『ボンバーマンジェッターズ』50話感想

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第50話 合体!ダークフォースボンバー!

アームの根本を破壊しにジェッター星の各拠点を破壊する最後の任務。ジェッターズ、オヤボンら、ゼロの三手に分かれ、プロトマックス軍団と対峙する。

クーデターを起こし、ジェッター星とボンバー星の衝突など大損害を与えようとするも、計画に破綻の兆しが見え始めたところで、(元よりそうだったが)メカードが決して巨悪などでない様が露呈していき、とうとう自分が作ったはずのマックスにも見切りをつけられてしまう。マイティの戦闘データを素に生まれたマックスもこれまではロボット三原則のひとつ(人間の命令に従わねばならない)に基づき一応はメカードの命令に従い続けてきたものの、自らの根源であるマイティにより近い存在であるゼロに打ち勝ち、自身の存在を証明しようとする我欲が発露してしまったことで、メカードの思惑を外れていくというわけだ。ここまでメカードは計画の賛同者に一人も生きた人間がおらず、自分が作ったアンドロイドか洗脳したヒゲヒゲ団員しか味方がいなかった。ヒゲヒゲ団の総統バグラーもムジョーという共感者がいたし、ジェッターズもメンバー同士が信頼関係を築いていた。そんなヒゲヒゲ団ともジェッターズと好対照であり、しかし本来裏切るはずのないはずのない手下のアンドロイドの内面の変化にすら気づくことがなく、それ故に最後は再び独りになるとは、なんとも皮肉な着地である。

次の出撃が最後になると宣言していたバーディが、ここにきてシロボンを戦力の1人として認める。肩を並べて戦った機会といえば、26話で一度マックスとケリをつける時以来だろうか。あの時点でのシロボンはボムを用いた攻撃手段として重用されつつまだまだ実力不足。周囲の助けがあってこそ成り立っていた。アインからの指令を受けてジェッターズのメンバーがピンチに陥った際の最後の砦となる場面が何度か描かれたように、単独で仕事をこなせる前線面での実質的なリーダーはバーディが担っていた。それがシロボンの至らなさを叱り、戦い方を教えながらも、やっと肩を並べるまでの所まで来たのだ。50話もかけてやっと…。こういう頼れる実力派の仲間キャラが努力を積み重ねた末に主人公を認める展開は古今東西定番ではあるが、そのギャップが未だ埋まらないものであるとしながらも、じっくり時間をかけて最後の最後にその成長を認める展開を取っておくというのは、けっこうレアなんじゃないかと思う。

マイティの好物は知らないと改めて言うボン婆さん。そういえば、シロボンがジェッターズを一度辞めてボンバー星に帰ってきた時は好物を用意して待ってくれていた。残酷な対比を思い起こさせるが、物語が佳境に入り、マイティの死に今一度向き合う上では重要なことではある。ボン婆さんはゼロは知られざるマイティの内面を教えてくれた恩人だと言うが、ミスティにとっては亡霊であるというのもまた残酷。マイティ以外の存在にも先立たれた経験のあるボン婆さんは人の死をやはり受け入れるだけの経験と慣れを有しているが、一方のマイティに恋焦がれていた距離感でいたミスティは今は亡き面影に縋るためにゼロを利用している側面もあったと言える。同じ人物を亡くした者同士なのだが、明確にその温度感は異なっている。

ゼロはMA-9をいとも簡単に撃破。最初に作られた機体のはずなのだが、改良を施されたはずの後継機に勝るのは、やはりマイティの戦闘データとその記憶を有していることが大きいということらしい。

バーディはシロボンと共闘するも負傷が響く様子。このシーンはやはりハラハラする。バーディも思い残すことがないような口ぶりだったり、これまでの総括を語り始めたり、2話の対比となるバッジのくだりもあり、もしかしたら死んでしまうのではとバーディへの心配に身をつまされる。そんなことにはならずに済んでホッとするのだが、ここでバーディがシロボンに新たなバッジを渡すという行為のためにバーディというキャラクターはいたのだと考えると、(この後も出番はあるが)キャラクターとしてはここが最後の輝きともいえるのかもしれない。

これまでのバーディ(もとい組織としてのジェッターズ)はシロボンをいなくなったマイティの代わりとして受け入れ、ボンバーマンの能力を頼ってきた。シロボンにとっては尊敬する兄の役目を継ぐのは自然なことであり、それによって時折バーディの言う通り重い荷物に感じてしまうこともあったが、一方バッジを渡した当初のバーディもマイティの死を完全には諦めきれないまま、血の繋がった弟にそうした面影を見出して共に活動してきた側面もあるはずだ。だから、ここでシロボンに新しいバッジを渡すという行為は、シロボンをマイティの代わりではない、また別の一人前として認めることにほかならない。シロボンがゼロにマイティのバッジを渡したことはこの時点ではゼロをマイティと同一視している部分も否定しきれない含みがあるが、バーディからシロボンにバッジを送ったのは年長者として一足先にマイティの死を認め、今目の前で共に戦うシロボンに向き合ったことになる点において、同じ「バッジを渡す」アクションにも、渡す側、渡される側のそれぞれの葛藤がある。

ゼロってもしかしてマイティ?と今更気づくガングだが、ゼロがジェッターズと共闘してワープ装置を止めに行った際にゼロの指示を受けてしれっと「マイティ」とその名を呼んで応えてはいた。あれはゼロの口ぶりと振る舞いから無意識にそう答えただけだったようだ。

3本のアームを停止させたものの、重力で引き寄せられることを止められず、再びセンターラグーンへ突入するゼロ。そしてその前に立ちはだかるマックス。互いにマイティのコピーでありながら、互いに存在を否定し合う戦いが繰り広げられる。ゼロはマイティを殺害して不本意に誕生してしまった自らの存在ごとマックスを消そうと目論むが、マックスはゼロといオリジナルに近い存在を許すことができず頂点に立つべく勝負を仕掛ける。どちらも動機が真逆のようでありながら、マイティの人格が少なからず影響してその結論に到達しており、とてつもなく奇妙な果し合いである。

メカードは最後の悪あがきにスーパー合体ボンバーマン製造マシーンで、自らとプロトマックス軍団を合体させ、ダークフォースボンバーに変身。頭から翼が垂れて長い尻尾を持ったスリムなシルエットから白と緑のカラーリングに至るまで、ぶっちゃけ合体元と何もかも異なりすぎている。まあキャラボンを元に生まれた合体ボンバー四天王も同様だったので、あくまで外見的な特徴はマシーンにより独自に決められるのかもしれない。それにしたって、羽毛のある翼は鳥類、尻尾は爬虫類、そして頭にはツノがあり、衣服らしき肩当ても見られる等とデザインの根拠と統一感がイマイチわからずかなり奇抜で好みが分かれそうとか思ってしまう。ちなみに声はサンダーボンバーと同じく竹本英史氏が当てているので、その意味ではサンダーボンバーでは敗北を喫してしまったシロボンにとってリベンジ足り得る。

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