こんにちは、ワタリ(@watari_ww)です。
が、自分は前作見ていません。
そんな前作未見の自分にでも、「バーフバリ 王の凱旋」はすらばしい作品である!と断言できます。前作を知らないまま観たパディントン2にどっぷり病みつきになったように、バーフバリも一作だけでも楽しめる設計にきちんとなっているのです。
主な作品の魅力を挙げるとするなら、
- 圧倒的な予算を投じられて作られた世界が豪華絢爛
- 主人公バーフバリの英雄的活躍を観れば気分爽快
- 王家の中で引き起こる嫉妬や陰謀は古典的でわかりやすい
- アクションのセンスが冴え渡っていて、様々な武器や装置を利用し生み出される大迫力
日本公開では、本編開始前に「前回のあらすじ」が挿入され、だいたいの状況は把握できるように配慮がなされています。
バーフバリをはじめとし、カッタッパ、シヴァガミ、マヒシュマティ…と馴染みの薄い響きばかりが並ぶので、ちょっと覚えにくい部分もありますが、とにかく覚えておいてほしいのは
- 父と息子の二人のバーフバリが主人公であり、王族の親子二代に渡る物語であること
- 国母シヴァガミを裏切りマヒシュマティ王国を支配したバラーラデーヴァが仇であること
以上2点です。
「王の凱旋」では、前半部分で前作「伝説誕生」にて仲間になった忠実な僕カッタッパが、マヘンドラ・バーフバリの父アマレンドラを殺すに至った経緯が回想で描かれます。
後半にマヘンドラを主役としたバラーラデーヴァへの仇討ちと王国奪還が遂行されることになります。
- 「前作の状況をやたら喋って観客置いてけぼり」
- 「キャラクター同士の関係がわからない」
みたいなのは、ほとんどありません。
丁度、大人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の第3部「スターダストクルセイダース」と同じような作りだと思って良いでしょう。
(C)荒木飛呂彦/集英社「ジョジョの奇妙な冒険」より
このように「ジョジョ」は、部ごとに主人公や舞台が変わったりするので、基本的な設定や背景は一から説明し直しています。
今作から見ても話にはついていけますし、以下に続く魅力は話が理解できずとも、絶対に味わってほしいものです。
(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.
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封建的な時代設定にありながら色鮮やかな衣服や金ピカの装飾を身につけていたり、お姫様は籠に乗って登場したりもします。
王子や兵士は、戦いに身を投じる立場であるため、盛り盛りな腕の筋肉を見せつつ、本格的な鎧を纏っています。
要所要所に挿入されるボーカル入りの音楽も、登場人物の関係性をテーマにすることで説明的ではなく情緒的に観客に伝えるようになっているため全く退屈ありません。
マヒシュマティ王国やバーフバリの雄大さなどは、初見にはイマイチわからないと思うのですが、膨大な数の国民が彼らを崇めている画や尊敬の念をこめた歌が流れたりすると妙に納得してしまうものです。
音楽とマヒシュマティ王国の外観。この二つが観客の耳へ、目へとアピールしてくるため、映画の総合芸術ぶりに改めて気づかされることでしょう。
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バーフバリに忠誠を尽くす老兵カッタッパの渋い顔だちからは、毅然としていて、ストイックな性格が窺えます。その一方で見えるアマレンドラ・バーフバリにたいしての父性混じりの忠誠心もまた良い。
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今作の前半部分は、彼から息子のマヘンドラ・バーフバリへの伝言という形で進行します。彼が何故忠義を誓っていたアマレンドラを裏切ることになったのか?心の動きを注意深く見ていくのもいいでしょう。
他にもバーフバリが想いを寄せる他国の姫デーヴァセーナは武術に長けた気の強い女性であることに説得力抜群な振る舞いを見せてくれるし、
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とにかく役者陣もまた豪華絢爛なのです。この壮大なスケール、熱っぽい芝居を全身で堪能できる劇場鑑賞を強くオススメします。
家で観る舞台演劇より、生で観る方がいいにきまっているのと同じです。
動きが激しく格好良いのは勿論のこと、アクションシーンで展開するキャラクター達の武器や動作がきちんと演出として優れているのも驚くことでしょう。
作中、カッタッパとバーフバリが山賊の大群を相手取って、次々と倒していく場面があります。このシーンでは、ノールックで武器を投げ、離れた位置にいる相手に手渡すという離れ業を行っていて、二人の関係性がさりげなくアクション動作に組み込まれています。
先に逢った姫デーヴァセーナを思い出し、うつつを抜かしたバーフバリがちょっとしたピンチに陥るというハラハラする瞬間もあり、単なる激しさや派手さを追求しただけの戦闘ではなく、キャラクターの心情をさりげなく象徴しているのがなんとも心憎いのです。
ポスタービジュアルで描かれている三本の矢を引くバーフバリとデーヴァセーナの姿も劇中の大きな見せ場のひとつになっています。
(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.
三本も同時に矢を放てるのか?という時点で荒唐無稽な気がするのですが、敵の軍団を次々と矢で仕留めていく豪快さは、観ているだけで楽しい。もはや細かい考察とかどうでもよくなってしまうぐらいの勢いがこの作品には宿っています。
放った矢にフォーカスして敵に迫っていく画だとか、飛翔して空中で弓を引くバーフバリの姿だとかの迫力は大きなスクリーンで見てこそ輝くものです。
とにかく画作りのセンスが飛びぬけていて、ジョジョの「ジョジョ立ち」やワンピースの「どん!」に通ずる魅力を感じること間違いなし。
弓矢という武器も単なる闘いの道具ではなく、引かれゆく二人の関係性を象徴するツールになっています。
(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.
後はネタバレになってしまうので、詳しくは言いませんが、マッドマックスの世界観に出てきてもおかしくはない殺戮兵器が出てきて、人の大群がバッタバッタやられていったり、人間を大砲にして敵陣に射出していったりする場面まで出てきます。
常人の頭で理解できないような出来事が次々と画面の中で起こるのです。
(C)荒木飛呂彦/集英社「スティール・ボール・ラン」より
見ている最中、事態が理解できないような突き抜けたアイデア描写が多数。
兵士たちモブの物量もすさまじく、それが容赦なく薙ぎ倒されていく様は、もう気持ちよくすらあります。
積み木やジェンガを幾重にも重ねて、ぶち壊しにするという遊びを、子供の頃にやったことがありますよね?この映画はそれを大の大人たちや壮大な舞台装置でやってしまったという喩えがしっくりきます。
まとめるとこの映画は
- ジョジョのような数世代に渡る冒険と闘いの物語(だから話に入りやすい)
- 異様な熱と物量を投じられた舞台セット(劇場で観るべき)
- 舞台演劇のように大盤振る舞いする俳優陣(劇場で観ると魅力増大)
- 理性が崩壊するくらい激しくハイセンスなアクション(映画館の大画面大音響で観よう)
というわけです。もうこれは劇場でその迫力を身に受けるしかないでしょう?
「バーフバリ 王の凱旋」はまだ劇場でやっているところもあるようなので、ぜひ大スクリーンで観て下さい!↓
バーフバリ 王の凱旋 劇場情報
自分は生涯忘れられない映像体験になりました。
これを観ずにはアクション映画ファンを名乗れない!という大作です。
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