久方ぶりにドラえもんでワクワク『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』レビュー【ネタバレ】

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こんにちは、ワタリ(@wataridley)です。

ひさびさにテレビで観た「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」について感想を書きます。

映画のドラえもんというと自分は大山のぶ代などの旧キャストの時代には、レンタルビデオ店からソフトを借りてよく見ていた幼少の記憶が蘇ります。「ワンニャン時空伝」はとても印象的なドラマがあり、今も心に残っています。

水田わさびドラえもんになってからもう14年も経っているという時の流れの速さに驚くばかり。と、同時にドラえもんの映画シリーズからも距離を置いてしまったなぁーと感傷に浸ったりもしました。

ドラえもんらしいひみつ道具を駆使した夢のような体験、暖かみのあるのび太やドラえもん達の可愛いキャラクター、劇場版ならではのスケールの大きさ、そしてハッとさせられるストーリーが、この映画に詰まっているようでした。

ネタバレ込みで触れていきますのでご注意ください。


72/100

ワタリ
一言あらすじ「南極で大冒険」

創意性溢れるひみつ道具

やはりドラえもんの魅力といえばこれ。今回は冒頭からフルスロットルで使いこなしていました。

かき氷が食べたいなどという無邪気な気持ちからどこでもドアを通じて南極へ行くのび太とドラえもん。そこで使う道具がアイデアに満ちていて面白かった。氷の形を自在に操れる器具を用いてふかふかのソファや豪華なガーデン、果ては遊園地を作り上げてしまう荒唐無稽な創作風景には、童心をくすぐられてしまいます。

オープニングでジェットコースターを作るためにタケコプターで飛びながら軽快に形作っていき、しずかちゃん達を呼んでいっしょに遊園地を楽しむシーンから既にドラえもんの世界観に引きずり込むよう工夫が込められていると思いました。

笛を吹いて、綱とソリを引く動物を形成したり、笛の音に応じてスピードをあげたりするエピソードも楽しい。スピード感あふれる映像で子供らしく競争するドラえもん達は微笑ましいし、調子に乗って転んでしまうギャグも抜かりない。

南極で発見した謎のリング。ここから持ち主が誰なのか探り始めるわけですが、本来は調べようがないので頭打ちですよね。でも、ドラえもんがいれば簡単に年代測定機で探れるんです。話が通じなければ翻訳こんにゃくだってある。ひみつ道具はビジュアル面でも面白いし、話を停滞させないための工夫にもなっているのだから、感心させられます。

 

大冒険しがいのある南極

今作の舞台は南極。氷を生かしたひみつ道具を使うのはもちろん、土地柄が話の上で壁や障害物になったり、異世界のような映像美に寄与していて、ワクワクさせられます。

ドラえもんがスノーボールアースや氷山の成り立ちについて解説してくれ、それらの実際の南極にまつわる知識は、単純に知識欲を刺激されます。ドラえもんを見るのは子供がメインでしょうが、大人でも南極のことは興味深く映るものです。

とはいえ、今作はあくまでドラえもんの世界。窮屈にリアリティに固執せず、ファンタジー要素もある程度織り込まれています。象のような可愛らしい動物パウパウはマスコット的な魅力にあふれる一方で、上に乗ってスリリングに逃げ回ったりもするアクション面での役割まで担っています。

後半に出会うヒョーガヒョーガの人たちも当然架空の存在であり、それ故に未知の世界に関わろうとするSFのような要素まで備えている。前半をドラえもんの道具を使う南極の冒険にし、後半を大胆なSFにすることで、常に冒険の面白さがついて回るので、目が離せません。

 

些細なところも楽しめる

本作は観客を楽しませる工夫にもあふれています。

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食事シーンは特にその拘りが強く出ているといっていいでしょう。本来食事シーンは説明の時間になってしまいがちなのですが、この映画では一風変わった食べ物やそれに反応するキャラクターを描くことで、画面の退屈がまるでないんで
すね。それと並行してヒョーガヒョーガ星の話をすることで、すんなりと受け入れられるようになっているわけです。

ブラザーガの説明シーンにおいても、独特なボーカル入りのBGMが流れ、大きな姿が雲から現れる様は印象的です。

このように、実写映画にありがちな「会話が退屈」というのがほとんどないんですね。

 

可哀想だから…というのび太

偽物に鈴とポケットをすり替えられたドラえもん。

どっちが本物か?と問われたのび太は、どちらも本物じゃダメかという一種優柔不断にも思える返答を一旦はします。ここでは、のび太が本物のドラえもんを見分ける術はなかったんですね。ただ、可哀想だから撃退してしまうのはよそうという情けの心だったのです。

偽物の方は逆上。ドラえもんはのび太の危機を救います。のび太以外は偽物かどうかという見方でしたが、のび太は思いやりの心で見ていました。それを受け取ったドラえもんが助けに入ることでお互いに理解するのです。究極的に相手の中身を理解することはできないけど、かけられた気持ちと行動を相手に返すところに、ドラえもんとのび太の間にある絆が表れています。

 

驚かせてくれる終盤の展開

のび太の夢の中に氷漬けにされたドラえもんが出てきます。これは後に塔の中でも実物を発見し、その近くで氷漬けになっていたモフスケもまた不可解な状況でした。氷の中にいたドラえもんは石造りの偽物だったわけですが、一体どうしてこんな状況に至ったのかという好奇心が作品をリードしてくれました。

終盤は序盤に使っていたひみつ道具を用いてブリザーガに立ち向かっていく様は爽快感がありました。特に氷細工ごての活躍は、序盤の遊びの使い方から、ブリザーガの捕縛に至るまで、幅広い運用方法があって、目で追って楽しかったです。

氷をタイムマシンとして使った話運びにも唸らされました。ドラえもんといえばタイムマシンでのタイムスリップが定番です。タイムマシンを使った話ではほとんどその未来や過去の改変といったことがテーマになり、話のオチもある程度読めてしまうきらいがありました。しかし、今回の氷に関してうまいこと観客の裏をかいてきたのが脚本的に優れている。パオパオのモフスケとユカタンが同一の個体であることは予想だにつきませんでしたし、のび太やドラえもんの行動によって最初に見つけた時の状況に収束していく流れに感心するばかり。

ドラえもんでは同一人物が同じ時代に居合わせる話がありました。未来ののび太が家庭教師をしにやってきたり、過去ののび太が結婚式前夜に行くエピソードですね。ところが今回は人間じゃなく動物のわけなので、観客にわかりやすく伝えてはこないわけです。モフスケとユカタンがやけに「再会」を喜んでいたシーンなどを見返すと、初見とはまた違った意味を感じ取れますね。

 

まとめ

南極という未知の領域に足を踏み入れ、ドラえもんの道具を使って楽しくさくさく冒険、そこにのび太とドラえもんの絆を入れ込み、危機に際して伏線を回収していく物語は、とても惹きつけられました。

エンタメとしてよく出来ているし、ドラえもんりしいギミックも盛りだくさん。特殊なロケーションである南極に身を置いてものび太達のキャラクターは発揮されていて、ドラえもんの劇場版としてよく出来ていると思いました。

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