『ボンバーマンジェッターズ』36・37話感想

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第36話 密着!ジェッターズ24時

今回はヒゲヒゲ団と戦わないどころか、事件らしい事件が起こらない。ジェッターズメンバーの非番の日常風景を視点キャラを切り替えながら追う一風変わったスタイルで進行する回だ。

本来困難を設け、その解決を図ることに重きを置くオーソドックスなスタイルでいくのであれば、今回触れられる「ラーメン屋の夏海館が最近ライバル店に客足を取られている」というシャウトの描写はまっさきにその主軸に据えられ、シロボン達がそのために奮闘する筋書きが採用されるはず。今回はジェッターズのメンバーの様子を並行に見せていき、その中で特にシャウト、バーディの描写内でそのストーリーを断片化してさりげなく提示するという方法を取ることで、実験的な進行スタイルとその回の問題を解決して番組視聴者の溜飲を下げるノルマの一石二鳥を遂げている。

なおかつ、この進行のおかげで、普段の作劇では見えてこないジェッターズの一面を見せ、視聴者にジェッターズの作品をより奥深くなっている。シロボンがジェッター星でも同年代の友達と仕事の合間にサボって遊んでいる様子、いつも大忙しのシャウトにとって貴重な憩いのバスタイムや友達との電話、バーディの業務中の対応や運転手の同僚達との雑談時間、そして日銭を稼ぐためのガング&ボンゴの漫才(ただのアメリカザリガニ!)など、いつもの番組を視聴者に見せるためのよそ行きの顔とするなら、ここでは事件が起こっていない時の私的な顔を覗かせている。

常時ビジネスライクなバーディがバーのママには留袖を褒めるなどの対応しているのは意外であるが、ヒゲヒゲ団相手に商売をしてきているバーのママの食えない奥ゆかしさと、常連客の女性に応対するバーディのオトナな弁えを見られるので、個人的に好きなシーン。そして8話にもあったフラワー教室の話題がここでも。

 

第37話 蘇るMAX

ミスティの拾ったゼロがマックスと同一の見た目をしたアンドロイドであることがジェッターズ側にも露見し、またミスティにもマイティを殺した仇であると知られる。3クール目はジェッターズ&ヒゲヒゲ団は日常に回帰しつつ、幕間にミスティとゼロの様子を挟む形式でここまで来たが、ここで大きく動きを見せ、物語はいよいよ佳境に突入していく。

冒頭にボンバーマンはボンバー人にしかなれないという設定をミスティに明言させる。これにより、アンドロイドであるはずがなぜかボムを投げられるのかゼロの正体と出自に疑念を投げかけるが、合体ボンバーマンなる「人造のボンバーマン」が今まで出てきていたことを考えればヒントも密かに与えられている。

アインの男の約束というワードに対し、「不器用ですから」の真似で返すシロボン。こんなくだらないところでダイボンとのエピソードを刷るな。「嘘つき嘘つき嘘つき」というセルフパロディまで飛び出る始末。

また、モモちゃんで一時停止→バーディにボコられたアインのカットに切り替わり。ボコる瞬間を省略しつつ、同じカットでシャウトとバーディが肝心なことを喋る裏でシロボン「いい加減諦めたら?」アイン「好きなの」のどうでも良い会話を繰り広げるという、昨今のアニメではあまり見なくなってしまったテンポとセンスを感じる。

再生した試合映像では、ボンバーゼロがボムを投げるシーンでかかるサウンドトラック「MAXのテーマ」、そして例のマイティに酷似した投球フォームなど、マックスを彷彿とさせる様子が映る一方で、紫色に発光するファイヤーボム、冒頭に見ていた記憶映像など不可解な要素もあり、視聴者目線ではやはり彼がマックスなのか、それとも…?といろいろ考えを巡らせたくなる。ボンバーゼロは(左手投げだったマックスと異なり)マイティと同じ右手投げであることも要注目。

ゼロはこのまま帰ってこない方が良い気がすると逡巡してからの、ゴキゲンなおかえり、しかしいたのはバーディというミスティの錯乱した様子が面白い。シロボンはミスティとは10話以来の再会だが、ボムスターが増えても全く変わらないと評される。しかし重荷を感じさせないシロボンの気質は、ジェッターズの物語を通して、特にここから先はとても大事な部分でもある。

ジェッターズに追い詰められたゼロを助け、逃避行に出るミスティ。彼女がマイティの仇とされるゼロを連れ立つ動機は言葉にされないが、まるで喪失感を埋め合わせるようにして現れた彼を悪人だと思いたくないという依存と逃避の行動とも取れるし、31話でマイティからの誘いに乗らなかった背景を踏まえれば、彼の手を放して再度失うことを恐れての行動ではないかとも想像できる。

この回からEDが「小さな頃の小さな記憶」から「love letter」に変更。ノスタルジックでもの寂しいメロディである一方でシロボンが偉大な兄の後を追いかけようとする決意が込められたジェッターズ前半にぴったりな印象の前者。それと比較して、後者は明るめの曲調で、題名通り素直に受け取れば(タイミングもあって)ミスティからマイティへの秘めたる想いを彷彿とさせるが、だいすきの意味を別の角度から捉えればシロボンからマイティへの慕情を歌った曲にも思え、展開に応じてこちらに色々な感傷を与えるEDに仕上がっている。

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