『ボンバーマンジェッターズ』31・32話感想

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第31話 ミスティ大作戦

マックスらしきアンドロイドを拾ったミスティは横たわる彼を眺めながら、ドクターアインとともにコンテナを整備するバーディは欠けたコンテナを見て、それぞれ在りし日のマイティを回顧する。2クール目のクライマックスを終えてから、しばらくコメディタッチの回が続いていたものの、3クール目以降のジェッターズはマイティの実像に迫る描写が増えてくる。今回はその導入の回とも言える。

この頃のヒゲヒゲ団では、ムジョーはマイティのいるジェッターズを相手にしながらも宇宙に一つしかないものを数々手に入れ、バグラーから戦闘隊長に任命されるなど、意外と功績を挙げていた模様。しかし昼飯はねこまんま。

ジェッターズのリーダーとしてのマイティは敵を敢えて泳がせて油断を突く作戦を考案するなど切れるところのある人物である一方で、ミスティとの会話ではやたらと天然な性格が出ている。伝説のボンバーマンとして、シロボンの兄として、立派に見えた人物にも、女性の耳にいきなり触れたり、泥棒と盗賊の違いについて疑問を呈したりする意外な一面もあるのであった。

29話でシロボンが苦手としていたアイスボムを洪水相手にお見舞いする実力を見せるも、一方ではシロボンから教わった褒められないボムの使い方を披露し、1話の風船ボムにもリンクしてくる。

そんなマイティも、以前から一匹狼のミスティを心配し、ジェターズに誘っていた。一悶着あった末に、渡されたバッジは図らずもムジョーに壊されてしまい、ミスティはジェッターズに加わることなく「泥棒は泥棒らしく」去っていく。

もしここでバッジが壊れていなかったら、ミスティが揺れ動いた自分の心に素直になれていたら、ジェッターズに入っていたら、マイティをあの局面で単身向かわせることなどなかったのではないか。そう思わせる余地を残すエピソードである。アンドロイドが目を覚まし、ミスティはここから(マイティの仇であるはずの)彼と行動を共にする事になるのだが、それもまた奇妙な巡り合わせである。

 

第32話 憧れのシロボン

冒頭、マイティの散った場所で回顧するボン婆さん。26話でシロボン達の立ち直りの一区切りした訳ではあるが、前回のミスティの回想と合わせて、ボン婆さんの様子が描かれることで、マイティの死によって周囲に及んでいる余波が丁寧に拾い上げられる。また、肉親のボン婆さんでさえマイティの好き嫌いがわからないという情報により、やはり生前の彼には大きな空白が残されていることが視聴者に向けても示唆される。

本編は、ルーイとのゲーム対決に負けてこき使われるシロボンの元に、ボムスター1個のダイボンが現れ勝負をすることに。ジェッターズは出動せず、ヒゲヒゲ団も関与せず、ゲストキャラのお悩み解決が主題で、舞台がジェッター星だけで完結している地味に珍しいパターン。

32話タイトルの「憧れのシロボン」は、1話「憧れのボンバーマン」と対になっている題なので、シロボンの現在地を確認するための回とも言える。西部警察にも出てきそうなグラサンかけたダンディな見た目(「不器用ですから」という口癖まである)に似合わず、ボンバーマンとしての不甲斐なさからプーイに見放されたダイボンは、言ってしまえば1話時点のドジな見習いボンバーマンだったシロボンに近い位置にいる。

一方ここまででボムスターを3個手に入れてきたシロボンが、今回の話でそんなダイボンに花を持たせるべく便宜を図った行動が4つ目に結びつくのは、「初心忘るべからず」な原点=ダイボンに向き合ったからであり、同じボンバーマンとの友情を育んだことにも由来しているのかもしれない。今回の話で同じくボムスターに巡り会えないボンバーマンの悩みが、シロボン以外のキャラクターで掘り下げられつつ、その肝心のボムスターについて「どういう時に手に入れられるのか」は明確な言葉で語らずある程度受け手にも委ねており、このことは最終回のある描写にも絡んでくることになる。

それにしても、ミスティの所持していた宝石はまだしも、前回が雷様のパンツ、そして今回がグラサンがボムスターになる展開は、予想が難しく、それだけに人の成長は思いがけずにやってくるというメタファーなのかも。

ギャグシーンで回想されるマイティというネタはグランボンバー回以来で、続く33話でも色々ひどい使い方をされることに。しかし「男は一度行ったことは後には引っ込められない」って、マイティの身の上を考えていくと、シリアスな文意で受け取ることもできるセリフではある。

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