『キングダムハーツ3』クリア後感想: ディズニーとスクエニが叶えた歪な夢【ネタバレなし】

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こんにちは、初めてプレイしたキングダムハーツは『Birth by Sleep』だったワタリ(@wataridley)です。

今回はディズニーとスクエアエニックスによるコラボレーションしたアクションRPG『キングダムハーツ 』シリーズ。その集大成となる『キングダムハーツ3』をクリアした感想を書きます。

ストーリーのネタバレはありませんが、ゲームの全体概要は一通り触れておりますので、何も情報を入れたくないという方はご注意ください。

 

爽快でゴージャスな戦闘

『キングダムハーツ』シリーズの目玉である戦闘システムは、今作では過去最高峰の爽快感を与えてくれている。

鍵の形をしているシンボリックなキーブレードを用いた戦闘は、基本的に○ボタンを連打しているだけでも、ヒットする音やエフェクトが大きく楽しい。最初こそアクションは制限されているものの、ゲームを進めるにつれてコンボは更に発展し、地上の敵を叩き上げて空中戦に持ち込む技や敵の背後に回り込む敏速なカウンターといった選択肢も増えてくる。単に威力が上昇するのみならず、キーブレードによるアクションが見た目の面で変化していくおかげで、「○ボタン連打」だけでもしっかり満足できる。

そして、過去作において好評だった要素もきちんと調整され、一部は劇的に進化しながら再登板している。

ワールドをクリアするごとに入手できるキーブレードは見た目に個性が付与されていて、ヒットエフェクトとヒット音、更に装備時の出現エフェクトも異なっており、付け替え要素が密かな楽しみであるのは相変わらず。従来通り威力や魔力が個別に設定されており、『キングダムハーツ2(以下2)』のように各キーブレードはソラの能力を向上させるアビリティを有している。『キングダムハーツ バースバイスリープ(以下BbS)』から取り入れられた、敵をロックオンして一斉攻撃を仕掛けるシュートロックコマンドも、キーブレードの個性を反映した大技になっている。

高低差を飛び越えて高速移動できるフリーフローアクションは、『キングダムハーツ ドリームドロップディスタンス(以下DDD)』から、特段大きな変化はないものの、暴発しにくくなり、敵の仰け反りや威力に関する調整も施されるなど、手堅くまとめられている。新たな移動手段であるアスレチックフローと組み合わせると、スパイダーマンもびっくりなぐらいマップを縦横無尽に駆け回ることだってできる。『ファイナルファンタジー15』におけるマップシフトに比べても遥かに快適だった。

これらに加えて、『BbS』のスタイルチェンジや『2』のドライヴは「キーブレードの変形」となって引き継がれた。

キーブレードごとに異なる形態に変形するという個性が施されたことで、より武器に対する愛着を抱きやすくなっている。チュートリアルのワールド「オリンポス」をクリアして手に入るキーブレードは、ヘラクレスの逞しい戦闘スタイルを思わせる「受けて殴る」というガード&カウンターのアクションが特徴。通常攻撃も応じて変化しており、威力と攻撃範囲は通常形態を凌いでいる。他にもコンボを繋げればベイマックスに出てきたロケットパンチとマイクロボット等を再現できるナノギアや、巨大な旗を振り回せるラダーオブフェイト、プーさん由来の和やかなヒット音と蜂蜜を噴射するという可愛らしい変形技を持つハニートレントなど、強烈な個性を持つキーブレードばかりだ。

おまけに『BbS』で挙がっていた「フィニッシュ技の発動やスタイルの変更・解除が任意のタイミングでできない」という問題なども、△ボタンでいつでもコマンドを選べるようになったことで解消している。

あれやこれや試しながらゲームを進めたくなるし、進めているうちに武器ごとの性能も自然と把握するようになっている。今作では3本のキーブレードをリアルタイムに持ち替えることができるため、快適に多数のキーブレードを使い分けられる。

シリーズが培ってきた旺盛な戦闘システムのノウハウは活かされており、まさに集大成に相応しい。その上、新たな試みもなされている。

今作から新たに導入されたアトラクションフローは、序盤から使うことができ、戦闘をよりゴージャスにしてくれている。

前後に揺れ動きながら水泡を発射するパイレーツシップは、巨大な船で戦場を蹂躙する快感を得られる。「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」を彷彿とさせるシューティンググライドを発動すると、専用画面に移行し、シューティングゲームさながらの操作感の中で、敵に光弾を浴びせられる。スピニングカップでは、ソラ、ドナルド、グーフィーの3人がそれぞれのカップに乗り込み、高速で敵を弾き飛ばすことができ、もう怖いもの無し。リズムゲームのメリーゴーランド、移動しながら水流を描くスプラッシュライドも水や光で画面が賑やかになる。

ディズニーランドにでもありそうなライド形式のアトラクションを模しているこれらは、○ボタン連打という単調になりがちな雑魚戦を煌びやかにし、楽しいと思わせてくれる。シューティンググライドを除いては発動時に無敵状態になる仕様は、ゲームバランスの観点からは賛否が分かれそうではあるが、アトラクティヴな体験を提供してくれていることには間違いない。

旅の道中で同行するキャラクターとの連携技にしても、大いに盛り上がれる。ドナルド、グーフィーとの連携技は、ソロ専用のゲームらしからぬ共闘感覚を適度に与えてくれる。『トイ・ストーリー』のウッディとバスと一緒にオモチャのロケットに乗って突撃する画には、子供の頃に観た映画の世界に自分も加わったような高揚感を覚えた。ただでさえ出来ることが多彩な戦闘において、更にキャラの魅力までもアピールしてくるこのサービス精神に、こっちとしてもいい心地にならざるを得ない。

断っておくと、今作は歯ごたえあるシビアなゲームプレイを求めるプレイヤーには物足りない部分はあることだろう。上記に挙げたアトラクションフローは発動によるデメリットが殆ど無く、キーブレードの変形はだいたいが高火力かつ広範囲である。いきなりプラウドモードから始めた自分も、ラスボスで何回かやり直した以外は苦戦した記憶があまりない。

だが、この強力無比な戦闘手段は、それだけプレイヤーに楽しんでほしいとする作り手の姿勢と取ることもできる。

手元のボタンを連打することで、派手な武器があたり一面を荒らす。夢に見たキャラクターと協力し、共通の敵に一撃をお見舞いする。壮麗なアトラクションで敵無しの気分を味わう。こんなことができるゲームは『キングダムハーツ3』の他に思い浮かばない。ディズニーの強大なソフトパワーとスクウェアエニックスのコラボレーションは、唯一無二のゴージャスな爽快感を生み出している。

驚くべきことに、これほど豊富な選択肢があり、派手な動作を繰り返す戦闘に、フレームレートの低下やバグといったものは見られない。ストレスなく、自在に戦える気持ち良さは特にこだわられている。

 

ゲームの世界で再現されたディズニー世界

ソラ達が巡るディズニーワールドのルックスは、素晴らしいとしか言いようがない。「あの作品の一部になる」夢を具現化してくれる。

今作ではキャラクターの外見は、リアルに寄りつつも、ディズニーらしいブラシ絵のような質感を残している。ソラの瞳の虹彩は事細かに描き込まれ、髪の毛の束に着目してみると一本一本の線が刻まれている。それでいて、現実の人間とは異なる丸みを帯びたフォルムやあのツンツン頭は健在。『アンチャーテッド』や『メタルギアソリッド』とは異なり、愛嬌が重視されており、夢と魔法に満ちたディズニーに馴染む秀逸なデザインである。ドナルドとグーフィーも、瞳と口といった可愛らしいパーツはよりクリアで感情豊かに映るようになっている。彩り豊かなルックスのキャラクター達が、ムービーで喜怒哀楽を露わにする様子は、アニメーションを見ているようだった。

ディズニーワールドを訪れて出会う人々も、作品のテイストを映し出している。特に『アナと雪の女王』『ベイマックス』など近年製作された3DCGアニメと見比べても、ほとんど遜色がないことには驚嘆した。キャラクターデザインはもちろん、髪の毛や肌、衣装の質感は、忠実に再現されている。エルサの着ているドレスの煌びやかでざらついた装飾や、ベイマックスの柔らかそうなボディをゲームでも観られるというだけで、感動してしまう。

実写作品である『パイレーツオブカリビアン』や絵本の中を舞台にしている『くまのプーさん』は、特に異なった方向性で描かれている。ジャック・スパロウは、ジョニー・デップが演じているのではないかと錯覚するほどにフォトリアルな表現が突き詰められている。デイビー・ジョーンズの不気味な触手も頭に残る。『くまのプーさん』はそれらとは打って変わって優しい色使いで、100エーカーの森に漂う穏やかな空気が感じられて、ほのぼのとした気持ちになれる。

シリーズ初のピクサー作品から参戦となった『トイ・ストーリー』の世界では、ソラたち一行は玩具の体になりながら、小人の視点でおもちゃ屋を冒険する。物語の初めに来るのは、あのアンディの部屋。お馴染みのキャラクターポスターが壁に貼り付けられ、今となっては懐かしいブラウン管テレビが机に置かれ、床にはおもちゃが転がっている。映画で観た景色がほとんどそのまま再現されている。ソラを仲立ちにその作品世界に触れられる喜びは、思い入れに呼応して大きいものだ。ましてや子供の頃に刷り込まれた名画とあって、自分は心の中でため息をつきながらコントローラーを握っていた。ウッディとバズは、映画のまま目の前に現れるし、よく見ると僅かに傷跡や汚れがあったりする。このゲームならではの観察も楽しかった。

思えば、今作は『2』以来となる据え置きハードでの完全新作だった。その向上した表現力は惜しみなくディズニー世界の構築に注ぎ込まれ、こちらに夢を見せてくれる。リアルタイムレンダリングが中心にムービーが展開される中、プリレンダリングムービーもいくつか存在しているが、正直その両者の境はすぐにはわからないほどだった。PS2時代に夢見ていた「ムービーを操作する」が、「ディズニーの世界を冒険する」と結託して心を鷲掴みにしてくるのだから、虜にならないわけがない。

 

大掛かりで多彩なステージ内ギミックとアスレチック

フリーフローアクションの導入に合わせてマップが巨大化・立体化していた『DDD』の流れを受け、今作のマップの面積・体積はともにシリーズで最も広大だ。

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チュートリアルで訪れる『ヘラクレス』のオリンポスは、従来がオリンポスコロシアムのみを舞台にしていたのに対して、テーベの街・オリンポス山・天界の3つが舞台になっている。従来ならば、それぞれがひとつのワールドに相当するほどの広さである。その上、ステージギミックやイベントも増えている。壁を駆け上がって山を登ったり、火の海の中をスケボーで滑ったり、落ちてくる岩石を避けて敵に接近したりと、スケール感を得られるものばかりだ。

『トイ・ストーリー』の主戦場であるギャラクシートイズは、3階建の規模の大きいおもちゃ屋で、女児向けおもちゃ、ベビー用おもちゃ、ゲームなどヴァリエーションも充実。多くのプレイヤーは「○○に向かえ」とインフォメーションに表示されても、迷ってしまうことだろう。それだけ横幅の探索領域が増えているということだ。マップには搭乗可能なロボット(のおもちゃ)も配置されており、もはや別のゲームかと思うほどに大暴れすることができる。

『パイレーツオブカリビアン』のザ・カリビアンでは、ソラ達が海賊となって海を航海できるという大サービスがあり、とても驚いた。マップ上にある島々を自由に巡って、探索することができる。操作画面は、『アサシンクリード4 ブラックフラッグ』などを思い出すルックスである。敵船に砲弾をお見舞いすれば、カリブの海賊になった気分を味わえる。

ステージ毎に挑むことになるミニゲームもプレイに華を添えている。例えば、広場でのラプンツェルとの踊りは、それまでの長い旅路の疲れを吹き飛ばしてくれる。食材が集まれば『レミーのおいしいレストラン』のリトルシェフと協力して、ステータスを向上させる料理を手に入れる。ラビットの農園のお手伝いでは、100エーカーの森の仲間たちと手を合わせて収穫する可愛らしい風景に、思わず穏やか心地になる。ただ戦うばかりではなく、その作品世界に即した遊びを通じて、その世界の観光が成し遂げられる。ミニゲームはひとつひとつは易しいものの、数が非常に多い。要所要所のミニゲームのおかげで、マンネリズムはある程度遠ざけられていたように思う。

各ワールドはビジュアル面でも個性を色濃く映しているが、ギミックやミニゲーム、ステージ構成といったゲームプレイに直接影響する面でもカラーが異なっている。さまざまな世界を冒険したいというプレイヤーの好奇心を刺激するステージ制だ。

 

ゲームプレイから切り離された冗長なムービー部分

今作では、魅力的なディズニーワールドを敵を爽快に倒しながら進んでいくという流れが基本である。ある程度進むたびに、物語を伝えるべくムービーがはさまれる。

この旧態依然としたムービー流しの手法には、しばしば問題があると取り沙汰される。

代表的なのは、ゲームをプレイしているにも関わらず、コントローラーを握る手を止められてしまうことだろう。こっちとしてはゲームがしたいのに、映像作品を見せられる。一切のアクションを取ることも許されない受動的な時間を強制されてしまうのだ。

かつては『メタルギアソリッド4』において、それまでのシリーズの謎の解明やストーリーの決着を描くために膨大な量のムービーが流れることに批判的な感想が散見された。近年発売されているAAAタイトルは、いずれもプレイヤーとゲームがインタラクティヴに結びつくことを重視し、ムービー偏重からは脱却しつつある。自分が最近プレイした『レッドデッドリデンプション2』では、カットシーンにおいてもキャラクターの動作や行動選択をボタン入力で促す演出が取り入れられていた他、必要な説明は馬に乗っての移動中に行われるといった形で、一方的に話を聞かされる時間を抑えようという意図が見られた。

現代のゲームがそうした流行にある中、『キングダムハーツ3』はどうかというと、残念なことに『メタルギアソリッド4』と同じ罠にはまってしまっている。『キングダムハーツ』と名のつくゲームは約10作品ほど発表されており、17年間にわたって展開されてきた。複雑化した設定、錯綜した布石の数々、長大化したストーリーなどは、ゲームプレイのみで説明・解決しきることは確かに不可能にちかいだろう。

だが、その総決算をカットシーンで解決しようとした結果、頻繁にプレイする手を止められてしまう羽目になった。

ゲームを初めて何度も「キングダムハーツ3」のタイトルロゴとオープニング映像を見せられ、実際にまともにプレイできるのはその数十分後。

ディズニー世界を冒険していても、頻繁にムービーが挿入される。黒コートを着た真XIII機関に足止めを喰らう場面は何度も繰り返されるお決まりである。とっとと進めたいという時にも長話が続き、解放されたと思って進めたらまたムービー入りし、辟易させられる。

しかも、このカットシーンは映像作品として観た際にも、これといって面白みがない。終盤はともかく、そこに至るまで派手なシーンは少なく、キャラクターの会話は立ち話が大半を占めている。ソラ、ドナルド、グーフィーの間で交わされる会話も、これまでのシリーズでやり尽くされた感があり、あまりに定型的でマンネリズムを感じてしまう。各ワールドで介入してくる真XIII機関との対峙もどちらかが口を開けば、「光」「闇」「心」「繋がり」といった抽象的なワードで浮き足立った水掛け論を繰り広げるばかり。

各ワールドの合間に挟まるムービーは、これまでの振り返りや情報整理が主で、新情報はごく僅か。そもそもこのムービー、ソラとは無関係な場所で繰り広げられるものも多い。こっちはこっちでゲームを進めているのに、いきなり別の視点で別の話を展開されてしまっては、ゲームを進めているという実感に乏しい。

一方で、ディズニーの世界を探索している最中に流れる、『キングダムハーツ』のオリジナルストーリーに絡まないムービーにはこうした問題が少ない。原作の再現、キャラクターの魅力、ユーモアがお披露目される映像は、純粋に見ていて楽しめるからだ。再現パートは、元がれっきとしたアニメーション作品とあって台詞回しやカメラワーク、キャラクターの表情が映像作品然としている。ソラ達とディズニー世界の住人が織りなす会話はコミカルで個性的なものが多く、その世界やキャラクターの魅力を再認識できる。

要するに『キングダムハーツ』オリジナルのストーリーを特段の工夫なくムービーに託し、かつあまりにゲームプレイの舞台たるディズニー作品のストーリーと絡んでいないことこそ、今作を歪なゲームたらしめている原因である。

おまけに長々と流れるムービーを追ってたどり着く結末は、これといって感動的ではないため、なかなかに辛いものがある。

 

「複雑」な割に「雑」なストーリー

カットシーンの多さが目に付くばかりか、カットシーンが伝えんとする内容も個人的には粗雑に思えて仕方がなかった。

今作は、今までの作品すべてを総括すべく、数多くの登場人物が揃い踏みし、『DDD』で黒幕マスター・ゼアノートから告げらた「7人の光の守護者と13の闇の勢力の対決」に向かって突き進むというのが主なあらすじだ。

しかし、困ったことにそのストーリーが道中まったく進まないのである。

今作ではディズニーのワールドを巡る中、真XIII機関と遭遇し、彼らが産みつけたトラブルを解決し、次のワールドへ…という流れを取っているのは先に述べた通りだ。

ところが、ここで絡んでくるXIII機関は、いったい何がしたくてソラに接触してくるのか、全く明かされずにお決まりのように出てきては意味深なことを吐いて去っていくだけである。ここでソラとその機関員の関係性が変化するだとか、ソラの心理に影響が及ぶといったドラマは全く見いだせない。

そもそも、今作のソラたちがなぜ異世界を冒険するのか。その動機もひどく曖昧だ。『DDD』にてマスター・ゼアノートの策謀に巻き込まれた結果失ってしまった「目覚めの力」を取り戻すため、という大義名分は軽く説明されるものの、その「目覚めの力」とやらはどういう力なのか、どんな方法で取り戻せるのかについては具体的な言及がない。『キングダムハーツ』における「友達探し」や『キングダムハーツ2』の「打倒XIII機関」に当たるような話の軸を欠いている。

そのため最終ゴールが見えない上に、そこまでの道筋もはっきりしないままただ放浪としているだけ。そう思われても仕方ない。

結局あれだけ拘り抜かれたディズニー世界は、今作の目的たる打倒ゼアノートとは全く繋がっておらず、本筋と関係ないところでお茶を濁しているだけであるし、ソラの言葉を借りれば真XIII機関も「思わせぶりなことだけ言って消えちゃう」掴みどころのないキャラクターに留まっている。明確な思惑も企みも伝わってこない。

ソラの視点では話が進まない一方で、ソラとは関係がないところで事態が進展することはあった。だが、それらは複雑に絡まったストーリーの謎を解き明かすのでもなく、これまでのシリーズをプレイしていれば容易に想像がつきそうなイベントばかり。意外性のある展開が来たかと思えば、急激に心変わりを遂げた登場人物が急に行動を起こすという納得しがたいものであったり、次回作への布石を打つような無粋な行為でしかない。

要領を得ない会話が延々と終盤まで繰り返された挙句、ストーリーの進行はほとんど後半に偏ることとなる。25時間のプレイのうち、ほとんど最後の5、6時間程度で17年間の歩みがまとめられ、解決が図られていく様子は、さながら大人の事情により打ち切りに遭う番組や連載漫画のようであった。

この17年間、約10作品で「ハートレス」「ノーバディ」などを筆頭に様々な設定が「心」を語るために用いられ、単なる冒険譚に留まることのない『キングダムハーツ』シリーズ特有の奥ゆかしさに寄与してきた。一回では理解しがたい難解な要素は、考察の対象に好まれ、物語の深奥を覗き見ようと多くの人々の興味関心を引いてきた。

この『キングダムハーツ3』におけるストーリーは、そうした考察すら無意味だったのではないかと首をかしげてしまうほどに雑に収束する。ネタバレしない範囲で表現するのであれば、光の守護者と真XIII機関の回りくどい抗争は既往のフィクションが散々扱ってきた「善と悪」「光と闇」のような単純な二元論に回帰してしまう。過去作品で明かされた悲劇の多くはとりあえず義務的に「救済」されただけであったり、挙句の果ては消化不良に終わらせられたエピソードさえある始末だ。

複雑な設定を追ったところで、行きつくのは悪に立ち向かう少年の話でしかない。抽象的な言葉でこちらの想像を煽っていたのは、煙に巻こうとしていただけのようにも思えてくる。「複雑さ」の先に待ち受けていた決着がこんなにも浅はかでは、空虚な気持ちになるのも致し方ないだろう。

意味深長で難解なストーリーによって莫大に膨れ上がったプレイヤーの期待に、今作は応えることができたとは言い難い。それが自分の率直な感想である。

▲ゲーム中の情報整理。いくらなんでも分身、分裂が多すぎる。

 

まとめ: 美しく楽しいが、歪。

今作の魅力と欠点はわかりきっている。

戦闘システムは実に爽快で、ソラはコントローラーの入力に即座に反応し、滑らかに動き回ってくれる。ド派手なエフェクトで火花を散らす光景を見ていると、快感が得られる。

冒険の舞台となるディズニーの世界は精巧に作りこまれており、その作品を知っていれば感動し、知っていなくとも興味を強く引き付ける。カリブ海を船で移動したり、サンフランソウキョウの摩天楼を飛び回るといった壮大な仕掛けも数多くある。

スクウェア・エニックスというゲーム屋が、ディズニーという莫大なソフトパワーを活用し、美しく楽しい夢を見せてくれるわけだ。

反面、スクウェア・エニックスが抱える問題点を色濃く映してもいる。挿入されるムービーでストーリーを進める手法は、徒にプレイヤーを放置させる。忍耐に見合うほどの魅力的なストーリーも提供できておらず、流石にムービー主導はそろそろ限界が来ていると思わせられた。

しかし、この問題を抱えたカットシーンと『キングダムハーツ』オリジナルのストーリーこそ、今作の軸であるために、見過ごすことも叶わない。

『キングダムハーツ3』はたしかに美しく楽しい夢を見せてくれるが、そうでない部分との乖離が激しい、歪なゲームだった。

 

おまけ: 『KH3』プレイ前に最低限やっておくべき作品

クリアした今となっては、『キングダムハーツ3』のストーリーを完全に理解するためには全作予習必須と断言できる。

PS4を所持していれば、以下の2本で全てを予習可能。

↑第一作『キングダムハーツ(2002年発売)』から『キングダムハーツ Re:コーデッド(2010年発売)』までの計6本をHD化し、一部は映像作品として収録しているもの。どれも『キングダムハーツ3』内で言及があるため、必須。

↑『キングダムハーツ ドリームドロップディスタンス(2012年発売)』をHD化したものと、映像作品『キングダムハーツ キー バックカバー』、及び短編『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』の計3本を収録。最終章『キングダムハーツ3』の序章と位置付けられているため、必須。

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