ワタリドリの手帖

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今日は『東京喰種についての感想。
ネタバレ無し+ネタバレ有りです。

75/100

一言あらすじ人を喰らう事でしか生きられない喰種(グール)になった金木の苦悩と葛藤



前回「ここさけ」に引き続き実写映画の感想を。
夏は「銀魂」「ここさけ」「ジョジョ」とこれで4本もアニメ・漫画の実写映画が公開されていて
日本における映画界のメインストリームとして、もはや「実写化」は欠かせない物になってます。

とはいえ、ネット上の評判を漁ってみるとアニメ・漫画の実写化にはアレルギー反応を示す層も
一定数いるようです。
元々非実在の世界と登場人物たちを絵で表現していたものを、
実在の人間と物でやりくりする様は、ともすれば滑稽になりかねない。
実写映画史は、人気コンテンツに乗っかることが出来る一方で、
既存のイメージと比較され、厳しい評価に晒されかねない諸刃の剣と言える代物。

この東京喰種は、個人的には既存のイメージをたいせつにしながら、
映画独自の表現、演出をとったチャレンジングな映画
といえるでしょう。

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東京喰種が実写化、と聞いたときの自分の率直な感想としては、
「随分ハードル高いけど大丈夫か?」と不安がる一方で、
独特の世界観やキャラクター、目玉要素の赫子、クインケをどのように表現するのかには
期待を持っていました。

そして、それらの要素には概ね満足した、というのが観た後の率直な感想です。

ネタバレ抜きで印象に残った所を2つ上げます。

配役
キャスティングはこれがベスト、といえる人たちが充てられ、
実際のパフォーマンスも充分でした。

ビジュアルは同時期公開の「銀魂」に比べるとコスプレ感は抑え目で
実写化するにあたって、現実にいても違和感のないような画作りがなされていたと思います。

特に良かったのは、
主人公金木を演じた窪田正孝さん、
ヒロインのトーカを演じた清水富美加さん、
そして執念深い喰種捜査官の真戸を演じた大泉洋さん。
また、陰ながら金木を見守る店長芳村役の
村井國夫さんもいい味だしてました。

金木に関しては、原作では物静かな性格であり、特に原作初期はモノローグが多いキャラクターです。
映画でそのまま表現すると「自分の気持ちペラペラ喋る」という安っぽい感じになってしまう問題点がありました。
窪田正孝氏は、そのカバーを難なくこなしていたように思います。
「喰種になり人間の食べ物を不快に感じるシーン」に代表されるよう、
語らずに、表情で伝えるシーンが多かったのですが、モノローグをカットしても
ちゃんとシーンが成立する技量に驚かされました。
作中やたら驚いたり、叫んだりするのですが、それぞれ別種の恐怖や焦燥になっていて
表現のパターンも多い役者さんなのだと感心させられます。

トーカ役の清水富美加さんは、口調がきつめの気の強い女の子になり、
以前僕が勝手に抱いていた天真爛漫なイメージとはかけ離れた芝居でした。
喰種が普通に生きられない事、人間に虐げられる現実に苦しむ姿を表現しきっていたと思います。
続編があるとしたら、キャストが変わるのだけは、やめてほしいけど難しいだろうな…。

そして、恐らく最も実写化に不向きと思われる真戸を、
三枚目のイメージの強い大泉洋さんが見事にやってくれました。
白髪のウィッグ感を除けば、彼を見たら他のキャストは考えられないくらいです。
ちょっと歪んだ表情を作っていたり、浮世離れした佇まいと喋り口調は非常に不気味でした。
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影のMVPとして挙げたいのが、村井國夫さんの店長。
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原作では、この後色々と事実が明るみになるにつれ、より重要な役どころになっていくのですが、
映画では、とりあえず金木や(捜査官から逃げている)笛口親子を暖かく迎え、見守る役に徹しています。
彼の落ち着いた雰囲気のおかげで、「あんていく」という組織を観客も安息場所として受け入れられる
ようになっていました。
おじ様好きにも良い映画だと思います。

赫子
実写化の高いハードルのひとつ、赫子。
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表現に関して、僕はとても満足。
CGの「うねり」や「質感」は日本映画の中では力が入っていました。
カメラワークの工夫、戦闘描写の変更といった形で違和感を極力抑えようとする努力がありました。

実写化したことによって鱗赫の鱗がちゃんと見えるようになっていたのは
原作からのファンとしても感動。
注目して観ると、赫子の放出された部分は服が裂けていて、拘りも見られました。
このあたりの細かな表現は漫画やアニメではオミットされがちなので
CGで作成した意義があると思います。


以上の点から、僕は実写化の恩恵を味わうことが出来ました。
キャストと赫子(と戦闘)はクオリティが高い!と太鼓判を押せるレベルです。


少し引っかかる点を挙げておくと、
実写で選び抜かれた原作のエピソードは序盤も序盤であり、
本筋には入っていおらず、あくまで導入部分でしかない、という点。


東京喰種は全14巻、更に現在タイトルを東京喰種:reと変え既刊12巻。
今回の映画は、そのうち最初の3巻のエピソードのみです。

以降のエピソードは、ほとんど拾われておらず、
続編制作の匂いも漂わせていないため、原作ファン的には意見が割れる部分だと思います。
個人的には欲張ってあれやこれや詰め込むよりかは、集中して導入部分を1本の映画として勝負
したことを評価したい
です。

ただし、映画にするにあたって3巻程度の内容でもオミットされている箇所があります。
原作既読の僕からしても、説明不足だと感じる場面や物足りない部分があったので、
初見さんには「よくわからない」と感じてしまう作りになってしまっていると思います。

よくある質問で「観にいく前に原作を読んだ方がいいですか?」がありますが、
僕からアドバイスするとネット事典や公式サイト等で「赫子」と「クインケ」の設定は
確認しておいてもいいかもしれません。


ともあれ、原作を誠実に再現しつつ、映画独自の良さも生み出された良作といえます。
迫力のあるシーンを感じてもらったり、喰種のいるダークな世界に没入するために
映画館で観たほうが良い作品として映るでしょう。




以下ネタバレ




リゼの捕食
駆け足気味なのが気になりましたが、
金木が喰種になる原因となった、リゼの捕食はとても良かったです。
特に映画オリジナルの演出のキスが異様にエロい。
血がこぼれた口元を舐め取るという、冷静に考えたら恐ろしいシーンなのに
美しさすら感じてしまう表現で初っ端から期待値あがりましたね。


消えたままの馬糞先輩
中盤、西尾に親友のヒデを捕食されそうになり、
そこで初めて赫子を発現し、応戦する金木。
これは原作と流れは同じですが、場所が人目のつかない路地裏から
大学の部屋に変更され、戦い方も抑え目に。
台の上で揉み合いになりながら、不意打ちを喰らわせようとする描写など
力押しが目立つ原作よりも駆け引きを感じる戦闘シーンになっていて
これはこれで見ごたえがありました。

しかし、西尾先輩がまさかのフェードアウトしっぱなし。
映画だけだとヒデを喰おうとしたチンピラで終わっててかわいそう…。
てなわけで、是非とも続編で名誉挽回を図って欲しいところですね。

ちなみに、演じた白石隼人さんはビジュアルもお芝居もグッドでした。
きちんと吐き出した後の「馬のクソ」発言も有り難く頂きました。
尾赫を出した後の破けたズボンのお尻に目がいったのは内緒。


説明不足な部分
映画では赫子にまつわる説明がほとんどなされていませんでした。
赫子(正確には赫包)から作られる対喰種用武器クインケについても
真戸さんが笛口リョーコの赫子を見て
「いいクインケになりそう」と言ったのを聞いて推測するほかありません。

そもそも何でスーツケースに入れてるのか云々かんぬんは
原作だともっと後に説明がありますが、
前倒しして解説しといても良かったんじゃないでしょうか。

武器絡みは初見の人には厳しいかなーと思いました。

後、カネキの過去やヒデとの関係もさらーっと触れられますが
カネキによるモノローグがカットされた都合上やはりこちらも
映画だけだと何となく、しかわからない気が。


喰種VS捜査官
金木VS亜門、トーカVS真戸も単なる忠実な映像化ではなく
それぞれ変更点がありました。

トーカたちは橋下での戦闘になり、
途中橋を挟んで相手を探り合うシーンを入れ
緩急をつけるよう工夫していたように思いました。

トーカは羽赫の喰種であり、スピード型。
そのあたりは実写で表現する難しさがあったようで
単に原作をなぞるだけではいけなかった苦難を感じました。

金木と亜門の戦いは、場所をビルのフロントに変更。
戦いの最中に車を活用した以外はスピーディーに赫子とクインケのぶつけ合いをさせた印象。
二階部分の攻防ではうって変わって苦戦する両者をじっくり描きつつ
車上に落下させてから、喰種と人間の間で揺れる金木の葛藤にフォーカスし
単なる激しさのアピールに終始しない画作りだったと思います。

映画に向けて色々変えつつも原作の雰囲気を再現することには成功していたと思います。
だからこそ、尚更倒れた真戸の指輪には、台詞でも触れて欲しかったし、
亜門は金木と出会った事で心情にどんな変化が生じたのかという結果まで描いてほしかった。

続編が実現すれば、そこで掘り下げていくのだろうとは思いますが、
果たして続編企画は来るのか!?

期待を胸に、今回締めさせていただきます。


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