13話 シロボンの敗北
2クール目にして新章突入。前回に引き続き、キャラボン星でアチョーと間違われ、逃走中のムジョーが、改良された合体ボンバーマン製造マシーンを使い、キャラボン達をボンバー四天王に作り替える。
バグラーに見放されたムジョーにそれでもついていくというヒゲヒゲ団3名の存在がとても眩しい。しかもムジョーばかりに苦労役が任されているのと対照的にマックスが名を上げることを不審がって具申したりと、ヒラ団員とは思えぬ優秀さ。
ボンバーマン製造マシーンを洞窟内で受け取って出てくるのは普通に考えればおかしいのだが、冒頭にチャウケ星の宇宙に一つしかないイチゴ羊羹を物質転送している描写を以て実は説明はスマートに済んでいる。ついでに、物質転送はジェッターズ終盤のひとつのギミックになっていたりもする。
前回登場のキャラボン警察を合成素材として、2クール目のボスキャラであるボンバー四天王が登場。フレイムボンバーの独特な喋り方(「俺様」が「俺しゃま」に聞こえる)がなかなかクセになるが、今までの1話完結のボンバーマン達と違って、複数回に跨って出るだけあって4人ともキャラが立っている。
ムジョーに忠実なのは合体マシーンで生んでもらったことによる刷り込み故かもしれないが、前回までの不憫なムジョーの境遇を顧みると、ムジョーに忠実で有能な部下ができて思わずこっちまで心温まってしまう。主人公の敗北イベントにも関わらず、敵勢力に肩入れしてしまう。それもまたボンバーマンジェッターズの魅力の一つ。
今回相手のフレイムボンバーはシロボンと同じく炎属性のボムを得意とし、正面衝突で実力の差を見せつける。今までファイアーボム一本のみでやってきたシロボンが、2個目のボムスターを手に入れ驕り高ぶっていたのも束の間、初めて壁に突き当たる。ボムスターも便利なパワーアップアイテムなどではなく、ただ手に入れただけでは効果を発揮してくれないことを示唆している。
この回は、周囲のメンバーの動きにも着目してみると面白い。調子に乗るシロボンにご立腹ながら敗北した際には彼の身を案じるシャウトはもちろん、あの年頃の子供の傾向を把握して見守っているドクターアイン、危険を察知して真っ先に駆けつけようとするバーディ(また、基礎を仕込んでいたというボン婆さん)など、周囲がそれぞれの立場でシロボンを気にかけている様が読み取れる。
この回が通常回としては2002年最後の放送。シロボンが初めての敗北からいかにして立ち直るのかが気になって仕方がないところに、次回予告を担当するムジョー。
14話 栄光のヒゲヒゲ団!
ムジョー役の石井康嗣によるアダルティーな語りから始まる14話。いつものオープニングがムジョーによって見せられていたという番組枠を利用したイレギュラー演出。この手のギャグは配信などが盛んな昨今ではやはりあまり見なくなった類の演出である。途中からチャンネルを合わせたら何やってんだ?となるような回が懐かしい。
ヒゲヒゲ団はヒゲ以外の言葉を話せないため、ナレーション(クレジットではサイレント映画の「弁士」と表記)の屋良有作により、いつものヒゲヒゲ団の日常を見せ、独自の生態が明らかになっていくと見せかけて色々謎が深まっていく。ロボットなのに寝たり、歯磨きしたり、食事をしたり、ジェンダーがあったり、健康診断が人間同様に行われていたり(臓器もある模様)と、ただのロボットでは済まない生命らしさに満ちている。しかも田舎の母がいたり、所帯を持って会社勤めしている個体もいる訳で……。(しかも後者はのちに再登場)
ムキムキでリアルタッチのシロボン(CVは金田朋子のまま)がボンバーシュートを放つシーンは強烈。放送当時に見てからジェッターズの話を7、8割方忘れても、このシーンだけは頭に焼き付いていた。このシーン冒頭で20世紀FOX風のロゴがあり、映写機の音を微かに入れていたり、サイレント映画っぽい字幕挿入をしていたりする。他の番組再現もディティールがやけに凝っているのが今回面白いポイント。
ヒゲヒゲ団の話す言葉は今回は字幕・ナレーションで解説され、ヒゲヒゲ語講座なるものも劇中放映されているが、普段から自然と理解しているムジョーはなんなのだろうか。ルーイの言葉を理解しているシロボン、シャウトもなかなかに謎であるが。
しまいには、エンディング映像までもヒゲヒゲ団がジャックしている(脚本家の名前もまさきひろ→まさきひげに……)。ちなみに、今回はヒゲヒゲ団員の声に、ボンバーマンシリーズのキャラデザ(今作のキャラデザ原案)の水野祥司と、シリーズ構成の前川淳がクレジットされている。貴重。
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