アイキャッチ画像: ©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
こんにちは、SSSS.ワタリことワタリ(@wataridley)です。
今回も追っかけている『SSSS.GRIDMAN』第6話「接・触」の感想を書きます。
▼前回感想
前半戦、終結
おそらく全12話の今作における6話は、半ばとあって前半を総括する内容となっていた。
響裕太は現状、気になる宝多六花とはグリッドマン同盟を介さなければ話しかけることも出来ない微妙な関係にある。六花は空腹で困っていた他人(アンチ)を気にかける、相変わらず親切な性格を示す。内海は好意を寄せるアカネと特撮で会話が弾むが、裕太との秘密はしっかり守る友情を見せる。そして新条アカネは、アンチに裕太を殺害するよう指示を出し、内海と接触し、グリッドマン=響裕太に肉薄する。グリッドマンの正体を知ったアンチは響を探すが、その過程で六花に会い…と、とにかくそれぞれの利害が代わりがわりに映っていく。
響と六花との成り行きで形成されたがための決して密ではない関係は3話「敗・北」や4話「疑・心」などでも挟まれていた。移動教室の集合地点でお互いの存在に気づくも、各々の友人たちとの時間に意識が行くなんて、ほろ苦い。改めて普段はあまり喋らないという2人を見ていると、ついつい響の側に肩入れしたくなる。
六花が他人を見捨てられない度量の大きさは何度も示されてきた。今回は4話「疑・心」よりも顕著にそれぞれのキャラクターが意思を持って動いている印象を受けた。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
特に変化の兆しを見せたのは内海だろう。これまでどうやっても「主人公の友人」という記号的な役割に捉われていた彼が想い人からの追求を振り解き、彼女の安否を優先する。その自立した姿勢には頼もしさを覚えた。
新世紀中学生は、彼らの日常を傍から見ているが、いざという時は助けてくれる。キャリバーとマックスの戦闘シーンは作画的にも勢いがあり、普段はコメディリリーフだがやる時はやるギャップがキャラクターの魅力に帰している。
彼ら全員の行動を見ていると、やはりこの6話は前半部分で培われたキャラクター性を総括した筋書きになっている。今後の展開では、この出来上がった人物像、関係性をひっくり返しにくるに違いない。
今回はアカネが内海に対して不満を垂れていたように「怪獣が出てこない」回であったが、それ故に人間ドラマ的な動きが各々に存在しており、かえって効果的な構成になっていた。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
新たな刺客が明かす世界の成り立ち
アカネの差し金でとうとう響を追い始めたアンチ。今までは怪獣として対戦していたが、人間形態の彼が普段の響と接触したことで、グリッドマンと怪獣の対決構造が日常にまで持ち込まれるはずだ。
アカネとアンチは響をグリッドマンと断定する一方、響もまたアカネとアンチの正体を知る。
彼に真の敵を指し示した怪獣の少女も、物語に新たに加わる。響たちがいる世界はどうやらアカネによって修復されては壊されている仮想現実のようなもので、街の外には何もないという事実は作品世界の見方を一変させる威力がある。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
しかし、考えてもみると、これまでもそうしたヒントは暗示されていた。1話ラストになぜか修復された学校、修正された事実。それらを感知できるのは超常的存在グリッドマンとその関係者、そして街を破壊するアカネ。
アカネは気に入らない同級生や担任をあまりに軽々しい衝動で消そうとした。単に息の根を止めるのではなく、無かったことにさえしてしまう。まさに神の所業だ。
しかし、そんな彼女とて1人ですべてを行っているわけではない。協力者である謎の怪人アレクシスが、怪獣の具現化に寄与しているのはこれまでの描写から見て明らかである。
この物語は、アカネが作り出した世界で現実逃避を繰り返す彼女の目を覚ますことが最終目的なのだと自分は考えた。彼女が怪獣作りを止めるとき、それはすなわち現実を直視することを意味するのかもしれない。ネガティヴな嫌悪感や憎悪を遠ざけるのではなく、それさえも貴重な経験として受け入れる。どうしようもない出来事だらけの現実を生きる上での前向きな諦めのはずだ。
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
まとめ
今回怪獣が登場しなかったのは平和どころか不気味でちょっぴりワクワクする。お約束的に後半Bパートで襲ってきた怪獣が出ないということは、今後これまで堅持されてきた法則性を打ち破りにくることを暗に示しているのではないか。そうなると、いよいよ後半にうねり出すドラマに期待せざるを得ない。
まだ微妙に距離のある響と六花は、事件を経て親密になるのかもしれない。グリッドマン同盟に属していることがアカネに反していることに内海は気づき、心が揺れるのかもしれない。アカネは響を直接的に殺害しようと目論み出し、もはやグリッドマン側に見せていい隙は無くなったかもしれない。普段人の姿をしている共通点を持つアンチと今回現れた怪獣の少女が、交わる瞬間も待ち遠しい。
とにかく、考えだすとキリがない。前半の締めは嵐の前の静けさのようだ。あるいは押さえつけられたバネかもしれない。嵐が来たら、バネが放たれたら、物語はきっと勢いよく飛び交うに違いない。最後に姿を見せていた黒幕アレクシスも、暴れるのだろう。
そんな脅威の到来を予感させる一方で、最後にグリッドマン同盟を目にした響裕太が浮かべていた表情は、我が家にでも帰ってきたかのようであり、守るべきものを自分にも共有してくれた。
次の話を早く観たいので、ここで感想を締めよう。
▼次回感想
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