ワタリドリの手帖

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 毎度こんにちは、ワタリ(@watari_ww)です。

 「恋は雨上がりのように」第3話は、話が一気に進み、主軸のあきらと店長の関係も明確に定まってきました
 
 アニメの3話は原作1巻の7話〜2巻の10話までを映像化。




 あきらの陸上部時代の苦い記憶から店長への告白とその返事まで進行。



告白へ導く過去の出来事

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 店長への告白を告白と受け取られなかったあきら。

 疑問を解消しようと同級生に語りかけるも、自らの悩みが俗っぽい女子高生の空気に合わないと思ったのか取りやめる。

 帰路で後輩に強く誘われ、ひさびさに陸上部の練習へ。グラウンドに置かれた机に制服姿で腰掛けながら見学していると、ちらつくかつての自分の姿。
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 あきらの足先は陸上部のメンバーから外れ、バイトへ向かおうとする。足先の向きは関心のサインだと言われています。陸上を続くたくなった思いを掻き消そうと、唐突にガーデンへ向かったのではないでしょうか。シフト表は真っ白のはずなのに。
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 陸上部のメンバーにやや厳しい口調を返してしまった時、雨が降り出しました。あきらが過去に怪我をした時も雨が降っています。紛れもない心情と情景の同調です。店長から「すぐ止みますよ」と掛けられた時に彼女は初めて晴天を直視し、歩き始めました。ガーデンは今の彼女の居場所であり、怪我をして働けなくても、その情景から離れられないのです

 抑えきれなくなった想いを店長へ告げ、またそこからも去っていく。雨の中へと消えてゆく姿はどこか寂しげ。陸上で挫折した記憶から逃れるようにして、突発的に安寧を求めたのではないでしょうか。自分の気持ちを伝えたという事実を自分でも受け入れられていないように見えます。

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間に「木」を挟む二人の関係

いわばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を聞くともなく聞いていたのである。
引用元:芥川龍之介「羅生門」より

 この一文を読みふける店長は、もはや誤魔化すことのできないあきらからの恋慕に思いを張り巡らせています。職を失い行き場のない下人と店長は随分立場は違うけれど、これからどうしていいかわからないという気の迷いだけは重なっているようです
羅生門
芥川 竜之介
2012-09-27



 バイトに復帰するとあきらはいつも通りの対応。店長もこれには戸惑うものの、騙されていたんだ!という被害妄想。そう考えるのが自然ではありますが、ここに中年故の哀愁と諦観が滲んでいますね
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 あきらに返事を求められ、駅まで車で送る中で、やんわりと否定する店長は、やっぱり諦念に支配されているし、周囲の目や社会的な状況にも縛られている。そんなことは関係ないと叫ぶあきらを若気の至りとあしらうことはできるはずですが、そうはしない。
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 動揺を紛らすために木の陰で、雨宿りする2人。この木を挟んだ構図は、二人の間にある精神的な壁を表しているように見えます
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「俺なんかのどこがいいの?」と尋ね、理由を求める姿勢には、歳を重ねて色々な経験をしたからこその慎重さが見て取れます。真摯な想いをぶつけられ、一旦はかつての若い時代を思い出すも、子供がいる歳であるという現実に引き戻される。
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 あきらが興味を向ける蝉の抜け殻を潰すという行為には、彼女の想いを暗に否定するニュアンスがあるはずなのです。ところが、あきらはそれを認識することなく、初めて口にした店長の一人称に心を動かします。

 2人は、決して調和した関係ではない。けれど、何気ない口調が一方の心を動かすその一方がボーダーラインである木を越えて歩み寄ることで、少しづつ関係が進んでいく奇妙な関係の進展が面白いです



原作との違い

 アニメでは後輩から誘われて、半ば気が進まないまま陸上部に顔を出すことになっていますが、原作では元々見学にいくことを口約束していました。この変更は、あきらの焦りを引き立てるために妥当なでしょう。

 原作にある描写でものすごく好きなシーンがあります。恋愛の相談相手に困ったのでYahoo!知恵袋っぽいサイトで質問するあきらの姿がとてつもなく可愛いのです。厳しめな回答より前向きになれる回答をベストアンサー認定する…恋愛に不器用な人間なら誰しも同じような考え方しちゃうものです…。
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 アニメならではの部分では、サンドイッチを食べ終えたあきらが指を口元にやりながら店長の背を見る姿がキュートでした。店長が勘違いだったのかと納得する中で、あきらが恋する表情を見せるというのがシチュエーションとしても胸が高まります。

 アニメにおける効果的な変更点は、最後の二人の語り合いにも出ていました。なんてことない公園の木の下で雨宿りしていた漫画から、きれいな夜景をバックに据えたアニメは、背景描写の力の入れようを感じました。
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 背に浮かぶ無数の光から切り離された二人の姿が印象的ですね。舞台になっている都市の横浜が、魅力的に映ります。

 今回で一気に話が進みました。むしろここからがスタートになったと言えるでしょう。二人の行く末が気になる3話でした。






(C)眉月じゅん/小学館(C)アニメ「恋雨」製作委員会
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