ギャグは大当たりなのに、シリアスで滑る珍作『銀魂2 掟は破るためにこそある』レビュー【ネタバレ】

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こんにちは、銀さんと同じく天然パーマじみているワタリ(@wataridley)です。

今回は、週刊少年ジャンプで連載されている人気SFコメディ漫画「銀魂」の実写映画第2弾「銀魂2 掟は破るためにこそある」の感想。

実は前作の実写「銀魂」は未見だったのですが、前作公開から1年という異様なフットワークの軽さと、その背景にある多くの支持に興味があったため鑑賞しました。

ネタバレを含めた感想になりますので、よろしくお願いいたします


46/100

ワタリ
一言あらすじ「真選組、転覆の危機」

前置き: 前作は見る気が起きず

銀魂は「死んだ魚の目をした」侍の坂田銀時を筆頭に、多彩なキャラクターが織り成すドタバタなギャグが人気を博している作品です。

他の作品では見られないような独特なユーモアに加え、他作品のパロディや下ネタ、作品の裏事情をイジるメタフィクションなども容赦なく披露されており、健全な少年の心に悪影響を及ぼさないかと心配になるような作風が持ち味。

筆者自身も小中学生のころ、アニメ化された本作を目にしたり、原作もジャンプを買った時には目を通していました。今回の映画で扱っている「将軍接待」と「真選組動乱編」も原作で当時読んだ記憶があります。

しかし、昨年実写化が発表されてから、色々とネット上で巻き起こっていた波には乗っていませんでした。

作者の空知英秋氏が実写化はコケるであろうことをネタにしたコメントを出していたり、コスプレ感満載の登場人物のビジュアルが出回ったりしていた時、制作サイドが安っぽい部分があっても銀魂という作品の懐の広さのせいにできるといった匂いを感じていまっていたのです。

それに対して自分は、いくらギャグ漫画が原作とはいえ、実写化のチープさは首肯したくはないなと天邪鬼な思考になってしまいました。だから、公開後興行的に成功していることを聞いても、観に行く気は起きませんでした。

そもそも自分が銀魂に対して抱くイメージも、映画向きのお話ではないという点においてはっきりしていました。

今回観るに至った理由としては、前作がヒットを飛ばばして続編制作がスピーディーに決定したことと、時間が空いて上記の天邪鬼な考えが緩んだからです。

前置きはこの辺にして、観た感想を細かく述べていくとしましょう。

 

くだらなさが笑いに転化されている

実写映画をするにあたって、コスプレ感や学芸会じみたルックは観客にとって最大のネックです。

ジャンプ漫画の実写版の成功例として興行的にヒットした「デスノート」や「るろうに剣心」を見ると、チープさは回避しつつ、漫画でしか成立しないような超自然現象や非現実的なキャラクターをうまく実写に落とし込んでいたと思います。

逆に個人的に視聴して辛かった作品として当ブログでもけちょんけちょんに批判してしまった実写「鋼の錬金術師」は、漫画的な表現が現実でそのまま使われたかと思いきやその違和感を包み隠すような工夫もないといった印象を受けました。単純に話の起伏が足りないとか、主人公がヒロイックに活躍してくれないといった不満と相まって評価は自分の中で低いです。

実写「銀魂」も漫画的な表現をそのまま現実に持ってくるアプローチを取っている点で、「ハガレン」とまるで同じだと思います。

しかし、それによって生じた違和感を観客が楽しめる方向で消化できるかどうかで両者は大きく異なっています。

銀魂は、キャラクターの髪色が平然と銀だったり赤だったり紫だったりします。主人公銀時の装いからして、あんなアバンギャルドな格好を現実で目にできるのはコミケなどのイベントぐらいです。語り口調にしても、やたらと語尾を伸ばして叫んだり、冗長な言い回しでツッコミを入れたりするというのは、極めて作り物のセリフっぽいんです。

ただ、そうした違和感は、こと銀魂においては集中力を削ぐネガティヴな違和感ではなく画面の賑わすネタ感覚に捉えることができます。色々と有り得ないビジュアルが、コント的小道具に映る作品の雰囲気は、銀魂ならではでしょう。

とくに前半のパートでは、女装をして将軍様を接待するというエンタの神様で見るようなコントが繰り広げられており、可笑しいとか面白いという方向に振り切ることに成功しています。

とはいえ、映画であるため出演しているキャストは豪華ですし、全裸にモザイクといった攻めたネタだってやってのけられるのは、銀魂の実写化の利点を大いに感じました。

 

豪華なキャストの中でも熱演だった人

銀魂はなんでもありな作品。キャストもなんでもありで、豪華な顔ぶれに揃えていたのはとても好印象でした。どの俳優も日本に住んでいたら一度は見たことがある人たちばかり。そんな人達が銀魂のあのキャラを演じるということ自体も楽しめるようになっています。

万事屋の小栗旬、菅田将暉、橋本環奈は前作を経ての2作目ということもあってか、安定感がありました。冒頭で小栗旬と菅田将暉本人をいじるネタがあったりはしたのですが、素は一切感じさせず、完全にキャラクターをモノにしていて驚きました。

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

声質的にも小栗旬は銀さんのちょっと気怠い感じに、決める時は決める力強さもあってアニメのイメージに勝るとも劣らない印象を受けました。特徴的な銀髪も、コメディ時にはコスプレ感を発する一方、シリアスなシーンでは様になっていて小栗旬の力量を感じさせられます。

菅田将暉も、線の細い丸眼鏡の少年といった見た目がばっちりでしたし、ツッコミは鋭く、台詞回しの気持ちよかったです。コメディパートの面白さはなんだかんだ菅田将暉のツッコミが貢献している割合も大きかったと思います。

橋本環奈の神楽に関しては声質がやや特徴的でセリフ回しでも気になるところはありました。アニメ版の声優が釘宮理恵という非常に印象的な声をされている方だったのに比べてしまうと、カッチリと役どころに収まっている感じはしなかったものの、橋本環奈自身のチャームでカバーしていたと思います。鼻くそをほじって白目をむくシーンはガッツを感じましたね。トッシーにポージングを要求されるシーンは、なぜか素の橋本環奈で笑いました。神楽のキャラクターとのギャップでいっそう可愛いかったです。

個人的に最も好きなキャストが、沖田総悟役の吉沢亮。彼も小栗旬、菅田将暉に引けを取らないくらい近年実写映画の出演作は多いですが、今作の彼を観ているとそれも納得します。

茶髪のショートヘアに、端正なルックスと沖田の要素を見た目で備えているうえに、ドS口調の物慣れた様子や土方をハメた時のゲスな表情など挙措の面でも再現度が高かったです。列車の中でのアクションシーンも流石でしたし、舌をペロっとする時の凄みも印象的。神楽の放った椅子を間一髪でかわした後の、「あぶねえじゃねえか」の表情もゾクゾクしました。

沖田っぽさが天性で備わっているうえ、お芝居の面での魅力も発揮されており、感服するばかりでした。

彼のほかにも伊東鴨太郎役の三浦春馬は野心家だけれども実は孤独に苛まれていたという二面を見事に表現し、河上万斉役の窪田正孝も只ならぬ剣客のオーラを放っていました。

キャストの再現度は総合的に高いと思いました。更に、そこへ役者自らの技量や持ち味も上乗せしていたので、これならもっとたくさんの話を映像化して、そこで活躍するキャスト達を観てみたいという気持ちになりました。

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

 

笑いがこぼれずにはいられないコメディパート

今作は劇場でどっと笑いの起こる作品に仕上がっていました。

映画館で人を笑わせるというのは意外とハードルが高い。何せ見知らぬ人たちと同じ空間で同じものを観ているわけですから、ある種の集団心理がはたいて、ジャンルにコメディを冠した映画でも意外と声が漏れることはないものです。

そんな中で、この映画は反則技じみたキャストの体当たり演技や他所に喧嘩売るかのようなパロディネタなどの過激さを武器に、観客の笑いを引き出すことに成功していました。

 

冒頭のキャストネタ

よろず屋の家屋を写して、声だけで銀時たちが会話をするというアニメにもあった演出が初っ端に使われています。

万引き家族がパルムドールを獲ったという情報が入っているので、収録は間違いなく6月以降なわけですが、動かない絵に声だけ当てるからこそ出来た芸当ですよね。

前作がヒットを飛ばしいよいよ続編が作れるようになったといった制作裏話や、日本アカデミー賞を獲れないと嘆く小栗旬、アーティスト気取りと揶揄される菅田将暉など、思いっきり飲みの場で話すような身内ネタではあるのですが、それを映画冒頭でやってしまうあたりが実に銀魂らしい。

しまいにゃ日本アカデミー賞にブチギレた小栗旬がピー音だらけの罵詈雑言を吐いていましたが、なんとなく推測できてしまえるから大いに笑えます。

 

キャバクラでの将軍接待で笑いを堪えきれず

金欠で家賃も払えないよろず屋一行は、キャバクラで仕事をすることに。

このパートは、本当に面白いコントが繰り広げられていたと思います。

勝地涼演じる将軍 徳川茂茂の厳かな佇まいが、銀時たちのハラハラした様子を引き立てていましたし、下着姿にされても全裸にされても動じないのがツボでした。彼が喋る時には重々しい音楽が背景に流れるという演出も単純ではありますが、彼の悲惨な状況と相反する空気感が生まれ、面白かったです。本人は全くふざけていないのに、こっちは見ているだけで吹き出しそうになるシュールさでした。

夏菜が演じていた猿飛あやめことさっちゃんは、このパートにのみ出演というのが惜しいぐらいに体当たりな役どころでした。グラマラスなスタイルにドM、ストーカー、忍者、紫ロングヘアと、これまたてんこ盛りなキャラクターなので、もっと見てみたかったですね。夏菜のボンテージ姿がもっと見たいとか、そういういやらしい意図は全くないですよ。全く。

小栗旬と菅田将暉の低クオリティな女装姿を拝むというだけでもニヤついてしまいますし、岡田将生の口からち〇こといった下ネタワードが飛び出す始末で、こんなことができるのは銀魂だけだろうなと思います。

原作にはないオリジナル要素だった佐藤二郎の店長は、やたらくどいカメラワークに意味不明な言葉の羅列や繰り返しに場が耐え切れず、とうとう万屋一行が素で笑ってしまっていました。ただでさえハチャメチャな銀魂に、こうした福田監督御用達の俳優ネタを仕込むあたりに気概を感じましたね。

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原作でもこのエピソードは笑った記憶があるのですが、実写化されるといっそう面白みを増していました。将軍様の全裸のモザイクは生々しさを増し、パンツを被る夏菜が可哀想(まさか本物の着用済みではないですよね?)で、小栗旬のドレスはたしかにもっこりしている。橋本環奈なんて小梅太夫のほうがよほど美人に見える強烈なメイクを施す始末。

このあたりは文字と絵のみの漫画や、動きとセリフを加えたもののやはり絵であるアニメーションに勝る点です。

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

 

将軍の髷をめぐる騒動

「将軍接待編」とひとまとめに語れるものの、元は別々の話であった床屋での騒動も合わせて実写化されていました。

原作ではキャバクラが15巻、床屋が27巻と、エピソードの順番が離れていたものを「お登勢に家賃を催促され、銀時たちがバイトをする」という前半部分の話としてくっつけたのはとてもスムーズですし、何より将軍の運の無さを引き立ててもいますね。

そして並行して、伊東鴨太郎の暗躍と徐々にトッシーの人格を目覚めさせる土方が描写されており、後半部分への布石も打っています。

肝心の床屋騒動も面白かったです。髷を無理矢理結おうとして顔が締め付けられる将軍の顔なんて、実写で見たらなかなか痛々しいものですが、それでも面白さが突き抜けています。勝地涼の厳かで涼しげな表情があんな滅茶苦茶に崩れて、涙まで流すというギャップ効果にやられました。

ゴールデンレトリバーのう〇こを載せて終了というオチも最低すぎて、自分はなぜ1800円という金を払って大スクリーンでこんなものを観ているのかと自問自答したぐらいです。

 

シリアスになった途端に面白さが急落

繰り返しになりますが、前半のコメディは非常に面白かったです。劇場でも笑いが漏れていました。

しかし、その面白さというものが後半に入るとガクンと下がってしまいました。ここではコメディが控えめになるため、笑い声も当然漏れません。

新選組動乱編自体は原作でも人気のエピソードだと思います。それに異論はありません。

何せ万事屋に次ぐ重要組織である真選組が主軸。そこに土方と因縁のある伊東鴨太郎というシリアスな悪役が交わり、組織そのものが崩壊するかもしれない危機が迫る。ファンとしては真選組の行く末をハラハラしながら見守る話だったことでしょう。

ただ、一本の映画としてこのエピソードを展開した際に、問題がいくつか浮上してきます。その問題に対する策も立てられているようには見えず、結果として退屈さを招いてしまっていると感じました。

 

真選組の掘り下げが甘い

まず、ひとつに思ったのが真選組の描写は映画の限りで十分だったか?ということです。

原作では、この新選組動乱編は19巻から20巻にかけて展開しています。幽遊白書で言えば既に完結しているというぐらいの時期に始まった話です。

そこに至るまでに真選組を描写する話が沢山ありました。その上で、読者になじみのある真選組が崩壊の危機に晒されるというストーリーが大きな意味を持っていたのです。

読者に真選組に肩入れさせるだけの種をまいてこそ、見入るお話のはず。それが、映画では真選組を観客にとって思い入れのある組織にさせる描写が不足しています。

前作や配信のドラマでも真選組の話はあったのだと思いますが、少なくとも「銀魂2」の尺の中で真選組のキャラを掴ませる準備運動をしないと、映画の中での動乱にいまいち乗れません。

後半に展開される近藤勲の人を引き付ける人柄だとか、沖田の近藤への信頼の強さだとかだとかが、実感を伴わないまま話の上ではどんどん進行していくため、ついていけなくなる危険性は大いにあり得るのです。

 

長い

観ている最中、ひとつひとつのシーンが長いのがとても気になりました。

どれも原作通りに進行していたはずですが、映画にすると集中力を保つのが難しいです。

近藤と鴨太郎の「旗印」のやり取りをはじめとし、台詞で掛け合うシーンが非常に多く、画的にはたいしたスペクタクルも爽快感もない時間が不必要に長いのです。

土方がトッシーから戻るか戻らないかの葛藤は何度も繰り返される上に、ギャグとしても面白くはない。その上、戻るときは根性論的に速攻治るため、今までのやり取りはなんだったんだと思ってしまいました。

松平片栗虎と河上万斉が対峙するシーンなんて度を越して冗長でした。

松平自身のもったいぶった動きを省略せずに映してしまうし、攻撃も簡単に避けられてしまう。しかも結局はお互いダメージを負うことなく逃走開始。

振り返ってみると何の意味もないシーンです。そこに時間をかけすぎです。

チェイス描写があるわけでもなし。列車と銀時たちのシーンが終わるといつのまにやら簡単に城へ誘い込んでしまっています。駆け引きの中身が全くないため、このくだりは本当に不要だったと思います。

そもそもバズーカを地面に撃って着弾させたら?というツッコミどころもあり、集中力がこのあたりで切れていました。

上映時間は135分あるそうですが、これは100分程度に納めるべき内容です。

 

台詞で説明しすぎ

ダメな映画によくある特徴として登場人物が自分の胸中を長々と語るというものがあると思っています。

今作もそのパターンに入っており、とにかくやたらと自分がどう思っているのかを直接的に喋ってしまいます。

コメディという下地が銀魂にある以上、出てくるキャラクターは多くがうじうじせず、はっきりとした物言いをします。原作は少年漫画ということもあり、読者にインパクトを与える狙いもあってこうした作風になるのは頷けます。

しかし、2時間以上もある映画でそれをやってしまうと、観客として情報をただ羅列されているだけのように感じてしまうものです。

沖田が近藤を信頼しているということが、とあるアイテムやさりげない仕草で示されていたら、それを探るのに観客は頭を働かせることでしょう。更には、想像力によって受け取ったものの意味が増幅することだってありえます(もちろん縮小する可能性もあります)。

そこが映画をはじめとしたアートの面白いところなのです。それなのに、今作は想像させてくれる余白や含みをまったく与えてくれません。

沖田が近藤を慕っているということは鴨太郎たちに対面で堂々と宣言してしまいますし、近藤がいかに真選組を大事に想っているかも涙と鼻水を垂らしながら大声で叫んでしまうのです。

極めつけは鴨太郎の過去を映像で丁寧に見せてしまう工夫のなさ。「原作に忠実」と言えば聞こえはいいのですが、鴨太郎の悲しい過去をそっくりそのまま映像で見せてしまうことで、冗長である上に、彼の苦しみや悲しみが描写の範囲内に収まってしまっています。

悲しい過去を描写するために悲しい過去を映像化、というのも映画の作りとして浅薄と言わざるを得ません。

原作にあった台詞をそのまま聞かされ、原作にあったやり取りをそのまま見せられても、映画に合うように変換されていないのであれば、ただ単に拙いだけだと思います。漫画と映画という2つのメディアの違いをもうちょっと勘案してほしいです。

 

長く退屈な溜めの末にカタルシスがない

以上に挙げてきた欠点も、最後には解消されるだろうと思いながら観ていました。しかし、その予想は外れてしまいました。

今作は、長い時間を割き、長い台詞で語っていましたが、これは本来ならチャージであるべきです。

「Aだと思っていたものが実はBだった」というお話があったとして、Aだと観客に思い込ませるミスリードは映画の中で終盤まで続くのが一般的ですよね。誰が犯人なのかをあてるミステリーで序盤に犯人が判明し、その後トリックの種明かしに尺をとるなんて作りはあまりないでしょう。

「実はBでした」と種明かしをする際に衝撃を与えるために、Aだと思い込ませるパートは長く尺をとり、観る側の好奇心を最大限ひきつけます。だからこそ、種明かしの爽快感は膨れ上がるもので、その描写にも力を入れなければなりません。

今作で言えば、「土方が失脚し、真選組が伊東鴨太郎に乗っ取られるかもしれない」という溜めが終盤まで存在していました。

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

そのチャージを一気に解放するシーン、つまり鴨太郎と土方の斬り合いが非常にあっさりとしているのが不満に感じました。

ここまで土方がヘタレオタクとして抑圧されていた展開をひっくり返し、鴨太郎に実力を行使するというシーンが、ぶつ切りの戦闘シーンでしか表現されておらず、先述したやたらと長い葛藤に見合うような爽快感がないのです。

アクションシーン全体も、予算がかけられているものの、映し方が悪いのか、あまり迫力を感じられません。

スローモーションが多用されすぎて、メリハリがついていなかったのもマイナスポイント。

荒野でゴツい車が多数登場し、撃ち合うというマッドマックスにも似たシチュエーションでしたが、全体を俯瞰するカットが極端に少なく、銀時たちが乗っている車を映す際にも似たようなアングルで捉えてばかり。バズーカを発射するシーンも爆発描写が物足りず、銃を発砲する時も持ち手を映すばかりで、やられ役が大仰に散っていくといった画がありません。

タメが長い割に、それに見合うリリースがなく、最後まで湿っぽい劇が続いて終わってしまったという印象です。

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

 

まとめ

コメディパートにおいては、キャラクターの派手な外見に、勢いのある台詞回しがマッチし、多くの笑いを生んでいました。

一方で、シリアスになった途端、安っぽさをギャグで誤魔化すことが通用しなくなり、映画として拙い部分が噴出してしまっていました。

最後の鴨太郎と土方の最後の一騎打ちシーンで真選組の絆を光で表現してしまうような演出も、これがギャグならツッコミを入れられそうなものを、真剣にやってしまっているために純粋に安っぽいと感じます。

エピソードを組み合わせ、銀時を目立たせるよう調整した以外はほとんど原作通りにやったわけですが、2時間以上も見続ける作品として退屈な場面が非常に多く、もっと大胆に改変すべきだと思いました。

漫画「銀魂」が基本ギャグ、時々シリアスなシリーズを入れるという形式で連載を続けている一方、映画ではギャグとシリアスをどっちも一本内に収める必要性が出てくるという特異点をどう扱うのかは難題でしょう。

しかし、長く息が続くであろうこのシリーズにとっては絶対に向き合わないといけない問題です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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