挑戦的ポケモン映画『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』【ネタバレ無&有】

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劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』の感想です。

前半はネタバレ無し、後半はネタバレありです。


71/100

ワタリ
一言あらすじ「サトシとピカチュウがホウオウに会いに行くオリジナル、時々リメイク」

今回は大人気ゲームシリーズを原作としたアニメ『ポケットモンスター』、その劇場版最新作にして、記念すべき20周年記念作品になります。
アニメのポケモンは息が長く、テレビでの放送開始は1997年4月1日。現在放送中の『サン&ムーン』で20周年を迎え、劇場版シリーズとしても20作目。
ポケモン映画は、そんな長い歴史の中で、半ばルーチンワークと化していたと思います。基本的には伝説のポケモンと幻のポケモンを劇中活躍させ、ゲームボーイアドバンス以降から現在に至るまで前売り券や映画館でそのポケモンが配布される事が毎年夏の風物詩となっているくらいなのですから。
筆者はポケモンのアニメ(以下アニポケ)は物心ついた頃からテレビで見ておりまして、ゲームも新作が発売されるごとに追ってきました。なので、ポケモン映画のメインターゲットであろう子ども達とは違った視点で毎年の映画を(恒例のテレビ放送で)眺めていました。
今回映画館に足を運んだ理由は、 『キミにきめた!』が例年とは異なった内容であることが、宣伝にて打ち出されていたからに他なりません。
予告編を見ればわかるとおり、サトシは現在の『サン&ムーン』ではなく、『ポケットモンスター(無印)』を意識した衣装。ピカチュウとの出会いを描き、今まで頑なに映画では主役にならなかったホウオウを追い求める姿が映っています。
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これは子どもの頃からポケモンというコンテンツを追ってきた身として、必見だ!と思い、今朝方に一番早い上映のチケットを取り、鑑賞。

まずはネタバレ無しで、感想を書きます。

 

全体の感想

結論から言って、「いつものポケモン映画」とは違う!この「いつもの」には、例年のルーチン展開に飽き飽きしているというニュアンスを込めてます。
今回、「ピカチュウとの絆」、「ホウオウとの邂逅」を骨子に二人のオリジナルキャラクターを仲間に加えてサトシは旅をすることに。
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マコトは、ポッチャマがパートナーのフタバタウン出身の女の子。
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ソウジは、ルカリオがパートナーでポケモン博士を志すトバリシティ出身の男の子。
この二人は、本郷奏多と佐藤栞里が特別出演という形で演じています。よく言う「芸能人キャスト」な訳ですが、僕個人としては、二人の演技には満足しました。マコトは元気な女の子、ソウジは聡明な男の子、というわかりやすいキャラクターだったので、作中出会ってから、すぐに観客は彼らのキャラを掴める様になっていたと思います。
後はホウオウ研究家のボンジイを古田新太、幻のポケモン マーシャドーを恒例の山寺宏一、ジョーイさんを中川翔子さんが演じています。
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↑可愛いけど、CVは山ちゃん
特に演技面で難がある、といった事態は無く、それぞれキャラクターに当てはまっていました。山ちゃんは例年に比べると少ししか声を発しませんが、言われないと気付けない程の声の変わりよう。流石。
今回の劇場版は、見ての通り大半がオリジナルキャラで構成されていて、まずそこが「いつもの」ポケモン映画と別方向に舵を切っている事がわかります。
上映時間は2時間に満たないのですが、彼らとの出会い、交流、旅路は自然に描かれ、見終わる頃には、もっと一緒に旅をしてほしい!という位に親しみを持てました。
ストーリーの方は、1話をはじめとして、無印の話がリメイクされ、劇中に組み込まれていて、僕と同世代の20代の方は、懐かしさを味わえる事と思います。
大枠だとオリジナルストーリーですが、局所で無印の印象的なシーンが入るので、新規層の子ども達も、大人たちも楽しめるよう配慮されている、と言えるでしょう。
サトシや他のモブの手持ちや野生は、大半が初代のポケモンですが、一方でガオガエンやポッチャマ、ルカリオが出てきており、その辺りでも新世代と旧世代が混ざり合っています。
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他にもサトシの少年故の未熟な一面にフォーカスが当たったり、詳しくは避けますが、ポケモンには珍しい示唆的でスピリチュアルなシーンも出てきます。
賛否両論巻き起こると思いますが、これまで、深くは描かれなかった「ピカチュウがモンスターボールに入らない理由」にも触れています。
と、ここまで書いておわかりの通り、やはり全体的に従来のポケモン映画と一線を画す映画になっています。それ故、従来のポケモン映画を肯定的に観ていた方は、受容できない部分もあるかと思います。その他にも、現在放送中の「サン&ムーン」の映画を期待していた方や、初代のポケモンを見ていた方、そうでない方。
何しろ20年続いているシリーズで様々なポケモン観があると思うので、ひとまとめに評価を出せる物では無いでしょう。

僕は今回の映画の、20周年の機会を生かした冒険と挑戦は肯定的に見たいです。何しろ「ミュウツーの逆襲」以降ずっと伝説と幻のポケモンによるトラブルを手を変え品を変え続けてきたのですから。。。

不満点を述べるとすれば、

  • 尺の都合上の描写不足が目立つ→主にマーシャドー。
  • 無印と異なる展開に特に説明が無いものがみられる→旅を始めたばかりのサトシがガオガエン等のポケモンと接触したり、マコトとソウジと出会ったことによる展開の違いに対しての疑問が解消されない等。

という所でしょうか。

何はともあれ、「いつもと違う」に期待をして観にいくのであれば、目が離せない作品です。作中のバトル描写にも例年以上に力が入っていましたし、映画館で聴く「めざせポケモンマスター20th anniversary」にも涙腺が緩んでしまいました。

ついでに言うと、劇伴も無印のアレンジ曲が多数採用されていて、久々に聞くと懐かしさで胸がいっぱいになりました。

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20年も冒険を続けてきたサトシとピカチュウ。その原点と深奥。ご覧あれ。


※以下ネタバレです。

1話のリメイク

始まり~ピカチュウによるオニスズメの群れ撃退まではほぼ無印の1話「ポケモン キミにきめた!」の再現。異なる点としては、やはりカスミ、シゲルの不在。従って自転車も犠牲にならずに済みました。実はシゲルは「ゼニガメを受け取ったトレーナー」として後姿だけ出ていましたね。

でもそれ以外は多少端折り気味でも、再現度高かったです。負傷したピカチュウを抱えて川へダイブした後に、ギャラドスに出くわすちょっとしたシーンも再現されていました。

また、1話のラストで謎のポケモン ホウオウを見て「いつかあいつに会いに行こう」と言ってからタイトル表示、オープニングへと入っていく流れも長年見てきたファンとして鳥肌が立ちました。勿論めざせポケモンマスターは最高!OP映像では簡単に二人の旅を描き、ポケモンバトルに勝つ様子や初めてキャタピーをゲットし、共に過ごすシーンが流れました。ここで二人が駆け抜ける花畑は後々出てきますね。

 

ロケット団まさかの悪事なし

サトシとロケット団の出会いまで描くとなると、尺が足りなくなるのは必至だったのでやむ無し、と言った所でしょうか。

まさかサトシ一行と一度も接触しないとは。

サトシ視点だと、ロケット団が一度も出てこない映画だったということに。

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この映画の後のサトシはどのようにしてロケット団と知り合ったのか気になりました。

マコトの秘密

母親であるハナコとテレビ電話越しに話しているサトシを見たときから、なにやら反応を見せていたマコト。

その後、何故遠方はるばるシンオウからカントーへやってきたのか聞かれた時も訳があるような様子でした。

後半には、母親との仲が良くない事を少しばかり打ち明け、旅の終わりには家に帰ると言いサトシ、ソウジと別れました。

個人的にはマコトのエピソードは、もっと描写してほしかった気がします。この映画はサトシとピカチュウにフォーカスをあてていたので、さらっと触れる程度なのはやむをえないとは思うのですが…。

一説によると写真の母親はシンオウチャンピオンのシロナだと言われてますがどうなんでしょう?またレイトでじっくり観にいってきます。

 

ライバル クロス

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今回登場したライバルのクロスはポケモン哲学ではダイヤモンドパールのシンジに似た強さ絶対主義の持ち主でした。

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彼に捨てられたヒトカゲも、ヒコザルに近い境遇。トレーナーに捨てられ、サトシに拾われた後、すくすく成長し、元のトレーナーに認められるまでに至る。

クロスの存在はこうしたヒトカゲの成長劇、サトシの持つ「ポケモンと友達になりたい」という思いを引き立てるのにとても良く機能していたと思います。

今回の脚本はマーシャドーやマコト周りで粗い部分があると思うのですがクロスとヒトカゲ、クロスとサトシの関係を、90分程度の中で変化させていったのは巧みに感じました。

マコト、ソウジと同じく1作限りなのが惜しい!ちなみに公式サイトでノンクレジットだった声優は逢坂良太さんでした。

 

死と過酷さの表現

ポケモンの死を明確に描いていた部分があり、とても印象的でした。

現在放送中のサン&ムーンにおいては、サトシのポケモン ニャビーが元々一緒に暮らしていたムーランドと離別する際に死を直接的には伝えない手法をとっており、そこはタブーなのかな?と思っていました。

かつての「水の都の守り神 ラティアスとラティオス」でも死については直接の言及を避けていた記憶がありますし。

ソウジのかつての家族であったレントラーとの死別はそれだけに、けっこうヘビーに感じましたね。映画を観にきた子どもにしても、「家族との別れ」を考えさせられるんじゃないでしょうか。

また、初めてライバル クロスのガオガエンとバトルをする際に、精神的、肉体的に傷つけられるリザードの「痛み」も誤魔化すことなく表現されていて、今回の映画はポケモンというコンテンツで避けられがちだった痛みや苦しみ、葛藤といったネガティブさを真っ向に描いている印象を受けました。

 

小ネタの数々

お気づきの方もいるでしょうが、ファンサービスのような描写もチラホラ。
自分の心に残ったものだと、「ゼニガメを受け取ったトレーナー」…どうみても無印のライバル シゲルですね。
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「サトシの夢の中の小学校教師」…カントーの四天王 キクコですね。

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非常に短いシーンなのに出すあたり拘りを感じます。

「ルギアとヤドキング」…「幻のポケモン ルギア爆誕」の組み合わせ!

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ダウンタウンのハマちゃんが演じていたのは当時はわからなかったです。

「エンディングの仲間達」…サトシと旅をした仲間がエンディングで出てきて驚きましたね。特にアイリスはシルエット状態だと人間には見えなくて笑いました。

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サン&ムーンのメンバーだけは出てこず、ちょっぴり残念。ただし、サン&ムーンのレギュラー声優さんは幾人か参加されていたようです。

 

マーシャドーに見せられた夢

クロスに敗れ、心に闇を持ってしまったサトシ。マーシャドーはそんな彼の心につけ入り、「ポケモンのいない世界」の夢を見せます。

この描写はとても衝撃的でした。ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの描かれたポスターには赤青緑の車に差し代わっていて、サトシは普通に小学校に通う少年。

教室に行き、マコトとソウジに話しかけられ、宿題を忘れていた事に気付く。

授業を受けている最中に空を眺めていると、なにやら虹色の鳥が。しかしそれはただの飛行機。

屋上にて地平線の向こうに思いをはせるサトシ。「アイツ」という言葉を発するも、それが何かはわからない。なぜか涙まで浮かび、ふと目には黄色い生き物が映りこむ。

追いかけると周囲はどんどん崩れていき、足をとられ落下。かつて「アイツ」と駆け抜けた花畑に落ちていく。そこでやっとピカチュウを思い出す。

こんなシーン今までのポケモン映画にはありませんでした。

サトシはバトルに敗れ、ピカチュウすら一旦見捨て、一人、仲間から離れていってしまいます。ポケモンに対し嫌悪の感情を持ったサトシからポケモンに関する記憶全てを取り払い、ポケモンの存在しない世界に生きる夢を、マーシャドーは見せた、という事なのでしょう。

しかし、ポケモンがいない世界においても、授業中サトシはホウホウを眺め、ピカチュウの存在を頭の片隅に置き、何と無くでも忘れられなかった。

彼は、朧げなピカチュウを必至に追いかけ、空から落ちる際に固く抱きしめました。

そうした、ピカチュウとの絆、ホウオウへの憧憬が夢の世界に終わりを告げさせ現実に戻ることが出来たということだと思っています。

 

マーシャドーとは何だったのか

個人的に今回の腑に落ちない部分はだいたいマーシャドーにあります。

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人間の影に潜み、心に闇を持ったときには虹の光を奪い、ポケモンと人間の仲を引き裂く。そんな伝承が語られます。

しかし、作中でサトシの影に潜みながらも、クロスによって光が失われた虹色の羽根を奪い、野生ポケモンを使ってサトシ達も巻き込んで強襲したあたりには、納得のいくマーシャドーの本心が見えてこず、何と無く戦っているような気がしてなりませんでした。

恐らくマーシャドーは(作中描写されている限りでは)、光のイメージを持つホウオウに呼応した闇の存在であり、純粋に人の心の闇を求める存在なのでしょう。

虹色の羽根を持つサトシに一度は取り入り、仲を引き裂こうとするも、失敗。最終的には闇の心を持つクロスが羽根から光を奪い、それを利用してマーシャドーはサトシ達を攻撃したという事であり、悪意から来る行動ではなく、純粋に「そういう事をする」ように出来たポケモンという解釈をしました。

とはいえ、これは僕が無理くりに考えた結果なので、事実はわかりませんし、作中ではマーシャドーの描写も不足していると言わざるを得ません。

ポケモンや人を傷つけるような行為に及んでも、最後も平然としていたあたり、また心の闇を追い続けるような気がしますし…。

 

ピカチュウとの絆

冒頭、身を挺して自分を守るサトシの気持ちにピカチュウ応え、二人はパートナーになります。
しかしそれ以降もモンスターボールには入りたがらない。オーキド博士曰く、ポケモンの中にはモンスターボールの中に入るのを嫌がるものもいる、だとか。
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終盤、ピカチュウは、マーシャドーによって操られたポケモン達の攻撃からサトシを守ろうと挑みますが、それでも敵いません。

二人は、倒れ、サトシはボールに入り、せめてピカチュウだけでも無事でいられるよう提案します。かつて、オニスズメの群れに襲われた時のように。

しかし、同じく、それを拒む。

「いつも一緒にいたかったから」。

このシーンは、ピカチュウがサトシの肩に乗っかったり、一緒に歩いたりするのをずっと見続けてきた自分にとって、すっと飲み込むことが出来ました。

20年やってきたからこそ、この台詞には驚かされるし、納得もいくのではないでしょうか。これからも続いていくアニメ ポケットモンスター。彼らの関係も末永く続いていくと良いですね。

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