『ボンバーマンジェッターズ』42・43話感想

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第42話 ムジョー、男の塩ラーメン

42話からOPが「僕は崖っぷち」から「ホップ!スキップ!ジャンプ!」に変更。OP映像には二人のマックス(ゼロとマックス)が映り、歌詞もキッズアニメらしいだった前期からシロボンの心情を歌った真剣なテイストに。通常4クールアニメなら2クールのタイミングで切り替えるのがセオリーだろうし、あるいは4クール目からなら40話あたりで切り替えるところを、ゼロの存在がネタバレであることや、ここからシロボンは亡き兄の真実に向き合っていくことを踏まえて敢えて取っておいたようにしか思えない。あまりにも心憎いタイミングでのOP変更ではないだろうか。

肝心の本編はというと、ヒゲヒゲ団の結成秘話およびバグラーとアインの因縁が明かされる息抜き成分もある回。囚われたバグラーを救う前にその動機にあたる回想を描くのは然るべき前準備ではあるが、OP変更して初めての回がコメディタッチ寄りなのはやはりジェッターズらしい。しかしこれが終わるといよいよ安穏としたタイトルのついたギャグ回はもうない。ムジョー率いるヒゲヒゲ団対ジェッターズの平和な回は33話「アインでポン!」が最後だったことになる。あの頃がなんだか恋しい気分になってくるような。

とはいえ、前半ではシリアスパートが進行。ゼロは正式名称MA-0、そしてマイティから抽出したデータがインプットされたアンドロイドのプロトタイプであると明言される。MA-10ことマックスはその完成形なのだという。マイティ(強大な、力強いの意)に対して、マックス(最大)というネーミングはミスリードを誘う関連性があったのだが、ここで機体名(MA)と製造番号(10→X)からつけられたその出自が明かされるのはなかなか面白い。そしてプロトタイプであるMA‐0は、そのままゼロ(虚無)としてマイティともマックスとも対になっている。MAはなんの略かは劇中説明されないが、おそらくメカードのアンドロイド(Mechard’s Android)とかだろう。

部下のムジョーの死亡に加えて、恋したモモちゃんの孫であるマイティまでもが実は自らの預かり知らぬところでメカードの手によって殺されていたと知らされなおも牢獄で尋問を受けるバグラーの状況はなかなかに壮絶。

アインの口からは、バグラーとは互いにモモちゃんを巡って対立していった過去と、そのすれ違いの果てに今のヒゲヒゲ団とジェッターズが結成されたことが語られる。この回想シーンのモモちゃん、子供の頃は幼馴染の好意に応えてくれていたのに中学校を境にそんな関係が鬱陶しくなっており、すっかりとっぽい言動になっているのも笑えるが、男どもが一人の女性に固執している裏で知らぬ間にとっとと恋人作ってましたというのがリアルで世知辛い。27話に引き続きモモちゃんのボンバーシュートのフォームは迫力がある。

一方、就職難の時代に仕事にありつけずやけになっていたムジョーは、発明家として臥薪嘗胆の生活を送っていたバグラーと意気投合。月給17万、有給10日間、独身寮ありの条件(しかも嘘)で承諾していたが、ヒゲヒゲ団は公的に認可された企業でないために健康保険も入れず今回高額の治療費をラーメン屋のバイトで払う羽目になっているので、労働環境があまりに劣悪。それでも飛びついて働き続けるって、どんだけ悲惨な氷河期だったのか推して量るべし。

 

第43話 突入! シュヌルバルト

いよいよシュヌルバルトに突入し、ムジョーと合同でジェッターズはバグラー救出作戦を決行。

妻子を設けて部長にまで出世していたヒゲ部長(398号)には、家族は大切にというはからいで待機を命ずるムジョー、義理堅い男。

また、突入時にバーディはコスモジェッターの操縦をシャウトに一任し、ムジョーもその後押しをする。バーディは実戦で命を預かる立場として当然の役割分担であるし、ムジョーは言葉通りジェッターズを自分たちの抗争に巻き込んだ負い目があることに加えて、ジェッターズリーダーとしてのシャウトを信頼していると同時にやはり危険ごとに彼女を巻き込むまいというところから、重要任務として背中を押したのだろうとわかる。これまでの戦いの中で、芽生えてきた信頼関係と、土壇場でのリスクヘッジの思慮が見て取れ、お気軽なギャグをやるが締めるところは締めるジェッターズの長所がよく現れたシーンに思う。

正面突破する気でいたムジョーに先んじて次々と監視を片付けるバーディに放ったシロボンの一言、なーんだ同じじゃーん。妥当としかいいようのないツッコミであるが、バーディにボコられてしまう。不憫。

ムジョーが生きていると知った時のバグラーの涙ぐむ反応、あまりにほっこりする。この可愛いヒゲのおじいちゃんの救出を目指して戦うアニメは、ある意味でレアなんじゃないか。バグラー役の麦人氏も威厳のある役が多いので、長いキャリアの中でこうしたお助けられ役をやることはだいぶレアな気がする。

バグラーは牢屋に囚われている、と(かつて牢屋に囚われた経験アリの)ムジョーおよび視聴者はそう思い込んでいたものの、よくよく見てみると、ここまでの劇中でバグラーとメカードの会話シーンでは檻の外は白飛びしていて隠されており、バグラーの術中と作品のミスリード演出の両方にまんまとはめられたのであった。メカードの用心深さ故だが、それにしても危ない場所に移設したものだ。

立ちはだかるマックスはムジョーに対し「ヒゲヒゲ団の誇りをなくしてしまったようだな」と煽る。マックスはかつて形式上仲間だったとはいえ、そういったことを口走るのはけっこう意外。バグラーの安否を不安がらせるようなことまで言ったりするのを見るに、狡猾な性格で相手の嫌なところを突くことに長けているという話なのかもしれない。マイティから生み出された存在でありながら、マイティとは基本的に真逆と言っていい。

しかし、「いい加減新しい技を覚えたらどうだ?」とシロボンを煽る→「ハイパープラズマボム!」のコンボは笑う。もしかしたら天然なのかもしれない。そこはマイティと似ている。

結局マックスには敵わず敗退するしかない状況の中、ムジョーはジェッターズを脱出させるため、自らマックスの足止めを買って出る。クーデター発生直後後に一度実は生きてました!をやっているがために、今回のマックスによるムジョー死亡宣言には絶望感が漂っている。そしてシュヌルバルトは姿を消し、ジェッターズの再突入をも拒むのだった

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