『ボンバーマンジェッターズ』 19・20・21話感想

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第19話 MAXとシロボン

マイティとの回想シーンでの幕開けから、前川淳の脚本回とすぐわかる。また、久々のマックス本格登場回。

あっという間に二天王になってしまったボンバー四天王。ムジョーは牢屋に放り込まれ、再び転落劇が始まる。サンダーボンバーは忠誠心が高いと同時に、これまでのヒゲヒゲ団部下の中ではマックスを疑い独自に偵察するなど、実力の高さを伺わせる。そんな彼すらも軽くあしらうマックスが余計に異質な存在になってくるというもの。

劇中ではマイティが失踪して1年が経過というので、シロボンがジェッターズに加入してから半年経ったということになる。しかし1年も失踪となると、現実的に生存そのものを諦めてもおかしくはなさそうだが、ガング、ボンゴ、シロボンは健気に彼の無事を信じて妙にくだらない会話を繰り広げる。

バーディがこれまでジェッターズの中でも単独行動を取りがちだったことを疑問に思ったシャウトが、彼の行動を探る。バード星人の情報屋ナイトリーと背中合わせで他人を装って会話をする様子は、情報屋との取引シーンあるある。マックスは功績を挙げた一匹狼の宇宙盗賊としてヒゲヒゲ団に雇われたらしいが、ナイトリーですらその情報をこれまで掴んでいなかったことから、彼の素性への疑義が高まっていく。

穴凹だらけの惑星で宇宙に一つしかない辛い蜂蜜を探す任務ではぐれてしまったシロボンは、同じ目的で訪れていたマックスと遭遇。ここまで安穏とした調子でやって来たところに、カットバックでシロボンとマックスの互いの心理戦を描写するシーンが挟まる。この緊迫感の中で、金田朋子の演技の向上が著しく見て取れる。1クール目のあたりまでは、まだあどけないシロボンの性格を表すような可愛らしさがあったが、2クールで物語が佳境に入っていくにつれて役をものにしていく様がシロボンという役にも取り込まれていくような不思議な感覚がある。

洞窟から出るための打開策として風船ボムを思いついたものの、先に風船ボムを使用したのはまさかのマックス。考案したシロボンからすればその技を知っていて使えるのはマイティだけのはず。初めてこのシーンを見たときも、ここで呆気に取られてしまった記憶がある。

ここで「物心ついた時から投げられた」と反論するマックス。マイティに酷似した特徴を持つマックスがしらを切っているか、嘘をついているのかを疑うところだが、後の展開を踏まえればここでのマックスは嘘は言っていないというのが、絶妙な伏線である。

マイティを思わせる謎の存在マックス。そんなマックスをマイティと思い込むシロボン。マイティが生存している可能性に動揺しつつシロボンを諌めるバーディ。そんなバーディの様子をいっそう訝しむシャウト。しかもムジョーがまたも追いやられていくヒゲヒゲ団内部の情勢。一気に登場人物がそれぞれの思惑を見せ始め、ここからより次週を待ち遠しくさせられる回に仕上がっていた。

 

第20話 耕せグランボンバー!

前回があんなにも先が気になる終わり方をしたっていうのに、なぜか田植えする回が次に来る。これぞジェッターズ。

まるでヤクザもののVシネ風味に出所するムジョー。こんなの対象の小学生キッズは理解できるのだろうか。角刈りのムジョーが面白いからまあいいのか。

便秘に悩まされるムジョーに火薬入りおにぎりを振る舞うほどに抜けたところのあるグランボンバーが、ムジョーのために一肌脱いで単独出動。宇宙に一つしかない先割れ大根を餌にジェッターズをおびき寄せる作戦を立てるも、知らせていないからジェッターズは来ない。しかしたまたま田植え体験ツアーに参加していたシロボン、シャウトと遭遇。お店をふっとばしていたので米不足でやってきたらしい。Aパートだけでもこの展開のスピード感よ。

シロボンは、グランボンバーのことをしらず「おじさん」呼ばわりして田植え仲間として交流を育む。3人目のボンバー四天王グランボンバーは、壁役として見た際には、シロボンが得意とする炎に相性不利の土属性持ちなため、それほど苦労する相手ではない。しかしそれを逆手に取り、友情を育んだ後で戦わなければならない宿命が発覚するというドラマ要素でシロボンの修行として機能してくる変化球で魅せてくる。

ふざけた回想シーンで駆り出されるマイティに象徴されるように、ここまで積み上げてきたお約束があるから、この回は総じてそれを裏切った際のギャグに切れ味がある。

いまいちシリアスになりきらない1回目のグランボンバー戦だが、マックス登場でシロボンがシャウトにマックスのことを口走ってしまうことで筋がしれっと進行。こういうのがあるからジェッターズはギャグ回だからといって飛ばしていいとは気軽に言えない。

 

第21話 古代温泉郷の決闘!

BARのママは常連客のためにメロンを持ってお見舞いにきてくれるらしい。そんな気遣いがあればこそ、この店は持っているのだろう。

シロボンはグランボンバーと親しくなったばかりかジェッターズにまで勧誘する仲に。

どうしてヒゲヒゲ団はジェッターズに入ってはいけないというシロボンの問いにどうして?と疑問を覚え、ムジョーにも許可を取ってくるというグランボンバーにそれがいいと言ってしまった自らの言動をも内省するシャウト。しかし、ヒゲヒゲ団とは、ジェッターズとは、というこの人の立場の曖昧さ、揺らぎこそが、それでもそこに依拠することを決めたグランボンバーの末路の切なさを引き立たせている、のかもしれない。

ムジョーからの期待を知り、やはりジェッターズと対決することを決めたグランボンバーは、竈に使われる土を見て、相性不利なシロボンに対する対抗策を思いつく。

ユー文明の遺跡に着陸してしまったヒゲヒゲ団は、シャウトの体重を目撃するという禁忌を犯す。5話ではエレベーターの件でシャウトをからかっていたムジョーも流石に申し訳ないらしい。

グランボンバーはシロボンへの対抗策でレンガを作るボムにより、火属性のボム防ぎ、接戦を演じる。しかし結局は防戦一方なためにシロボンへの有効打を欠いてしまう。自分へのトドメを躊躇する様子のシロボンに、マイティを馬鹿にすることで決着を促すグランボンバーは、もはや自らに課せられた宿命を理解しているような節がある。ボンバー四天王は、合体ボンバーマン製造マシーンで打倒ジェッターズのために作られた存在であり、そこに殉じることこそが、他に代えがたい自らの役目なのである。

グランボンバーはヒゲヒゲ団として倒され、元のキャラボンに戻る。合体ボンバーマンは元に戻ればそれまでの記憶・経験を表面的には有していない以上、実質的に死亡したも同然であり、ある意味ではシロボンはここで交流したグランボンバーを倒すことで、他人の死を実感することになる。四天王の3人目で、コメディ色の強い前回から、とてつもなくシリアスな示唆を与える締めくくり。シロボンに不利ながら農業の粘り腰を見せたグランボンバーに相応しい、こちらの不意をつく伏兵のような回だった。

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