自己啓発本にしてはやけに実践的『嫌われる勇気』

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こんにちは、ワタリです。


今回は最近読んで目から鱗だった本について語ります。
扱うのは岸見一郎氏、古賀史健氏の共著『嫌われる勇気』


この本は2013年12月に出版され、国内ではミリオンセラー
アジアにおいても翻訳出版され韓国では年間ベストセラーになったこともあるぐらい
売れている本なので今更触れるのも乗り遅れ感はあるかもしれません、

自分は、最近読んで以降、この本で主張される人間関係の築き方、生き方の指針に
強く共感を覚え、現在学生の身分ながら変わっていこう!と思い立つことができました。

『嫌われる勇気』の生き方は取るにたらない一学生であっても実践可能であるし、
この発想が世間にもっと伝わっていけばもっと開放的な人間関係が流行るぐらい
革新的な内容になっているので、レビューで伝えたくなったというのが
今筆をとっている動機になります。
『嫌われる勇気』ってどんな本なの?
この本はページ数にして294。
自己啓発本にありがちな「作者が自分の考えを一方的に語る」スタイルではなく
2人の登場人物による対話形式でアルフレッド・アドラーの唱える個人心理学に触れていきます。

「哲人」はアドラーの心理学を解説し、難しい概念などはわかりやすい具体例(引きこもりや恋愛消極者など)を用いて説明してくれます。
「青年」は聞きなれないアドラーの心理学に疑問を呈したり、時に一般常識を持って反論していく、言わば読者の分身です。

この2人のお陰で、読者はアカデミックでいかにも真面目に…といった感じではなく
カジュアルな雰囲気をまとった会話の中でアドラーの個人心理学を学び取ることが出来るわけです。
(本作を手がけた岸見一郎氏は以前からアドラー心理学に纏わる本を出版されていますが、そちらは一般的な学術書に近いようです)

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彼らは極端なキャラクターとしては設定されておらず、
哲人は新鮮かつ先進的でありながら私たちが経験したであろう悩みを解決する術を親身に提示してくれますし
青年は自身にコンプレックスを抱え、他者からの評価を望んだり、自分の生き方に疑問を持つ、現実にもどこにでもいる人として描かれているので
身近な人や出来事に関連付けながら読み進められるよう工夫されています。
個人的には、この≪わかりやすさ≫≪読みやすさ≫が本作を商業的に成功させた要因だと思うくらい
この本にとっての魅力だと感じています。
本作で印象深い「課題の分離」
情報量が多いためすべての項目に触れる事はかなわないのですが、
自分の印象に残った個人心理学の考え方として「課題の分離」なるものがあります。

人は社会性を身につけると同時に他者からの承認を求める生き物です。
かくいう自分も幼少は親に褒められると嬉しかったですし、
小中学校で体育の時間に身体能力の高さを見せつけ凄いと言われれば自尊心が満たされていました。
みなさんにも、そうした褒められる事の喜びを求める節があるはずです。

しかし、アドラーの考えでは、人は他者に承認を求めて生きてはいけないのだ、とされています。

人は人間関係により悩み、人間関係により喜ぶ。
その過程で否応無く他者と自分の問題をごちゃまぜにしてしまいます。
例えば親が子供に対していい会社に入れるよう勉強をさせる行為が挙げられます。
子供が勉強をしがらない事は「子供の課題」であり、「親の課題」ではありません。
何故なら、「勉強をしない」ことによって訪れる結果を直接引き受けるのは「子供」であって「親」ではない。
結果の受け手が誰なのか、により誰の課題なのかをまず分ける。
そして「他者の課題」に対して介入することは、その人の尊厳を脅かしかねない行為であるため、してはならない。
逆に「自分の課題」は他者に介入させる必要はなく、自らの意思で行動を決定するものなのです。

話を戻すと「承認欲求」とは、他人の考えに則って動く行為であるが、
そうしたところで本当に承認されるかどうか、は自分でコントロールすることは出来ない。
その人を承認するかどうかは「その人の課題」であって「自分の課題」ではないからです。

この考えを読んだ時、まさしく世の中で起きている人間関係の不平不満はここから生じている事に気づき
これ以上ないまでに納得してしまいました。

自分が思いつく人間関係の悩みと言えば、ちょっと安直ですが失恋や「不当に評価されている!」といったもの。
恋愛においては、いくら相手を愛そうが、相手から愛を得られると確約されているわけではないですね。
そこで自分を愛してくれるかどうかの「相手の課題」を操作することに悩むのは、酷ですが、時間の無駄というわけです。
それより頭や時間を使うべきなのは、自分が変えられることだと指摘されています。

相手が自分をどう思うかは変えることはできない。
しかし、相手に良く思われるための手段は無数にあり、それを実行していくことは「自分の課題」であり、
そこから着手していくことで人は変われるというのです。

結果として相手に受け入れてもらえなくても、現状を打破することはできますし、
自分に出来ることと出来ないことを明確に分けることで複雑な人間関係を整理することも可能です。

本著では、こうしたマインドを端的に
「馬を水辺に連れていくことは出来ても水を飲ませることは出来ない」と言い表しています。
水を飲むかどうかを決定するのは馬(他人)だが、自分は水を飲ませるために水辺に引き連れていくことはできる、
というのだそうで。

こうした「課題の分離」のマインドを用いることで、
自分ではどうしようもない問題に頭を悩ませる必要はなくなり、自分のできる範囲に集中して行動し、
その結果として自分も変わり、かつては変えられなかった問題も変えられるようになっていく、という展望が開けてくる。

こうした考えが、今まで人間関係に悩まされてきた数多くの人にささり、ベストセラーになったのではないかと思います。



まとめ
この本には他にも「縦ではなく横の人間関係を築け」「子供は褒めてはいけないし、叱ってもいけない」
「人が変われないのは『変わらないこと』を選択しているから」など
人々が囚われている常識を打破するような発想が目白押しです。

アドラーの考え方は、一見突拍子に思えるものの、今作は具体的な例示や
2人の登場人物の議論によって、わかりやすく、説得力のあるものとして受け入れられるよう設計されています。

心理学、というとちょっと小難しい印象を受けますが、
「現状に不満を持っている人」みんなに読んでもらいたい本です。
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