こんにちは、最近散財気味のワタリ(@wataridley)です。
10月8日発売の『Nintendo Switch 有機ELモデル』を発売日に手に入れたので、そのレビューになります。
自分は既に2017年に発売された初期型Nintendo Switchを所有しており、流石に古くなってきたかなというところにこの有機ELモデルが発表されたので、購入を決めました。
予約開始日に販売店各所で抽選を行なっていたように、人気により入手困難になることは事前からわかっていましたので、当選できたのは本当に運が良かったです。
事前情報では、主に携帯モード向けの機能が中心にPRされていました。そのため、TVモード主体で遊んでいる自分には不要なんじゃないかと考えたりもしましたが、実際に触ってみるとその考えは薄れ、従来型Switchとの違いが明確に感じられる改善モデルであると強く感じました。
以下、従来モデルのSwitchとの比較を交えながら、有機ELモデルが「買い」かどうかを語っていきます。
結論から言えば、これからSwitchを買おうと思っている人はこれ一択。既に持っている人も携帯モード・テーブルモードでの快適性を求めるのであれば買い替えを検討しても良いと思いました。
目次
大きな特徴
7インチの有機ELディスプレイ
まず、有機ELモデルと銘打たれている以上、OLEDを採用したディスプレイこそが本モデル最大のウリであることは間違いない。
一般的な説明をすると、従来の液晶ディスプレイでは搭載されたカラーフィルターにバックライトを照射して画面上の色を表現していたのに対して、有機ELと称される現象はディスプレイを構成する有機発光ダイオード自体が光ることで色を表現しているという違いがある。そのため、黒色は光を通さず、そのまま黒として表現できるなど、発色の性能に差異が生まれる。
上記を念頭に入れていても、自分は有機ELモデルの視認性に対してはあまり強い期待を寄せてはいなかった。そもそも、解像度は720pから向上していのだ。かたやPS5等の据え置きゲーム機であれば4k出力も実現しているこの時代に、携帯ゲーム機とはいえ最新モデルが720p止まりという所に対する拍子抜け感の方がむしろ大きかったかもしれない。
ところが、実際に目で見たところ、明らかに視認性が向上していることに驚かされた。
▲上から従来の通常モデルのSwitch、有機ELモデル、Switch Liteと並ぶ。
まず、Switchのホーム画面上に表示される各ソフトの画像の時点で、描かれている色味がくっきりと表示されていることに気づく。実際のゲーム画面に移行すると、これがもっと鮮明に感じられる。液晶ディスプレイでは黒色の表示に対してもバックライトで照らしていた都合上、若干グレーがかって見えた箇所も、有機ELでは深い黒色として表現される。ただそれだけのことかもしれないが、ゲーム上の影や闇の領域が黒く映ることで、それ以外の光が当たる箇所の眩しさも際立つ。このコントラストの内包により、画面全体が以前のSwitchと比べていっそう繊細に映るようになったことの感動は、手に取る前はあまり想像出来ていなかった。
▲上が従来の液晶ディスプレイ、下が有機ELディスプレイ。有機ELモデルは花火からマリオ達の衣装、遠景に至るまでビビッドな色味を表現できている。
例として『マリオカート8DX』のタイトル画面で比較してみた。スマートフォンのカメラ越しであっても、レインボーロードの多彩な色味が有機ELではくっきりと映り、背景の夜の街並みには対照的に暗がりが出来ていることが確認できる。それと比較すると、従来の液晶ディスプレイは画面内で光っている箇所とその付近が白飛びし、背景も若干靄がかかって見える。
有機ELディスプレイの効果は、光と闇のみならず、発色全体にも及んでいる。『マリオカート8DX』では、マリオの帽子の赤やオーバーオールの濃いめの青に加えて、その瞳に浮かぶ虹彩の鮮やかな青までもが視覚に訴えかけられる。『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』では優しい草原の緑と青空の対比や降り注ぐ日の光の眩しさが伝わり、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』では各キャラクターの衣装や高精細なグラフィックで描画されたステージが7インチのディスプレイ上ではっきりとその個性を主張していた。
▲遠方に見える空の青、火山の赤が有機ELディスプレイでははっきり視認できる。
▲銀河の闇と星のコントラストを背景に、手前の草原の緑や、マリオ、サムスのボディカラーもはっきりとした差が出ている。
ディスプレイサイズが6.3インチから7インチに増大したことも、これらの有機ELの色彩表現の豊かさを補強している。従来型では筐体サイズに対するベゼルの太さがかなり気になっていたのだが、有機ELではベゼルが極小化する代わりに画面の表示領域が増加している。痒いところを程よい力加減で掻いてくれるぐらいの改善を施してくれている。結果的に、本体サイズは横幅が3mm、重量は22g程度の増加に留まっているため、今までのSwitchと殆ど変わらない携帯性を確保しつつの、ゲーム体験の向上が実現されている。
▲Switch各種モデルの背面比較。従来の通常モデルに比べて有機ELモデルは横幅が大きいが、微々たる差。
解像度が720pという引っかかりが完全に消え去った訳ではない(個人的には価格が向上しても1080pは欲しい)が、この有機ELディスプレイへの移行と画面サイズの拡大だけでも、Nintendo Switch 有機ELモデルは「買い」であると感じた。
しかも有機ELモデルの強みは、これだけではない。
フリーストップ式の背面スタンド
背面スタンドの強化も嬉しいポイントである。
というのも、元のSwitchの背面スタンドはスタンドと呼ぶにはあまりに貧弱で心許ない、一応備え付けられた部品でしかなかったからだ。何かの拍子でポッキリと折れてしまいそうな薄さ、細さに加えて、角度調節が出来ないこともあって、テーブルモードで遊ぶ機会というのはほとんどなかった。
▲従来のSwitchの背面スタンド。しかし、スタンドと呼ぶべき代物ではない。
これが有機ELモデルでは、背面の下部がフリーストップ式の背面スタンドと化し、角度調節も自由に行うことができる改善を遂げた。指でぐっと押すことで調節ができるため、何かの拍子でSwitch本体に重力が加わってもすぐさま壊れてしまう心配は無くなった。(もちろん、あまりに乱暴な使い方では壊れてしまうだろうが)
スタンドはSwitch本体が直立に近い角度から寝かせる寸前まで調節できるため、椅子や机の高さに応じて、いつでも見やすくプレイすることが可能になった。これなら大幅に改善されたディスプレイの視認性と合わせて、テーブルモードを遊ぶ機会はぐっと増えるのではないかと思う。
有線LAN接続口の標準搭載
これは改善点というには些か地味であるが、従来型Switchでは搭載されていなかった有線LAN接続口が標準搭載された。
対戦ゲームなどでは通信速度は快適性と公平性に絡んでくる要素である都合上、有線によるインターネット接続は暗黙の了解上必須とも言える。別途有線LANアダプターを購入する費用・手間も省けるばかりか、有線接続人口がこれにより少なからず増加することを考えると、ありがたい進化ではあるが、これが第一の購入動機になることはまずないかもしれない。
とはいえ、従来型Switchとの価格差5000円に、LANアダプター分の料金(高いもので3000円近く)が含まれているとなると、購入する上での検討材料のひとつにはなり得ることは確かだろう。
64GBの本体保存メモリー
本体保存メモリーが従来の32GBから64GBに増加している。これによりSDカードを買い足さなくてもダウンロードできるゲームの数が単純に倍増したと言える。
例として、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(14.4GB)が従来型(32GB)だと2本分、有機ELモデル(64GB)なら4本分に相当する。(実際にはシステムデータや本体保存のセーブデータ、画像・動画データ等の容量があるため、丸々64GBは使えないため、上記の例だと3本ダウンロードが限界だと思われる)
既にSDカードを所有しているユーザーにとっては、こちらも有線LAN接続タップと同様に恩恵が薄い強化点ではあるものの、やはり価格差5000円を僅かでも埋めるため、地味ながら有難いことに間違いない。
Switchはゲームのセーブデータは本体にしか保存できない仕様であることを踏まえても、備えあれば憂いなしという理屈上で価値のある進化ではある。
強化されたスピーカー
スピーカーの強化は宣伝でも言われていたが、実際に聞いてみないことには程度がわからなかった。実際に聞いてみると、これはオーディオに拘りのある人とそうでない人等の間で個人差があるかもしれないが、自分は確かな音質・音量の向上を実感できた。
事前に想像していた以上のサウンドの迫力があり、むしろ有機ELに次いで驚いている。初めて起動した時のあのスナップ音やホーム画面の操作時の音でさえも鮮明に聞こえてきたので、有機ELの美麗な画面と合わせて新型を購入したんだという実感を得ることができた。
従来型Switchのスピーカーから聞こえてくる音は小さな箱か漏れ聞こえてくるようなこもった感じがあり、ゲーム内で一度に多量の音が並行して鳴っても平面的に均されて聞こえてくるのに対して、有機ELモデルはゲーム内の空間に反響する音の広がりがきちんと聴覚に伝わるレベルになっている。
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』では、リンクが草原を走っている時の柔らかな足音が耳元に伝わることで冒険の臨場感が格段に増し、ピアノ調のBGM自体が鮮明に聴こえることはもちろん、残響も印象に残るぐらいに音質はグレードアップしている。
従来型のSwitchは音質面では最新型と呼べるほどのインパクトはなかったが、有機ELモデルはこれまで手にした携帯ゲーム機の中では最も良いと結論づけている。ただし、どうしてもデバイスのコンパクトなサイズ制約は付き纏うので、本格的なAV機器等に比較すると、スピーカーの音量は依然として物足りないかもしれない。
以上はあくまで個人的な感想であるため、気になるのであれば、店頭での視聴をした方がいいだろう。
よってこのスピーカー強化は、それ自体が購入の強いきっかけになるというよりも、購入後にプレイしていると実感できる付随的な改善点といった方が個人的にはしっくりくる。
その他、触って気づいた点
サイズと重量の微増
重量は398gから420gと、僅かに増加。横幅も3mm長い。しかし、手に持った限りでは気になるほどの差は感じられず、特に従来型と比較してのデメリットとはならないと思われる。
言い換えると、元から携帯機としては重さが気になるという問題は残置されているため、外出時にも気軽に持ち運びたいという場合にはNintendo Switch Liteの方がやはり適任だろう。
限定カラーの白いジョイコン
現状では、この有機ELモデル限定のカラーである白いジョイコンが付属するのは、白色が好きな人には購入動機のひとつになり得るはずだ。
手に取って見たところ、厳密にはまっさらな白ではなく、ややグレーがかったオフホワイトになっている。スマホにしろ携帯ゲーム機にしろ、真っ白な色は無味乾燥に感じてなるべく選んでこなかった自分でも、この白は少し落ち着いた印象を与えており、意外としっくり来た。
白色の製品についてまわる汚れが目立つという不安は依然あるが、華美な着色を敢えて避けた、シンプルで清潔な色合いは、他のジョイコンのカラーバリエーションにない見た目の美しさがある。結果的に、従来モデルにもあるネオンレッド&ネオンブルーではなく、限定カラーのこちらを選んで満足している。
▲白い紙に載せてみると、少しグレーがかっていることがわかる。
デザインが変わったドック
性能とは関係ない所で言うと、ドックデザインも変わっている。上辺の角は丸みを帯びたシルエットになり、Switch本体の接続口はツヤのある質感に変わっている。また、側面に印字されていたSwitchのロゴは小さくなり、プリントから彫刻模様に変わっている。かように無骨かつ無難なデザインだった従来型と異なり、インテリアとしても高級感を覚える改良が施されている。
基幹部分の設計は変わっていないためか、従来型Switchを接続することも可能だ。ただし、性能面では特に変更は見られない。事前に密かに期待していた処理速度の向上・ローディング時間短縮などは、本体共々ない模様。
また、少し嬉しい変更箇所として、ケーブルの接続面を覆うカバーが、取り外し可能になったことが挙げられる。以前のSwitchでは開閉式だったが、各ケーブルが固く、閉じて使用することは難しく、かといって開いていると横に場所を取るという些細ながらもどかしい悩みがあった。これが解決されており、おまけに付属のHDMIケーブルもしなやかなものに変更されている。
本体画面の鮮やかさ設定
従来型との細かい相違点を挙げると、本体画面の鮮やかさも設定できるようになった。本体のディスプレイが有機ELとなり、色がはっきりと表示されることについて、視覚面で心配があるというユーザーもこれで安心だ。
設定画面上にある「本体画面のあざやかさ」から「あざやか」か「標準」を選べるようになっている。有機ELディスプレイの項で述べたのはここでいう初期設定の「あざやか」で、これまでの液晶ディスプレイに近い色合いでプレイしたい場合は「標準」にすればよい。
公式サイトの開発者インタビューにもあるように、細かな変更点は上記以外にもあるかもしれないが、とにかく従来型からより遊びやすく、より快適にプレイしてもらうための工夫が凝らされたモデルになっている。
結論:従来型との二択で迷っていたら、迷わず勧められるモデル
結論、有機ELモデルを買うべき、または買ってもいいという人は以下の通り。
①2017年発売の初期型Switchをまだ持っていて、そろそろ買い替えたいと思っている
②Switchを一台も所有しておらず、どれを買えばいいかで迷っている
③携帯/テーブルモードでよく遊ぶ、なおかつ携帯/テーブルモード時の改善を求めている
①に関しては、自分も該当している。2017年3月3日まさに発売日当日に購入して以降、初期型Switchを使っていた。TVモード主体で遊んでいたものの、ファンの音やたまに携帯モードで遊んだ時のバッテリーの減り具合なども気になってきたため、買い替え先としてこのたび有機ELモデルを購入。結果、これまで書いてきた通り、ディスプレイや音質の改善に満足し、今後は携帯モードでも積極的に遊んでみようと思える買い物をしたと思うに至る。
②に該当する人については、よほど経済的に5000円上乗せするのも厳しいという限りでなければ、有機ELモデル一択で問題ないと思われる。そもそも携帯モードでしか遊ばないとはっきり決めているのであればNintendo Switch Liteも視野に入ってくるだろうが、そちらは携帯モード専用であり、のちのちTVモードで遊びたいとなっても遊べないため、それを考慮すると、通常のSwitchか有機ELモデルになる。基本的にはより遊びやすい有機ELモデルがやはりお勧め。
③についても、携帯/テーブルモードのエクスペリエンスは大幅に向上しているため、有機ELモデルの特徴に惹かれているのであれば、素直に購入をお勧めできる。
逆に買うべきでない、または様子見でいいという人は以下の通り。
①2019年発売のバッテリー容量増加型Switchを持っていて、現状それで満足している
② 携帯モード専用のNintendo Switch Liteを持っていて、現状それで満足している
③ 携帯/テーブルモードで遊ぶつもりは全くない
①の条件に当てはまる人は、様子見でいいかもしれない。自分は初期型Switchだったため、今回の買い替えでバッテリー容量の増加の恩恵も受けているが、既に改良型モデルを持っていた場合はその恩恵がなく、なおかつ現状のモデルで満足しているのであれば、それを押し切ってお勧めするほどではないからだ。有機ELモデルは、かつて発売されたNew 3DSやPS4 Proなどに比べると、テレビモードでは性能が明確に異なるといった進化はないため、この理屈を補強する。
②は、明確に外で持ち出して遊びたい、明確に軽くて持ちやすいモデルがいいと考えている人を指している。有機ELモデルは、サイズ・重量共に微増に留まってはいるものの、携帯性が改善されている訳ではない。よって、今まで通常版Switchを携帯モード運用せず、敢えてNintendo Switch Liteを使っていた人にとって、有機ELモデルが急いで買うに値するかは自分も自信はない。(もちろん、有機ELモデルの特徴に強く惹かれているのであれば、購入すればよい)
③これについては、有機ELモデルの強みが全く噛み合っていないため、買う必要はないだろう。そもそもこのパターンに該当する人が、わざわざこの記事をここまで読んでいるかも怪しいのだが…。
まとめると、Nintendo Switch 有機ELモデルは、複数の選択肢で迷っているのであれば、これを買った方がいいと言えるSwitchモデルだ。拡大した画面サイズに美麗な映像、クリアに聞こえるサウンド、テーブルに安定して置けるフリーストップスタンド、その他細やかな改善点を考えれば、5000円という通常モデルとの価格差はまるで気にならない。
コメントを残す