紛れもなく集大成。但しストーリーに難あり『ポケットモンスター ウルトラサン・ムーン』レビュー

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こんにちは、ワタリ(@wataridley)です。

今回はポケットモンスター ウルトラサン・ムーンをレビューします。

今回はウルトラサンを「殿堂入り(ストーリークリア)まで」遊んだ感想を記してます。なので、ガチプレイヤー視点の「対戦・育成環境」については今回スルーです。

PVで出ていたレインボーロケット団編やUB捕獲イベント等もまだの状態ですが、ひとまずホットなうちに書いておこうと思い、公開します。

尚、ある程度ですが、ネタバレを含んでいるため、避けたい方はブラウザバック推奨です。

筆者は前作であるサンをプレイ済みです。前作では図鑑はコンプリート、バトルツリーも制覇し、あらかたの作中要素は全て完了。今回対戦などをガッツリやりこむ予定でしたのでダブルパックを購入しました。


さて、この作品。発売されて数日で、アマゾンのレビューにおける評価が賛否あるものになっています。

※2017/11/20時点で、レビュー数230超、アベレージ☆2.4

ちなみに前作サンverは、レビュー数850程度、アベレージ☆3.8

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こうなってしまった原因としてざっくり「参考になった」レビューから抜粋していくと

  • 前作から1年しか経っていないのに発売
  • それ故たいして内容が変わらない
  • しかも2バージョンという商魂たくましい様
  • 宣伝と実際の内容にギャップがある

ということらしいです。

では、わたしの目線から見て実際この評価はアテになるの?という事を今回お話します。

まず、ウルトラサン・ウルトラムーン(USUM)の実際の中身に触れる前にポケットモンスターという作品の歴史を振り返って見ましょう。

 

そもそも2バージョン・マイナーチェンジとは

ポケモンのはじまりは、1996年2月27日に発売された「ポケットモンスター」。この時点ですでに2バージョン売りです。
ポケモンブログ
↑赤の方が人気、、、フシギバナもつよいよ、、、

ポケモンがこの「内容に一部差異をつけ、ソフト間の通信対戦や交換を行う」というモデルの始祖であると言われています。

初代では社会的なブームを引き起こした「」に引き続き、アレンジを加えた「」や「ピカチュウ」を発売。
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↑ゲームボーイだけど大谷育江ボイスを収録しているという驚き

」は418万+404万本の計822万を国内で売り上げ」は201万、「ピカチュウ」は316万の売上でした。(今は国内で100万売れるソフトすら数少ない現状。いかに化け物じみているかがわかります…)

内容は完全新作ではないにも関わらずこの数字を上げたのですから、以降もポケットモンスターでは、この売り方が定着。

本流のポケモンは発売する度に安定して国内で数百万、世界で1000万以上売っています。時折これを模倣するシリーズも見かけるようになりました。

※ゲームボーイアドバンスやDSにて人気を得ていた「ロックマンエグゼ」シリーズや近年小学生層にヒットした「妖怪ウォッチ」シリーズがこれに該当。

2バージョン売るメリットは明白で、中には2本とも買う人がいるおかげで、客単価が高まることでしょう。客視点で見ても、2つどちらを買おうかで盛り上がれるし、自分とは異なるバージョンを所持する人とゲーム交流を活発化させることができるわけです。

反面、開発側のデメリットは、2バージョン間の差異をつける手間ぐらいなものです。

消費者サイドだと、1本ではゲーム内要素のコンプリートが不可能になっているため、その点に不満を持ってしまう場合があります。

もはや、ポケモンのような人気コンテンツは、「金のなる木」。種を2つ植えれば、それだけ実るのですから、そうしない手はありません。

また、2バージョン同時発売以外にも、先述した「ピカチュウ」や」の後に発売された「クリスタル」のような所謂「マイナーチェンジ版(以下MC版)」があります。

簡潔に言えば「完全版」であり、前作をベースにしつつも前作にはない要素を付け足した強化版です。

クリスタル」ではハードがゲームボーイからゲームボーイカラーに移行し、表現力が向上したほか、初の女性主人公追加やシナリオ面の補強がありました。
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↑ストーリー終盤のスイクンが捕まらなくて投げた記憶

ルビーサファイア」のMC版である「エメラルド」においては今でもファンから復活の要望が多いバトルフロンティアなるやりこみ要素が実装され、作品の目玉でした。
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↑ポケモン廃人御用達施設

このような作品を出す理由は第一に、やはり完成された土台に追加やアレンジを加えていくだけで、新作として発売し、売上を得られるからでしょう。

第二に、完全新作のポケモンを発売するまでにどうしても数年のブランクが生じてしまいますが、このMC版とリメイク作品を挟むことで、コンテンツの熱を冷まさずに完全新作に繋げられるメリットもあります。

こうしたMC版は、「ブラック・ホワイト」の第5世代では「ブラック2・ホワイト2」という続編の形でやりましたし、XY」の第6世代ではリメイク作品の「オメガルビーアルファサファイア」を事実上のMC版としていた節があります。

(噂ではジガルデがパッケージを飾る「Z」が出るとも囁かれたいましたが遂には発売されず仕舞い)
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こうした慣例があるため、昨年発売された「サン・ムーン(SM)」もMC版が出ることは確実視されていました。ゲーム内にも謎に包まれたままの伏線が配置されており、特にネクロズマはSMだけでは詳細が判明せず、明らかに続編を匂わすポケモンでした。

大方の予想通り、今年6月のポケモンダイレクトにて続編が発表。例年は、MC版を出すまでに少なくとも2年のブランクが存在していましたが、今回はSMの発売から半年ちょっとで続編が発表。

筆者は期待半分、不安半分といったところでした。(ちなみに直後のE3の任天堂プレゼンテーションビデオにてSwitch向けの新作が開発中であるとの発表もあり、USUMはそれまでの繋ぎの役割だと思われます)

 

USUMってどうなの?

前置きが少々長引きました。では、ウルトラサン・ウルトラムーン(USUM)は、これまでのMC版の出来栄えを踏まえてどんな評価になるのか?

殿堂入り(所謂メインストーリークリア)までプレイした実直な感想は、、、

 

たしかに改良されている。

だが、ストーリーで引き込めてない。

これに尽きる。

私は、スタッフロール見るまで遊んでそれなりに楽しめました。ストーリーをクリアしてもポケモンは対戦が本番だと思っているのでまだまだ楽しむ気ではあります。

しかし、ですよ。果たして人に勧められるかを考えると、「ダブルパッケージ、買いなよ!」とは言えませんし「ポケモンでも面白い部類に入る!」と言うにも若干微妙です。あくまで殿堂入り時点、一般的なユーザーが作品にひとまずの評価をつける時点での話ですが、どうにもこれをすばらしい!と褒めるのは憚られるのです。

なにもアマゾンの商品レビューが世の中の総意だとは思いません。アカウントはすぐに作れますし、実際にその商品を購入していなくてもレビューは出来る。日本のアマゾンレビューは従来から信憑性に欠けるのでは?とも指摘されています。流石にファミ通のクロスレビューよりはマシですが
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↑絶対に許されない所業

しかし、評価が割れるのも納得という立場です。

ストーリーをクリアして印象に残った良かった点、悪かった点を率直に書いていき、賛否が分かれている原因をお見せしていこうと考えてます。

 

サプライズや変化はあるけど既視感がそれを上回る前半部分

今回ストーリーはSMをベースにしています。

ククイ博士に導かれ、リーリエと出会い、ハウと共に島巡りをし、道中スカル団と闘い、やがて黒幕と、、、という流れは全く同じ。時折細かなセリフの変更があるものの、特にそれによって異なるルートに分岐するなどはありません。

大きな新規追加点はウルトラ調査隊なる新キャラクター達がゲリラ的に道中で絡んでくる程度。
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序盤から出てくるのでSMとは違うストーリーになるのかと思いきや、深く関与して大筋を変えてくるわけでもなく、SMのストーリーラインに緩やかに乗っかってくるといったところ。

なのでSMのストーリーの印象そのままです。これが人によって悪くも良くも感じられる部分。

ちなみに彼らはバージョンによって役割が異なります。
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USではダルスとアマモ、UMではミリンとシオニラのペアが主に登場。一応片方のペアも少ないながらも出番はあります。正直、人間キャラクターをバージョンで分ける意味がわかりませんでしたが…

草むらでの出現ポケモンには追加があり、そのためストーリー攻略における戦略性は広まってます。また、島巡りにて挑む試練の内容やNPCトレーナーの手持ちポケモン等も一部変更が見られるため、SMをクリアしたからといって同じ手順で楽々クリア、、、とはならない工夫が見受けられました。

NPCから依頼を受け報酬を受け取るミニイベントも拡充。(個体値が優れたメタモンが入手できるイベントや、入手が面倒だった赤い糸がもらえるイベント等、嬉しい要素も)

このように所々SMをプレイした人へ向けたサプライズが仕込まれたりはしているのですが、やはりしばらくはSMと同じ展開続くために、宣伝で大仰に打ち出されていた新しい冒険というには、正直ちょっと弱い印象を受けました。

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↑公式サイトのあらすじ。

つまり前半部分は、ひとことでまとめると、「SMのストーリーの再体験+追加点」。

初見お断りにはなっていないのでSM未経験の方もストーリーを置いていかれる事はありませんが、他方でリプレイ感の強い展開に対し経験者がみんな納得できるとは言い難い…というのが私の見方です。

恐らく、巷で言われている「ほとんど前作と同じじゃねーか!」は大半が前半部分で感じたことを言っているのではないかと思います

 

変化に富むも、SMからズレが生じる後半部分

後半からは新マップやネクロズマの新形態が出てくるため、このあたりは見ごたえありました。ネクロズマは、ジガルデと違ってストーリーにて存在感を発揮していますし、能力の面でもかなり優遇されたポケモンです。

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SMではあっさり済まされていた終盤のポニ島でのイベントも充実し、フェアリータイプのキャプテン、マツリカの試練はアローラの登場人物の掘り下げにもなっていたので、ここは間違いなくSMより強化されているといってもいい部分でした。
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↑マツリカさん、念願の試練を獲得

他方で、ネクロズマ中心のストーリーになったことにより、印象が変わってしまったキャラクターが多数います。SMの人気キャラクターであるルザミーネとリーリエは、役割が変質しており、はっきり言うと自分はSMでの彼女らの方が魅力的だと思ってます
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↑このビジュアルから期待しましたがメインストーリーでは寧ろ役割縮小

ネクロズマが前作のスケールを上回る脅威であるため仕方ないのですが、特に狂気的なキャラクターで話題を呼んだルザミーネが矮小な扱いになってしまったのは個人的に残念でした。
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↑SMではあんたが化け物だったのに…

また、これは自分が勝手に期待していたことなんですがSMではやけにあっさりしていたグラジオとタイプ:ヌルのエピソードは、やはり今回もフォーカスされることがなかったのが残念でした。それどころかビーストキラーなのにUBと戦うシーンすらなく退場って…

ネクロズマ関連もCMや宣伝でおどろおどろしく煽っていた割には後半部分で一気に纏まって進展してしまうので、もうちょっと引っ張ってほしかったと率直に思いました。
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↑登場は格好良かった

ウルトラと名がつくだけにメインストーリーはもっと力を入れても良かったんじゃないか、と。

後半部分は変化が目立った反面、SMのストーリーを気に入っていた人には賛否が分かれるであろう変わり方をしているため、そこも素直に評価点にしづらい。

自分はなんだかんだストーリーはおよそ1年ぶりにやったし、オリジナルの方に良さを見出しつつも今作で掘り下げられたネクロズマの強大さ、デザインの格好良さにも魅力を感じたので私の心象としては悪くありません。

しかし、人に勧める場合には「SMのリプレイ感の強い前半部分」と「SMから軸が変わった後半部分の二つがネックになってくるため、絶賛とまではなりませんでした。

 

システム面では改善がみられる

以上ストーリーは、良い部分と悪い部分が混在していてお勧めしずらいのですが、今回明白に改善された部分は細かいながらもいくつか存在

まず外見的な面では、UIが全体的に明るく、派手になった印象です。個人的には整然としていて、面白みに欠ける前作に比べて見栄えは良いと思います。
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↑サン・ムーンにおける下画面。今見るとけっこう簡素。

あと、すごーく地味なんですがHPゲージの減りが早くなりました。前作ではロックブラストやつららばり等の連続技を使うとHPの減りの遅さとあいまってゲームのテンポに影響していたのですが、今回は素早く減るお陰で、サクサク進むようになったと実感してます。特に対戦だとやどりぎのたねや連続技がけっこう使われるので、段違いに快適さを感じることでしょう。

Zワザのフォントにも手が入り、全タイプひらがな表記一遍だった前作から一転、漢字表記も入り、それぞれの技とタイプのイメージを反映した色合いになりました。
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↑「むげんあんやへのいざない」が「無限暗夜への誘い」になるだけでも大分受ける印象は違います。

また、今回ストーリーのボス敵に厄介なのが増えたため、その救済措置かロトム図鑑が定期的に旅のお助け「ロトポン」をくれるようになりました。
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戦っているポケモンのHP回復、戦闘後の経験値やおこづかいの増加、卵孵化の効率化など、有利にゲームを進められる効果ばかりで役に立ちます。貰えるロトポンはランダムで特定の効果を狙ったりは難しいですが、無いよりはあったほうがいいものです。

 

追加された遊びが面白い

ミニゲームのマンタインサーフは、所詮オマケだろうと思っていたのですが、それなりにやりごたえのある物になってます。3DSのスライドパッドの操作とボタン入力のテクニックが要求されるので始めは難しいですが、やり込むほどに爽快感を覚えてきます。

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グラフィックやエフェクトも綺麗なので見た目もいいですし、前作は「島が舞台なのに全然それが活かされてないな・・・」と思っていたのでマンタインサーフでアローラの海原を駆け回れるようになったのは世界観の入り込みにも最適だと思います。

このサーフはストーリーでは1回きりのチュートリアルでしか強制されないので興味ない人はスルーも出来ますし、バトルツリーでのBP稼ぎに飽きた場合に気分転換にやるのもアリ。

この手の凝ったミニゲームにありがちな強制もなく、効率的なゲーム内通貨稼ぎにもなっているのでうまくはめ込まれた新要素になってます。

二つ目に面白かったのが、アローラフォトクラブです。
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最近遊んだスーパーマリオオデッセイでも写真機能があったのですが、USUMではスクショではなく、自分でポーズや配置、背景、エフェクトを調整して写真を作ります。
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私は、生まれてこの方プリクラに行く機会が皆無だったのですが、恐らくあれのポケモン版だと解釈しています。

けっこう自由が利くので、面白い画像を作ったりしているツイートを見かけますね。

SNSでシェアする機能が公式には無いのが惜しいのですが、一人でぼちぼち奇妙な画を作ってニヤニヤするだけでも楽しいです。

 

終わりに

ストーリーについてはどうしても、全面的に肯定できない部分もあります。宣伝においては、どうしても変化を押し出さないと売れない事情もあるので誤解を与えてしまった部分はあるのでしょうが、そもそもこれまでのMC版の傾向を見ていくと、ストーリーの骨子そのものは変わらないのは恒例です。

コンテンツとして、どうしても弾を切らさずに撃ち続けないと、昨今の消費スピードの流れの早さについていけない事情もあるため、マイナーチェンジは頭ごなしに否定されるべきものでも無いと思っています。

事前に出されている情報を見ていくと、別に詐欺まがいの誇大広告(ゼスティリアのような)をうっていたわけではないので、大げさに騒ぐほどのことでもありません。

当然、サン・ムーンからの後出しのため、システム面では前作より細かい部分での調整が入っているのはなんだかんだ大きいです。

そもそもレート対戦の終了やメガストーンの配布終了、USUMでの新ポケモン追加などにより今更サン・ムーンを購入する意味もありません。(他の過去作についてもごく一部の教え技目当てでなければ、同様)

なので結局(このシリーズの強いところですが)今現在ポケモンを遊びたいって人はこれを買うしか選択肢はないでしょう。

伝説のポケモン総登場や歴代悪の組織終結などもあり、きちんと3DS最後のポケモンとして間違いなくボリュームは過去最大。
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マイナーチェンジ版としてやるべきことはやってる。しかし、多くの人が最初に触れるストーリー部分でそれを訴えられなかった。というのが日本で評価が二分されている原因だと考えました。

では、自分はレート対戦に身を投じていきます…!ご拝読ありがとうございました。

▼実際にその時点での登場ポケモンが全種類集結する集大成だった『USUM』から2年後、新たな舞台に移行した『ポケットモンスター ソード・シールド』の感想はこちら。

 

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