刺激的でボリューミーなDLCだが、スプラトゥーンでやる必要性はイカに『オクト・エキスパンション』レビュー

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こんにちは、眠気覚ましにコーヒーを飲んでむしろ眠気が増してしまうワタリ(@watari_ww)です。

今回はNintendoSwitch用ソフトであるスプラトゥーン2のダウンロードコンテンツ(DLC)、「オクト・エキスパンション」のレビューをします。

スプラトゥーン初の有料追加コンテンツにして、イカの宿敵タコを主人公にしたシングルプレイモードという予想だにしなかった内容には当初驚きました。率直に言って「対戦がメインのスプラトゥーンでシングルプレイの追加?」と不安を覚えもしました。
しかし、実際にプレイしてみると、ヒーローモードと一味も二味も違う遊びを提供してくれており、ボリュームも十分なコンテンツでした。
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「DLCならでは」のオンパレード

スプラトゥーン2が発売した当初、当ブログではその対戦バランスの劣悪さに不満を書きなぐったことがあります。そこでは触れませんでしたが、ヒーローモードに関しても言いたいことは多々ありました。1から引き継がれたヒーローモードは、そのスタイルをほとんど変えておらず、あまりに新鮮味に欠けていました。変更点と言えばシューター以外のブキが使えるようになったことと、それに合わせてステージがブキの特色を活かして進めるギミックが追加された程度。経験者の多くはマンネリを感じたでしょう。自分もそうでした。

それと比較して「オクト・エキスパンション」は既存のスプラトゥーンのシングルモードとは根本から設計が変わっています。
効果音(SE)やユーザーインターフェース(UI)が一部新しいものが増えている他、舞台となる地下鉄が醸し出すアングラな空気、個性的でチャーミングな新キャラクター、難易度が向上しただけでなく形式も多種多様になったステージなど、製品のスプラトゥーンでは体験できないこと尽くしでした。

バラエティ豊かなステージ群

「オクト・エキスパンション」は、ネル社が運営する深海メトロの路線に乗って各駅にある実験施設(ステージ)に挑戦して進んでいくという今までにない形式。

どのステージもスプラトゥーン2の対戦モード、協力モード、シングルモードには見られなかった仕掛けや遊びを提供してくれています。

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最初のステージからジェットパックを装備したオクタリアンが襲ってくるというサプライズ付きで、路線を開拓していくにつれてどんどん目新しい光景に巡り合えるようになっています。

ブキはステージごとに指定されてはいるものの、ヴァリアブルローラーやソイチューバーといった基本系以外のものも使えるようになっていて、クリアまでに様々なブキに触れられる設計。従来のヒーローモードではシューターはスプラシューター、ローラーはスプラローラー…といったように見た目違いの標準性能武器しか使えず束縛感が強かったので、これはうれしいところ。

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中にはジェットパックやイカスフィアを発動しっぱなしでゴールを目指す特殊なシチュエーションまで用意されています。今までは正規の手段でスペシャルウェポンを無制限に使うことはできなかったので、シングルプレイならではの遊び心が含まれています。
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イカスフィアを装着しながらタコ侍に挑むステージは、イカスフィアで攻撃を避けないといけない緊張感とマリオパーティのミニゲーム的な面白さがありました。スフィア状態で攻撃を当てられると吹っ飛ぶので、猛スピードで場外に落ちてしまう光景には笑いを抑えられません。
他にも壊れる木箱の上での戦いや、
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手ぶらで敵の攻撃を避けて進むステージ、
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果てはインクを一切発射せずにクリアできてしまうステージまで存在する有様。
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もはやスプラトゥーンの既成概念に拘らない作りをしています。創造的破壊とはまさにこのことでしょう。

ステージはサクサクと進められるようになっているので、ヒーローモードほど中弛みすることもなく、適度に区切ってプレイしやすくなっています。とあるステージでは、(方法を知っていればですが)10秒もかからずクリアできるほど。「オクト・エキスパンション」の総ステージ数は80程もあるのですが、てきぱきこなせば1日とかからず網羅できる塩梅です。
小粒ながらも豊富なステージで、異様な状況に直面していくこのDLCはやり込んだ人ほど驚きが増すことでしょう。難易度もやりごたえ十分で、スプラトゥーンに新しい遊びを求めているなら「買い」です。

ミステリアスな世界観、深海メトロ

「オクト・エキスパンション」の舞台になっている深海メトロには、地上では見られないような生物が生息しています。彼らのちょっとグロテスクな造形は目で見ても楽しめますし、「こんな奴らもいるんだ」とスプラトゥーン世界を広げてくれています。
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主人公の8号が乗る電車を仕切るナマコ車掌は、どぎつい青色で柔らかそうなボディを持つしっかり者。
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ナマコ車掌は主人公がステージに挑む前の駅のホームでは、伸びのポーズをとっていたり、あるいは溶け出していたりと豊富な様相を見せてくれます。不気味なカラーリングでありながら可愛いと思わせるビジュアルに、車掌らしく真面目な性格が大きなギャップを生んでいます。スプラトゥーンのグッズは数多く出ていますが、ぜひともナマコ車掌の人形を出してほしいです。たぶんずっとプニプニしていられます。

正体不明のネリメモリーコレクター グソクは見た目がスプラトゥーン風にデフォルメされたグソクムシであり衝撃的ですが、口調はもろに中年おじさん。酸いも甘いも知り尽くしたような哀愁を漂わせつつ、若い8号に深いセリフを投げかけてくる、これまた趣あるキャラクターです。
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↑わかる人にはわかる小ネタ台詞

列車に乗車している客の姿かたちも、路線によって変わるという細かさ。

これらは時折生理的な気持ち悪さを感じさせるし、電車に施されているペイントや薄暗い照明なども、ビビッドで可愛い従来のスプラトゥーンとは一線を画しています。

スプラトゥーン的な世界を知り尽くしたプレイヤーに一味違う世界を見せてくれるサービス精神は評価点です。

 

スプラトゥーンの世界もきちんと解明

風変わりなステージに、奇抜なキャラクター…と穴を突いてくる要素が目白押しの「オクト・エキスパンション」ですが、きちんとスプラトゥーンプレイヤーのツボにジャストミートする球も放ってくれます。

ヒーローモードは「あのアオリちゃんが裏切った!?」という客寄せっぽいプロットを除いてしまうと前作とほぼ同じストーリーでマンネリを感じていましたが、今回のDLCはイカのライバルであるタコが主人公にしてプレイアブルになるという嬉しい展開
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記憶がないタコの8号は、偶然出会ったアタリメ隊長と共に地上を目指す…という筋書きであり、脱出するために深海メトロを旅するため、ストーリーに適度な切迫感と謎が与えられています

これは、従来のヒーローモードと異なり、きちんとストーリーモードらしい設計になっていると思いました。魅力的なキャラクターとの掛け合いや明確な目的を追っていく展開、ラスト付近では(1作目からやっているプレイヤーは特に)盛り上がるムービー演出もあり、ダイナミックな物語にうまく乗せてくれるのです。
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シナリオ面では、ナビゲーターに一方的に指示され淡々とステージをクリアしていくだけのヒーローモードからある程度の進歩が感じられて良かったです。

また、今作を起動するとほぼ毎回顔を見ることになる(ぶっちゃけ飛ばしたい)テンタクルズのキャラクターも掘り下げられていて、溜飲が下がりました。
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チャットログという形式ではありますが、アタリメ隊長との会話も閲覧することができ、その中でタコであるイイダのバックボーンやテンタクルズ誕生秘話などかゆ所に手が届く情報を得られます。クライマックスにも大活躍するので、テンタクルズファンには逃せないDLCでしょう。

 

ご褒美もちゃんとある

DLCをクリアした特典として、タコが使えるようになるのは発表時のPVでも示されていた通りです。自分はガチマッチに潜る時はタコガールを使っています。

吸盤の目立つうねった髪の毛(というか触手)や、クールな印象を与えるつり目などがグッド。
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潜伏時の形状もきちんとタコ。イカとは異なる姿でスプラトゥーンをプレイできるというだけで胸が高鳴ります。
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鳴き声もタコ用に新録されたものが使われており、タコの敵をやっつけた時もこっちがやられた時も新鮮な気分です。

発売からおよそ1年が経とうとしている頃に、新たな風が吹いているようで、まだまだスプラトゥーンの熱は収まりそうにありません。性能はイカと変わらないものの、操作する側の気持ちは確実に変わっています。

これだけでも十分嬉しいのですが、加えてDLC限定のブキとギアも獲得することができるのも有難い。

購入特典で貰える2種類のタコカラーのギアや、
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全部で10本の深海メトロ路線内にある全ステージを(救済措置なしで)クリアした場合に貰えるギア10種もあります。
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どれも見せびらかしたくなるような特徴的なデザインです。

更に、とある条件を満たした場合に貰える1種類を加えると全部で13種類。

ストーリーをクリアすると手に入るタコのアバターとオクタシューター、そして13の限定ギア。2000円弱でこれだけのゲーム内アイテムを獲得できるのは、コスパ的にも優れていると思います。


中にはフルプライスで売った挙句に、ソシャゲ要素でさらに課金を煽るゲームもあるのに比べれば良心的。
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(C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 (C)2013 NBGI

更にクリア後は、DLCで獲得できるNAMACOポイントを投入するとギアのかけらやフード&ドリンクチケット、おカネと交換できるガチャまで解放されるので、些細ながらエンドコンテンツ的な楽しみ方も用意されています。

 

不満と疑問: コンセプトが散逸してなイカ?

ステージも良い、世界観もいい、ストーリーもいい、DLC限定アイテムもいい…じゃあ良いこと尽くしです。

じゃあ何が不満なんだよって言うと、今作はスプラトゥーン的な楽しみを求めているユーザーには明らかに合わないような作りになっているという点です。自分は「オクト・エキスパンション」にはどちらかというと肯定的な立場ですが、これに関しては看過できません。

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スプラトゥーンじゃなくて良くなイカ?なステージ

ステージは数も種類も豊富で、本編とは違う遊びがあって面白い。たしかにこれは長所です。

ただ、どうしても気になったのは変な方向性で作った結果、スプラトゥーンでわざわざやる必要を感じないようなギミックやルールがあるステージが存在してしまっていることです。

特にピックアップしておきたいのが、「同じ形にせよ!」というルールが課されるエチスケチ・ワンタッ地駅。
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目的はシンプル。右に配置されている木箱の大群を支給されたブキで削って、左にあるオブジェと同じ形にしろ、というもの。

最初見たとき、あまりにスプラトゥーンと関係なさ過ぎて笑ってしまいました。

スプラトゥーン独自の要素である塗りや潜伏は隅に追いやられ、メインでやらされることが単なるオブジェクト破壊の繰り返しなのです。

しかも削らないといけない木箱の数は地味に多くて面倒くさい。実力さえあればサクサクとクリアできるステージの存在がこのDLCの強みではあるのですが、これは解法を知っていたとしても手間がかかります。

そもそも2018年に最新ハードで「2つの物を同じ形にしなさい」っていうゲームをやらされるのは、純粋に面白くない。

「オクト・エキスパンション」にはこのようにスプラトゥーンのコンセプトを見失ったようなステージがいくつかあり、ちょっと迷走を感じてしまいました。

先述した「木箱の上での戦い」「手ぶらで敵の攻撃を避けるステージ」「インクを一切発射せずにクリアできるステージ」なんかも、自分は面白いと感じはしましたが、「ポップなブキで床や壁を塗ってスイスイ移動して派手な戦いを繰り広げる」というスプラトゥーンのコンセプトとは相反しています。

人によっては求めていたものと大きく違うと感じるでしょう。

 

初心者泣かせのステージ群

スプラトゥーンはこのかわいらしいビジュアルも人気を博した理由のひとつでしょう。
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このビジュアルは魅力的であることはもちろん、スプラトゥーンの持つカジュアルさを象徴してもいます。銃をもった強面のキャラクターが煙立ち上る戦場で命を奪い合う…というゲームと違って、老若男女だれでも気軽に楽しめる雰囲気と、実際「倒せなくても塗りで競える」というゲームデザインが決定的な強みなのです。

ところが、その理屈は「オクト・エキスパンション」には全く当てはまりません。

というのも、「1回のミスが許されない」「明らかに初心者にはクリアできない難易度」のものが存在しているからです。

筆者は現在、スプラトゥーン2のプレイタイムは600時間超え、前作と合計すると1000時間以上やっている身の上です。ガチマッチのウデマエはXで、謙遜せずに言うと上級者と言って差し支えないと思います(大会出場者とかにはさすがに及びませんが)。

そんな自分でも難しいと感じるものがありました。やってる最中、初心者が手を出したらもっと悲惨なことになるだろうなぁと憐憫の情さえ抱きました。

恐らく世界中を見渡しても一発クリアした人間はいないんじゃないかというステージがジョシリョ区駅。目標は「エイトカプセルを守りきれ!」というもの。

NPCであるオクタリアンから中央にあるオブジェクトを守り抜くという防衛戦です。シンプルなルールながら、難しすぎて10回はやり直しました
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ブキは自分好みのものを自由に選べるし、スペシャルウェポンも置かれてるのですが、向こうは複数で襲ってくる上に無限沸きです。
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しかも、動きもいやらしく、絶妙に射程を避けるように設定されています。

1体に構っている間に別のオクタリアンがエイトカプセルを襲撃し放題、といった状況に追い込まれ、その日の任天堂スイッチをスリープモードにしました
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攻略するためのコツはあるのですが、初見のプレイヤーにはわからないので、結局何度もプレイすることになります。

1対多数の対戦ステージもあっていいんですが、如何せんプレイヤーに容赦のないNPCであるため、初心者はクリアできずに投げる人も出ているのではないでしょうか。
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どうしてもクリアできない人向けに救済措置はありますが、使用したところでプレイヤーの気持ちが「クリアした」とはならないので、モヤモヤが残るのは必至。路線を全てクリアすることで貰えるギアを狙うのであれば結局その救済措置は何の意味もありません。

また、「インクレールに乗って的を壊す」系のステージも地味にプレイヤーのイライラを募らせる使用になっています。
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落ちたら即アウトまではいいのですが、チェックポイントが一切置かれていないために、何度も最初からやり直しをさせられます。目標の半分以上を壊しても容赦なく0からリスタートする状況はプレイヤーにとって負担です。
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移動している最中に動く的を撃つゲームは、どうしたってミスすることもありえるので、それを踏まえた設計にしても良かったのではないでしょうか。

用意されている救済措置は大雑把。初心者泣かせな難易度のステージ。せっかくお金を出してくれたスプラトゥーンユーザーのことをあまり考慮していないと言わざるを得ません。

 

DLCでやるべきではなかった内容

自分は今作の顔であるテンタクルズを掘り下げてもらえて、嬉しいと書きました。
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しかし、これってDLCではなく製品に含めるべき内容ではないかとも思います。

肝心の製品に収録されているヒーローモードに大々的に登場するのは、前作のアイドルユニット シオカラーズのアオリとホタルでした。これ自体は悪くはないのですが、結果としてテンタクルズの活躍の機会が奪われていたとも見れます。

起動したら出てくるような身近なキャラクターを詳細に知るには有料のDLCを購入しないといけない、というのはやはり一本の製品としては避けるべきだったかなと思います

ヒーローモードをプレイすると、アタリメや3号の行方が知れないことが語られていました。何か展開があるのかと思っていましたが、今となってはDLCを売るためにわざと空白を残したのではないかとも邪推できてしまうのです。

更に、気掛かりだった最後の展開。下手するとスプラトゥーン史上最大の事件が起こっている上に、テンタクルズも大盤振る舞いしてくれています。盛り上がりが素晴らしいだけに、有料コンテンツにするのではなく本編に含めるべきだと冷静に見ている自分がいました。開発期間が確保できないという事情が恐らくあったのでしょうが…。

加えて、コンセプトを逸れていたり、難しかったりするステージをクリアしないとタコやギアを貰えない状況も、ライトユーザーには非常に苦しいでしょう。

かくいう自分もDLC自体を予想以上に楽しみはすれど、結局それは「タコを使うため」「限定ギアを得るため」といった動機に突き動かされていた節もあります。純粋にタコが使いたいプレイヤーにとってはDLCは煩雑な手順と化してしまい、更に難易度も容赦ない有様です。

このあたりは今からでもゲーム内により手厚い救済措置を置いたり、単純にアバター売りすることもできると思うので、対処してもいいんじゃないかと思います。

 

まとめ

非常に尖ったスタイルの今作を良いようにとるか、悪いようにとるか。それは人それぞれとしか言いようがありませんが、確実に言えるのは「スプラトゥーン2」本体に比べて人を選ぶ内容になっているということ。難易度的にも、作風的にも、ハマらない人はハマらないし、刺さる人には刺さるでしょう。

とはいえ、自分は間違いなく値段分楽しみました。タコのアバターと多数のギアだけにも大きな価値を感じています。


↑アマゾンで買うと定価より200円ほど安いです。

肝心のゲームに関しても、正直発表されてから実際に遊ぶまでは「ヒーローモードの焼き直しだったどうしよう」という不安がありましたが、本編にはないネタや気合の入り様を目の当たりにして、良い意味で期待を裏切られました。

不満点も挙げたものの、スプラトゥーンに新たな刺激を求めている方や、タコが使いたい!と強く思っている方は買ってもいいと思います。

救済措置のお陰でストーリーをクリアするという段階までは誰でも到達し、タコが使えるようにはなるので、まるっきり何も出来ない…ということもないでしょうし、昨今は動画で攻略方法も見放題です。

何より、スプラトゥーン2はこれまで無料で数多くのアップデートを続けてきてくれました。遊ぶ側もゲームに満足し続けているからこそ、隆盛が続いているのです。
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https://www.famitsu.com/biz/ranking/より引用

ファミ通の売り上げランキングによると6月11日~6月17日は首位をとったそうで、安定した人気ぶりが窺えます。制作者への感謝と期待を込めて購入に踏み切る手も大いにありです。

アップデート期間の延長も決定され、これからもスプラトゥーンの世界は成長の可能性があります

次回作も確定しているようなものですし、「オクト・エキスパンション」は新たなスプラトゥーンの一面を見せてくれているDLCだと思いました。

 

 

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