままだった、という要素は怪獣少女以外にもいくらでもある。新世紀中学生の正体はグリッドマンからの分裂した存在だというが、やはりその詳細はよくわからない。また、そもそもグリッドマンのいうハイパーエージェントとは何なのか。ハイパーワールドとは現実世界のことを指すのか。また、アレクシス・ケリヴはそこではどんな存在だったのか。枚挙に暇がない。

しかし、それらは「敢えて謎のまま」残したと解釈することもできる。変に追及するのは、『フリクリ』で言うところの「光域宇宙警察フラタニティ」「海賊王アトムスク」「メディカルメカニカ」の実体を掴もうとするぐらい野暮な行為かもしれない。

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

だが、どうしても自分が気になって仕方がないのが響裕太だ。

彼は作中目覚めてからずっとグリッドマンを宿し、グリッドマンに肉体を操られた傀儡であった。けっきょく、裕太本人は最後の目覚めのカットでしか現実に登場していないことになる。グリッドマンの力を行使できたのはそもそも彼がグリッドマンだったから、で説明がつく。

しかし、なぜグリッドマンが響裕太に宿ったのか?自分なりに考えてみた。

それはおそらく、新条アカネの作った世界の中で彼だけが六花に気持ちを向けていたからではないだろうか。最後のシーンでは、アカネの隣の席にいて、その賑やかな会話が間近で聞き取れるところにいたにも関わらず、六花に興味をひかれるような様子をしていた。

みんながアカネのことを好きになる世界でひとり六花に惹かれていた裕太は、新条アカネというビー玉の入ったラムネ瓶を破壊するのにうってつけなアウトサイダーと言える。その意味でグリッドマンにとって適切な宿主だったのだろう。

第1話「覚・醒」からずっと「裕太が六花に何を言ったのか」は物語の気がかりな点であったが、おそらくは好意を伝えるような言葉をかけたのだと考えられる。六花の記憶喪失に対するちょっと意地を張った態度やグリッドマンのいう「六花への想い」とやらがそれを仄かに裏付けている。

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

ハイパーエージェントグリッドマンとして自覚した際には金眼になっていたが、最後に目覚めた時には青い瞳に戻っていた。青い瞳は当然非グリッドマン状態を示している。グリッドマンが六花への想いを引き継いで「覚・醒」していたことを考えて、記憶は完全に喪失したわけではないと考えることができる。

もしかしたら鮮明に覚えてはいないかもしれないが、全てが無に帰したわけではなく、似た景色や経験などに触れてデジャヴを覚える程度に残ったのではないだろうか。

ただ、結局自分の目からは裕太と六花の関係は玉虫色で済まされたような気もする。ちょっと物足りなさを感じてしまうが、それだけ響裕太に肩入れしていた証拠だと思うことにする。

 

まとめ: 12話を駆け抜けて

ということで、12話欠かさず追ってきた『SSSS.GRIDMAN』の感想は今回で終わりとなる。

総じて特撮モノの旧作を知らなかった自分をも”退屈”から救ってくれたアニメであると言えよう。謎を適度に撒きながら、既往の巨大ヒーローものを踏襲しつつもアニメならではなダイナミックな戦闘を毎回見せてくれる今作のつくりは、知的好奇心と動物的興奮の両方を喚起してくれる。

アカネや裕太が目覚めたように、じきに自分もこのアニメからも目覚めることになるだろう。ただ、この視聴してきた時間は楽しかったし、特撮分野への興味も少しは沸いてきた。

個人的には「新谷真弓の声に惹かれて」という動機から視聴し始めた今作にここまで筆を動かすことになるとは思ってもみなかったので、今はとても驚いている。なにはともあれ、色々なものが溢れているこの世の中から見つけ出した自分の「面白い作品リスト」に『SSSS.GRIDMAN』は加わった。

この人気を受けて、もしかすると新たな展開があるかもしれないと期待しつつ、筆を置くことにしよう。

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