『ボンバーマンジェッターズ』 24・25・26話感想

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24話 電撃サンダーボンバー!

前回でマイティの死を知り、走り出したシロボン。ここから1クール目のラストを飾る26話まで雪崩れるように展開していく。シロボンに衝動的にマイティの死を明かしてしまったシャウトは、ジェッターズのリーダーを自ら辞する。

一方のヒゲヒゲ団では、ムジョーが左遷されたことで、ヒゲヒゲ団の戦闘隊長にマックスが就任。部下がいない玉座の間で、独りごちるバグラー。ヒゲヒゲ団はぶっちゃけ宇宙に一つしかない物を手に入れ続けることでこの人の飽くなき欲望を満たすための組織である。それが長い付き合いだった部下が一時的にでも自らの元を離れたことで、思うところがあるような様子ときたら、皮肉というかなんというか。

ムジョーは意外と極寒の地での仕事に四苦八苦しながらも適応している様子。この人はヒゲヒゲ団の戦闘隊長なんて職にこだわらずとも何処でもやっていけるだろう……。最後の四天王サンダーボンバーに元のキャラボンに戻るように言い渡すも、ムジョーへの忠誠心故にサンダーボンバーは不意を突いて気絶させる。ここまでくると、もはや作り出された存在だから従っているというよりも、本当にムジョー自信が厚い人望を集めているのだと思えてくる。

シロボンはマイティの死を受け入れられずに、ヒゲヒゲ団に潜入する。シロボンはマックスに兄ちゃんと呼びかけるも、マックスは冷たく拒絶する。「俺がマイティを殺した」と。

このマックスの発言は、厳密には事実ではない。後に明らかになる事実を踏まえると、このように発言した理由としては、①「実質的に」自分が殺したようなものだからというもの、②単にマイティと誤解して近寄ってくるシロボンを拒むための方便の2つが考えられる。これに関してはマックス自身が25話で「図に乗って言わなくてよいことを言ってしまった」と述べてもいるので、どちらの(または両方の)意味で捉えても特に矛盾はない。

サンダーボンバーは四天王の長兄の立場にあったというだけあって、流石の実力。これまで四天王を葬ってきた技を直撃させても有効打たり得ず、圧倒的な差を見せつけられる。結局、シロボンはこの時点で彼を単独で倒すことはできなかった。そんな窮地を間一髪でマックスに救われるも、そういった希望をちらつかせておいてやはり冷酷にシロボンを始末しようとする、という展開があまりにもシビア。バーディの介入により事なきを得るがシロボンの精神は……。

 

25話 明かされた真実

マイティがボンバー星から旅立つ時、マイティはシロボンが泣かなくなったらジェッターズを辞めて帰って来ると約束していた。1話から事あるごとに出てきた写真がこの時に撮られたものだったと明らかになることで、振り返ってマイティの目線で1話がどのような意味合いを持っていたのかが捉え直される。ボンバー星に戻る途中、この写真を見ていたマイティの胸中は、単なる任務ついでの里帰りではなかったのだと。

ドクターアインが自らの監督責任を問い「もっとしっかりしていればマイティを殺さずにすんだ」というのは、極めて重い一言。今回シロボンのピンチにバーディが駆けつけられたのも、アインからバーディへの指示によるものでもあったことを窺わせる。

長い付き合いだから真剣な局面では信じられるとバーディからも評価されるムジョー。いやほんとう、なぜ彼はヒゲヒゲ団の戦闘隊長(中間管理職byアチョー)なんて職で燻っているのか。

戦艦の監視カメラの映像を収めたディスクで、マイティはサニティボムで力を振り絞り戦艦ごと爆発に巻き込まれていたことがはっきりと明かされる。その時戦艦から脱出するマックスらしき人影。シロボンはマイティの死を事実としては受け入れるが、その様はあまりにも痛ましい。返ってくるという約束を果たしてもらえなかった理不尽に膝を抱え続ける。

マックスはどうやら誰かの命令に従っている模様。ここまでのヒゲヒゲ団内部の描写を追っていれば、それらの情報で自ずと犯人のアタリはつけられる。容疑者候補も少ないし……。

シャウトは母と死別してから幼少期のうちからジェッターズに勧誘されていた。店の手伝いをしながら、ジェッターズで人助けをする日々を送っていたのは、抱え込んでいた喪失感を忙しさで埋め合わせようとしていたように見えるし、誘ったドクターアインにしてもその意図がきっとあったのだろう。

 

26話 ボクらジェッターズ!

マックスが言うように、ジェッターズの基地がジェッター星にあるのは周知の事実であるにもかかわらず、今まで直接攻撃を仕掛けてこなかったのは、表面上の敵対関係からすれば不自然ではある。ただ、この2クールを見てきた視聴者は薄っすら理解していることだろう。そもそもジェッターズとヒゲヒゲ団の抗争は、本来は本気の死合などとは程遠く、有り体に言えば競技や戯れ(ごっこ遊び的ですらある)に近いものでしかないのだ。(窃盗及びそれに伴う破壊行為を働くヒゲヒゲ団は迷惑集団だが……)そんな中で、本拠地に攻め込み、殲滅を目的としたマックスは、完全にルールを逸脱していると言えよう。

「ボムの力はボムにあらず、心にあり」を遵守するため、バーディに復讐心を捨てるように諭されるも、シロボンは納得が行かずマックスへの復讐心を取り払えない。

いつもの調子で夏海館にラーメンを食べにくるアイン。今まで新聞紙に隠れていたり、画面の外側にあった父ツイストの顔がここで画面に映る。シャウトは、自身の悲しみを店の切り盛りやジェッターズの任務を遂行する裏で押し殺し、気丈に振る舞っていた。しかし、お母さんを失った喪失は自分と変わらないはずのお父さんの表情は、その日々の忙殺の中で片隅へ追いやられて見えなくなっていたのかもしれない。いつも同じ味のラーメンを提供し続けるツイストを見てきたアインからその有り難みに気付かされて、ようやくシャウトは父の顔を直視する。コメディリリーフの面が強かった緒方賢一氏がここでその色調を抑えて、諭すようでも語りかけるようでもある中庸をゆく芝居ぶりもまさに面目躍如。

ここでのドクターアインの叱咤激励は、取りようによっては十代の少女に向けた言葉として過酷かもしれない。今回の危機的状況はマックスが完全にヒゲヒゲ団とジェッターズの暗黙の了解を破った、言わば本気の殺し合いなのだ。それを理解しているアインが彼女を引き戻すというのは、なかなかに危うい行為ではある。それでもシャウトを呼び戻そうとしたのは、子供向けのアニメだから少女も前線に立つというエクスキュースは否めないまでも、ジェッターズのリーダーとしての彼女の役割を信頼し、何よりもジェッターズがこのまま彼女抜きで突き進んでいった時にシャウトは立ち直るきっかけを失ってしまうことを考えてのことだととも受け取れる。彼女も月まで到着してもギリギリまで考える。

「ボムの力はボムにあらず」。その言葉通り、兄の仇を討つため出したシロボンの一撃はマックスに容易くあしらわれてしまう。全員の力を合わせても五分というところまで追い詰められる。バーディがマックスを拘束しての「シロボンやれー!」はラディッツVS悟空&ピッコロを幻視。(拘束されているのが主人公の兄絡みでもある)

そんなシロボンの窮地を救ったのは、常にシロボンを近くで見守り続け、同じ悲しみを皆も抱えているということを身を持って伝えられるシャウトだった。シロボンはバッジを取り戻すことで、「心にあり」の教えを取り戻す。冒頭でバーディの説得を受け入れられなかったのは、立場や年齢は違えどシロボンとバーディが大切な者を奪われた者同士(どちらも動揺の真っ只中)だからであり、シロボンの背中を押す役を担えるのはマイティを直接的には知らないが、マイティを失い動揺するジェッターズの面々に寄り添えるシャウトだからこそなのかもしれない。

シャウトが戻り、シロボンが心の強さを取り戻し、ジェッターズのメンバーが一致団結することでマックスを撃破するという、2クールかけてきた物語に相応しいクライマックス。

母の死を少しずつ時間を欠けて受け入れることを宣言するシャウト。マイティも死も同じようにすぐ受け入れられなくとも、やがてその時が来るまで歩み続ければいい。人の死を受け入れるというのは強大な敵を倒そうがひとっ飛びに乗り越えられるものではなく、時間を要するものなのだと描くのは必然的に描かなけばならないプロセスである。

そして、ジェッターズの物語もここでは終わらず、まだ中間地点。シロボンも仲間たちも、この先に流れる時間と決定的な出来事を通じてマイティの死に向き合っていくことになる。

一方で、マイティと酷似した特徴を持つマックスの正体、彼が従っていた者の正体と目的、シロボンの残りのボムスター、やけに親しかったアインとバグラーの過去、ついでに左遷されたムジョーの処遇など気になることはまだまだ残っている訳で……。

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