『ボンバーマンジェッターズ』33・34・35話感想

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第33話 アインでボン!

いつも通りヒゲヒゲ団が悪事を働き、救援信号を受けたジェッターズが出動する平常運転の回…と見せかけて、とてつもない大波乱が巻き起こる。なんと、司令塔のドクターアインが合体ボンバーマンに変えられてしまう約束破りな展開。

アメフトティラノボンバーというマッチョなイメージを持つ要素を組み合わせたいかにも強そうな合体ボンバーマンをアバンで瞬殺。続いてシロボンが珍しくヒゲヒゲ団員をボンバーシュートで爆撃していく描写が挟まるが、こうしてみると改めていつでも爆弾を生み出せるボンバーマンとは戦略的価値が高いと実感する。もっともその人物がチョコとバナナを組み合わせたいと願うシロボンだから、普段はとてもそうは見えないのだが…。

コスモジェッターがドクターアインと合体したことで、ジェッターアインが誕生。この回では脚本通りにセリフを読んでいるのかわからないぐらい跳ねっ返りなテンションの緒方賢一が見どころ。

敵として立ちはだかるアインはジェッターズを情報戦(シロボンのコネ入社、ガングの弱み、シャウトの乙女の秘密)で制し、戦闘においてもバーニングファイヤーボム&サンライズサンダーボムをものともせずに、搭載されたドリルジェッターを射出したパンチでジェッターズを一斉に蹴散らし、主役交代もやむなしの大活躍。

宇宙に一つしかない石器フロッピーも、コスモジェッターもヒゲヒゲ団側に持ち去られてしまい、ジェッターズはどこからどう見ても絶体絶命のピンチを迎える…のだが、どういうわけか場面転換すると本拠地ジェッター星に戻っているという不可思議な事象が発生。触れようとする度にシロボンが口を塞がれ、他の登場人物は構わずやり取りを続行する有り様。本当にどうやって戻ったんだ…。

小学4年生までオネショ癖があったという痴態を謁見の間で晒されるバグラーだが、なぜかそんなバグラーの経歴を知っていたメカード。またある場面では、ミスティと接触し、同行しているアンドロイドを訝しむバーディとメカード。脱力しきった会話の中で思い出したように真面目な顔がちらつくようだが、この33話はギャグとシリアスのギャップに満ちたジェッターズの特徴が顕著に出ている。

バーディが立案した作戦は、コスモジェッターに侵入し内部から爆破するという、なぜかシロボンとガング(ついでにアイン)の安全性は度外視の杜撰すぎる段取りであるが、今回はシリアス度のパラメーターが劇的に下がっているが故に許される。

作戦を決行し、合体したアインを前に落涙するガングだったが、無慈悲にもシロボンにボンバーシュートを命令。同じ仲間・立場・心情であっても、所詮は他人という酷薄な視座があればこそ、ガングがボンゴによってむなしく改造されてしまうように、アインもまたガングに口撃されてしまうのだ。人が誰しも持つエゴイズムと無情な一面を指摘してみせた名場面である。そして、シロボンの脳内で語りかけるマイティの「ボン婆さんの言う事を聞くように」で一度は希望をちらつかせてから、ボン婆さんの「迷わず撃て」の裏切りが非道。

敵勢力に味方の機体を司令塔ごと奪われるって普通に考えれば絶望的な展開のはずなのに、マイティの回想シーンの変化球に加え、ボンバーシュートのバンクシーン使用も3回と過去最高クラス(24話の怒涛のバンク5回使用に次ぐ)ときて、全52話の中でも指折りに遊びんでいる回である。

 

第34話 激闘!B-1グランプリ!!

今回は、ボンバー星にて開催されるB-1グランプリに参加し、他のボンバーマン達と競い合う話。シロボンは、前回の決勝でマイティと戦ったオヤボンとその舎弟コボンと知り合い、お互い対抗心を燃やす。前々回のダイボンに引き続き、今度は個性豊かなライバルボンバーマンも登場し、ボンバーマンを主役としたアニメらしい世界観の提示がなされる。久々の前後編構成でもある。

シロボンがB-1に参加するために来たはずが、すっかりジェッター星の観光目当てのジェッターズ、すっかりモモちゃん目当てのドクターアイン。しかし、ボン婆さんと会えるとテンアゲ状態だが尽く近くで対面する機会を逸する。

一方、マイティがかつて手にした優勝カップをめぐって、シロボン、ゼロ、ヒゲヒゲ団らが大会優勝を狙い、複数の思惑が並行する。しれっとナイトリーも久々に登場するなどここまで出してきた要素をたくさん詰め合わせて、今後の布石を張り巡らせながらも、基本は暗黒武術会や天下一武道会的な一芸バトルで楽しませてくれる。

ここで久々に1クール目の合体ボンバーマン達が、メカードに再生してもらい再登場。6話のハウジングボンバーはサイズの問題か登場せずだが、序盤のキャラクターが一発退場してそのまま触れられず仕舞いでなく、後半にも顔を出してくるのは嬉しい。視聴者目線でも、本来のボンバーマンである大会参加者達を引き立てる役目を担ってくれている。

と、思いきやコマボンバーはヒゲヒゲ団の団員156号相手にドジって負けてしまうという不測の事態に。バットボンバー、ドルフィンボンバーは前回交戦時に一度はシロボン達を苦戦させるシーンもあったので今回は負け役で仕方ないにせよ、ベアボンバーは前回も今回もイイとこ無し!あれ?ところでもう一匹いたような…。

オヤボンはつむじ風を吹かせる番長ボムによって、シロボンはボンバーニンジャの翻弄する戦法に自ら活路を見出すことで、お互いトーナメントを勝ち上がる。オヤボンは最初やや突っ張りにも見えるキャラで出てきた割には、言葉に違わぬたしかな実力を示し、対戦相手にも礼儀を尽くし、先の対戦相手たるシロボンに発破をかけ、1話のうちにすぐさま好感度を上げ、シロボンの好敵手に。またその背後では、マックスにしか見えないボンバーゼロがボムを使わずに勝ち上がっていく様子もあり、どこか緊張感も漂っている。

 

第35話 B-1勝負!燃えよシロボン!!

のっけから戦っていたのにその様子を放送してもらえなかったカモメボンバー。上司のムジョーにまで無視され、156号の対戦相手なのに主催側からも見逃される。この天才的な影の薄さが幸いしてか、合体ボンバーの中でお役御免とならず残存し、最終回にも出番がある。

ボムを投げられないまま勝ち進んでどうするのか不安がるミスティに、「大丈夫、どうにかなるよ」と答えるゼロは、この時から自らの中に眠る力を自覚していたのだろうか。根拠があるかは定かでないのに、不安を感じる相手に自信ありげにそう答える口ぶりは、声も相まってマイティに近似してくる、といった形でトーナメントの幕間ながら興味深いやり取りである。

かつてバーチャル空間でボン婆さんと相まみえた時と同様に、最年長参加者シルバーボンバーに対して年寄りだからと油断するシロボンだが、今回は相手の技を見て盗むという機転を効かせたプレイで見事勝利。

「ひとつ屋根の下、あんちゃん頑張るぞ!」と鼻息荒くするドクターアイン(a.k.a 江口洋介)だったが、その晩はシロボン達はオヤボンの家宅に世話になることに。ボンゴの言う通り、運命の赤い糸がブチ切れているとしか思えない。OPでは2人揃ってのカットがあるのだが…。

ボムスターの話題で、「兄ちゃんは7つ持ってた」と過去形で言い、マイティは今なお行方不明という巷の情報を口にしたオヤボンに対し、「死んじゃった」と涙を流さずに答えるシロボン。27話冒頭で涙を流して以降、ジェッターズは戻ってきた日常を謳歌するような話が続いていたが、ここでオヤボンという他者を前に、マイティの死をシロボンは事実として受け入れたのだと改めて明らかにする瞬間が描かれる。

そんな彼を前に汗は男の涙と言い、代わりに背負投げで悲しみを表明するオヤボン。オヤボンもまた腕を競い合ったライバルがもういない突然の事実の発覚に動揺したのだろうが、マイティの弟の前で感傷的に振る舞うのではなく、明日の勝負に向けて互いを鼓舞するやり方を選ぶ。まさに親分の鑑。

また、この場面では、6つのボムスターを所持しているオヤボンは、マイティが7つ持っていたという発言に少し疑念を抱いている様子がある。当然7つ目を追い求めて鍛錬を続けているであろう彼が、かつてボムを交えて勝利を譲ったマイティに対してさえ、そうした懐疑の視線を向けるというのは、伝説のボンバーマンや7つ目のボムスターの存在に、揺らぎを与えている。

オヤボンとの準決勝に向かう途中で、事故に遭っていたコボンを助け出したシロボンは、結果として5つ目のボムスターをゲット。2つ目10話→3つ目18話→4つ目32話と入手してきたペースを考えるとかなり間隔が短い。しかし、それぞれがミスティを義理堅く助けたお礼、ガング&ボンゴとの特訓の証、ルーイとの絆に涙するシロボンへのダイボンからの心遣いであることを鑑みれば、(5つ目のボムスターだと思っていた)優勝カップよりも救助を優先した行為に報いる形で送られるのは今更何ら疑問も生じない。

ところで余談だが、1つ目のボムスターはその入手方法は劇中で一切語られていない。シロボンは1話の見習いボンバーマン呼ばわりされている段階から所持していたことから考えれば、「ボンバー人(本作においてボンバー星生まれの民族を意味する)はみな生まれながらにして所持している」という説がひとつ考えられるが、自分は本作の「ボムの心はボムに在らず、心に在り」を重視する作風からして「ボンバーマン(ボンバー人と異なり、修行を積んでボムを投げられるようになった戦士を指す)として自覚した時に手にする」のではないかと想像する。

そして、ついに優勝カップを手にしてしまったボンバーゼロ。オヤボンにどうやって勝利したのか、そしてその実力はマックスであるが故なのか、それとも?と、こちらは先が気になるのに、次回は一旦いつもとは異なる形式の寄り道の回という焦らし方がなかなかいやらしい。

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