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こんにちは、ワタリです。
年が明けて一発目の映画を観てきました。
前作で虜になってからおよそ2年、
待望の続編キングスマン:ゴールデン・サークルです。
冒頭はネタバレ無しで語り、以降はネタバレして語っていきますので未見の方はご注意ください。
65/100
一言あらすじ「あの英国紳士スパイが帰ってきた!…はいいけど新要素がハマらない続編」
ということで新年最初の映画レビュー。
見た感想をシンプルに言ってしまえば上記の通りです。
エグジーは一人前スパイになった今でも隠し切れない生来の品のなさや青臭さは健在。
片目も以前の調子も欠いてしまった彼が復帰していく過程は、
おろおろしたりおぼつかなかったりする前作にはないハリーの一面が覗くことができました。
おろおろしたりおぼつかなかったりする前作にはないハリーの一面が覗くことができました。
バックアップを堅実に遂行していたマーリンも引き続きエグジーを援護。
そんな彼らが過激なアクションとぶっ飛んだ展開を魅せてくれます。
一方で、気がかりな点も存在。
今作で新たに出てきたステイツマンや麻薬組織ゴールデンサークルの魅力が
ポスター、予告でメインどころの立ち位置にいるチャニング・テイタム演じるアメリカンスパイ テキーラはぶっちゃけ顔見せ程度に留まって全く活躍しませんし、
ハル・ベリーも美貌は相変わらずですがこちらも物語上の役割は薄い。
犯罪組織ゴールデンサークルの目的も前作のヴァレンタインの悪行に比べると過激さが増したわけでもなく、スケールも拡がっているわけでもありません。
ポピーの悪行は麻薬の是非を提起するために設定された節があるのですが、イマイチ描写不足で「麻薬はいけません」という小中学校の講習レベル止まりな気がしてしまいました。
その割りに麻薬をどう片付けたいのかも中途半端でしたし…。
その割りに麻薬をどう片付けたいのかも中途半端でしたし…。
このように単なるインフレーションを期待すると肩透かしに終わってしまうでしょう。
前作から続投したキャラクター達もあっさり退場させられたりするし、
より粗が目立つ脚本でもあるので、
一概に「前作が好きだから今作も好き」になるような作風ではないかな…と思ってしまいます。
しかし、きちんとやるべきことはやってくれています。
軽快な音楽をかけながら激しいアクションが展開するのは勿論、
人の命が紙くずみたいな重みで処理されていきますし、生理的嫌悪感を呼び起こす描写も多数。
※褒め言葉です
公開されてから賛否両論となっているのも納得な描写の数々と、
シリーズ独自の良さが喧嘩しているような作品と言えるでしょう。
顔ぶれが豪華だし、アクションは見ていて楽しいし、
英国紳士×下品という類を見ないオリジナリティがあるので、その時点で50点越えは確定。
英国紳士×下品という類を見ないオリジナリティがあるので、その時点で50点越えは確定。
文句はあるし、前作を超えてはいないけど、楽しかったというのが結論ですね。
上映時間は2時間20分と長丁場ではありますが、
見ている最中「はやく終わらないかな…」となることもなかったです。
見ている最中「はやく終わらないかな…」となることもなかったです。
↓以下、ネタバレ全開で作品の感想です。
前作の良さはだいたい引き継がれている
前作キングスマンの何が胸に響いたかというと
①コリン・ファースやマーク・ストロング、マイケル・ケイン等の気品のある顔ぶれ
②それに相反するような過激な描写のオンパレード
③下級階層の青年がスパイ機関で教育を受けて一人前になっていく成長劇
④敵役のヴァレンタインのどうしようもない非道っぷり
⑤あまり見なくなってきたスパイムービーらしいアクションやガジェットの数々
①コリン・ファースやマーク・ストロング、マイケル・ケイン等の気品のある顔ぶれ
②それに相反するような過激な描写のオンパレード
③下級階層の青年がスパイ機関で教育を受けて一人前になっていく成長劇
④敵役のヴァレンタインのどうしようもない非道っぷり
⑤あまり見なくなってきたスパイムービーらしいアクションやガジェットの数々
主にこのあたりです。
②の部分は、今作ではエグジーが一人前のスパイになった状態でスタートするため
成長劇的な要素は薄れました。
代わりに「生存していたハリーの復帰過程」がドラマパートで展開。
④に関しても、今回はジュリアン•ムーア演じるポピーが
私欲を肥やすべく世界を巻き込んだ悪事を働くため、ポストは埋められています。
私欲を肥やすべく世界を巻き込んだ悪事を働くため、ポストは埋められています。
(ただ、この部分に関しては不満もあるため、後述。)
細かいところでは変化しているものの、だいたい前作でウケた部分は押さえられてはいます。
自分の中で特に良かったのは②と⑤ですね。
過激な描写は、公開前にPG−12止まりかよ!と思っていたのですが、
悪趣味な方向性では前作より強化されたといってもいい。
SNSでも話題になっている人肉ハンバーガーとミンチは
最初の部下の粛清にはじまり、
裏切り者のウイスキーのトドメに終わる魅せ方は作り手のいたずら心をもろに感じました。
発信機を仕掛けるのに相手の粘膜に付着させなければならない、
という狙ったような下品さも笑ってしまいましたね。
という狙ったような下品さも笑ってしまいましたね。
エグジーがなんとか行為に持ち込もうとするも、
婚約者を裏切りたくないという良心の呵責は滑稽でしたし、
婚約者を裏切りたくないという良心の呵責は滑稽でしたし、
発信機の混入に成功したシーンのハイトーンな音楽とスペクタクルな膣内カメラワークのコンビには良い意味で唖然としました。
終わって劇場が明るくなった時に、明らかに小学生ぐらいのお子さん連れの家族がいましたが、説明を求められて困らなかっただろうか…。
キングスマンはご存知の通り人がバンバン死んでいく作風ですが、
今回もモブの敵キャラはエグジー達の格好よさの引き立て役でしかないんだと言わんばかり。
安安と撃たれ、縄を投げられ、爆発四散していくのは爽快でした。
アクション映画でここまで容赦なくモブが殺されていくのは類を見ないので、
こうしたキングスマンの独自性は相変わらずだったと思います。
スパイムービーの目玉であるガジェットも、
今回はステイツマンのウイスキーが使う投げ縄のようなアメリカンテイストな武器やら、
死者蘇生パックなんて荒唐無稽なテクノロジーまで出てきて
(子どもに見せたくないグロやエロがあるけど)童心に帰れる映画だなぁとしみじみ。
野球バットの地雷探査機とグレネードの野球ボールなども出てきましたが、
ちょっと見せ場が少ないのが惜しかった。
アガった場面①車内ファイト&カーチェイス
アクション面ではやはり安心して楽しめる映画シリーズだと思いました。
冒頭から惜しみなく車内のファイトシーンを見せてくれるため、最初から引き込まれました。
激しく殴りあう中でカーラジオがかかってこちらのボルテージを上げてくれて、
あぁキングスマンが帰ってきたなーと実感。
ここでかつてエグジーにコケにされたチャーリーがまさかの復活で驚きました。
今回義手を装備して超人的なパワーを獲得したため、これは前作のガゼルのような「親玉の右腕」的存在になったということなのでしょうが、
ガゼルに比べると見た目的な面白さには欠けていたように思います。
強い義手キャラクターというとバンバン思い浮かんでくるので、新鮮味がないというか。
激しい殴り合いの末に、なんとか車からチャーリーを追い出し、
凄まじいドライビングテクニックでロンドンの街中を駆けていく様も見とれました。
追手の車は人気のない場所でアッサリとミサイルで処理しちゃうこの馬鹿っぽい画も今時のスパイムービーではかえって見なくなりましたからね。
古臭いガジェットや容赦ない攻撃はリアル調に傾いている007やミッションインポッシブルにはないキングスマンの良さだと思います。
アガった場面②ペドロ・パスカルの活躍
予告を踏まえて本編見たとき
「テキーラ、ジンジャー全然活躍してないじゃん!」と
思うのは誰しもが通る道だと思います。
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代わりに活躍してくれるのが、ペドロ・パスカル演じるウイスキー。
宣伝での扱いがあまりに小さかったので、本編の実際の内容とのギャップを感じましたね。
彼は見た目からしておヒゲの似合うカウボーイですし、使う拳銃も西部劇風のリボルバー。
極めつけはあの投げ縄。
合成やCGではなく実際に投げて撮影しているそうで、迫力ありました。
縄の動きを取り入れたアクションは見ごたえ充分。
電流を流していとも簡単に人体切断も可能というトンデモない機能も素晴らしい。
ステイツマンに求めていたアメリカン要素全てをウイスキーが引き受けてくれていたので
この映画に出てきたキャラでは一番好きになりました。
(テキーラとジンジャーは制作が決まっている続編とスピンオフに活躍の場を投げたのでしょう…)
雪山でのシーンは次々と襲撃してくるゴールデンサークルの兵士たちを相手に
容赦ない攻撃を喰らわしていく姿が最高。
容赦ない攻撃を喰らわしていく姿が最高。
スローモーションを多用して、リボルバーを軽快に取り回していくシーンは
ステイツマンの特性がうまいこと出ていたと思います。
ステイツマンの特性がうまいこと出ていたと思います。
投げ縄に持ち替えて、敵の体を両断する恐ろしい業を披露することで、
後々のエグジー&ハリーとの戦いの緊張感にも繋がってきます。
後々のエグジー&ハリーとの戦いの緊張感にも繋がってきます。
テキーラにもこういう活躍の場があったらもっと評価高まったのになぁ~
と惜しい気持ちも出てきました。
と惜しい気持ちも出てきました。
チャニング・テイタムの肉体美をもっと活かしてあげて!
アガった場面③Wednesday! Saturday! アジト突入
終盤のエルトン・ジョンの歌唱と並行して繰り広げられるアジト突入は、
仕掛けがたくさん詰まっていて見事な出来。
仕掛けがたくさん詰まっていて見事な出来。
床屋の巨大ハサミを落として下にいる敵が串刺しになる衝撃の画も
軽く流されてしまうぐらい全体的にアガるパートでした。
軽く流されてしまうぐらい全体的にアガるパートでした。
50年代アメリカを模したアジトの装飾品や施設が戦闘に利用されていく遊び心は抜群に良かったですね。
エルトン・ジョンも、音楽で盛り上げてくれるばかりでなく、
敵の見張りを両足で蹴り上げて撃退し、ハリーの窮地も救うという活躍ぶり。
敵の見張りを両足で蹴り上げて撃退し、ハリーの窮地も救うという活躍ぶり。
本物のスターが映画でここまではっちゃけた例はあるのだろうか…。
ハリーが機械仕掛けの犬に追われた際にはボーリング場でピンを盾にし、
事前にチャーリーが壊して出来た抜け穴から逃げ、
最後にはタトゥーを作るための金をぶっかけてゴールデンドッグにするなど
施設の特性や伏線をフル活用しており、振り返ってみてもアイデア満載。
後はやはり前作では見る事ができなかったエグジーとハリーの共同任務が実現したのが熱かった。
超人スパイ二人がお互いをカバーしながらアジトの奥へ奥へと進んでいく様は、格好良い。
エグジーにグレネードが飛んできた時に、傘からワイヤーを射出して敵にお返しするシーンなど見ていると二人の関係性が前作から進展したなぁと思いましたね。
なんだかんだ前作の最期は喧嘩別れでしたから…。
不満点①前作のキャラを雑に扱わないで!
とまぁ、いいところを語ってきたわけですが、一方で不満も確実にありました。
まず思ったのは、前作のファンがガッカリするような展開がけっこう含まれていたこと。
ロキシー、JB、ついでにブランドンがアッサリ死んだのは、やはり解せない。
マシュー・ヴォーンは続編モノの監督が今回初めてなので、
そのあたりの不慣れが出てしまったのでしょうか…。
そのあたりの不慣れが出てしまったのでしょうか…。
前作で出たキャラクターには少なからず思い入れがあるので、
死んでしまうにしても重みが欲しかったです。
↑序盤で退場するのにポスタービジュアルが用意されているのが悲しみを誘う
マーリンの退場に関してもそれに至るまでの描写がやけに適当で、
地雷探査機構えながら進んでたのに何故かエグジーが踏んでしまって
彼の身代わりになるのは、唐突かつ不自然に感じてしまいました。
この展開を匂わせる布石と言えば
ジンジャーと前線で働くことについて語り合うシーンが挿入されていたくらいで
マーリンが犠牲になることに関してもっと流れがあっても良かったんじゃないかと。
爆発による死者は「実は生きてました」も出来なくはないけど、
多分ハリーでやった以上、禁じ手になったような気がします。
多分ハリーでやった以上、禁じ手になったような気がします。
上記のキャラはあっさり死ぬ割にチャーリーやティルデ王女のような
さほど重要でもなかったキャラは今回けっこうな大役貰っているので、
さほど重要でもなかったキャラは今回けっこうな大役貰っているので、
観客が求めている物と監督がやりたがっている事が一致していない感じを受けました。
まぁ観客に媚びるだけが映画ではないのですが、
キャラクターの雑な処理は自分には受け入れずらかったです。
キャラクターの雑な処理は自分には受け入れずらかったです。
不満点②話の対立構造がとっつきにくい
「キングスマン」におけるヴァレンタインは、
ガイア理論(地球を生物とみなす仮設)に傾倒し、
地球環境保全のために人類を殺戮するというおぞましい思想の持ち主で、
地球環境保全のために人類を殺戮するというおぞましい思想の持ち主で、
生存させるのは社会的有力者のみという選民思想・差別主義も同時に持ち合わせていました。
おかげでその計画に加担する人間も、差別思想を持つ人間も
完膚なきまでに叩き潰す対象として一貫して描かれていました。
その結果生まれたのが、教会でのハリー無双シーンや、
威風堂々に合わせて頭が吹っ飛んでいくシーンです。
人によっては悪趣味だと切り捨てる事もできるでしょうが、
自分はこの悪趣味さに魅了されてしまいましたし、
ヒットの理由もそこにあると思っています。
キングスマンにおける悪役とはこの通り、悪趣味で過激なシチュエーションを
正当化するための免罪符のような役割を持っていると自分は考えていました。
ポピーに関しては、登場シーンで描かれているように、
麻薬王であるが故に大手を振って表社会に顔を出す事ができない身です。
だから、カンボジアの奥地でひっそりとしているしかなかった。
今回の騒動の発端は、「麻薬を合法化したい」「堂々とビジネスを行いたい」
というポピーの上昇志向や自己承認欲求に由来するものです。
ヴァレンタインのように殺戮を目的としているわけではなく、
殺戮はあくまで交渉のための手段。
このあたりがイマイチ悪役として吹っ切れた魅力になっていない原因だと思います。
ここに「麻薬使用者を掃討したい」との目的を持った大統領や、
麻薬使用者を擁護する女性政治家まで出てきて、状況がやや複雑になっているのもとっつきにくかったです。
ポピーの提案を受け入れるフリをして使用者を死に追いやろうとする大統領もまた罪を負っているものの、
(やり方が過激ですが)風紀のために犯罪者を罰する発想自体は誤りだと断ずることはできません。
麻薬を使っていた女性政治家も非があるため、話の方向性があまりハッキリしていないように感じました。
特に事件解決後に麻薬使用者が大統領になるのは、いいのだか悪いのだか戸惑いました…。
アメリカでの麻薬の是非に関しては、現状医療用で使用が認められるようになってきたり、一部の州で合法化されたりしており、タイムリーなテーマではあるとは思います。
しかし、完全悪を作り出すテーマとしては不適切に感じました。
麻薬中毒者に恋人を殺されたウイスキーが最後に阻止してくる展開も、
キングスマンVSステイツマンの対決を観られたことは良かったですが、
彼の顛末は果たしてミンチで良かったのかモヤモヤが残る部分もあります。
圧倒的な悪を打ち立ててそれを容赦なく攻撃する前作の作風とは方向性が異なっており、
そこに自分は納得がいかなかったですね。
まとめ
期待して観にいったらそれなりに応えてはくれたけど
看過できない問題点もまあまあ存在したってことですね。
看過できない問題点もまあまあ存在したってことですね。
今作では顔見せ程度で終わったテキーラとジンジャーも続編とスピンオフで活躍するでしょうし、
キャラクターの呆気ない扱いもそういう作風なんだと割り切るしかありません。
本作ゴールデンサークルは批評サイトでもSNSでも概ね賛否両論になってしまっていますが、
ユニバース化され展開していく今後を期待している方は多いでしょう。
なんだかんだキングスマンの持ち味は他のスパイ映画にはないものです。
今作では粗が目立った部分も、次回以降省みてブラッシュアップしてくれればいいんです。
前作を超える勢いやアイデアが欲しいという心残りはあるものの
英国産の独特なスパイムービーは相変わらず面白いので、
鑑賞して損はなかったかなーという印象です。
鑑賞して損はなかったかなーという印象です。
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